清水和夫が解説!日本が進める「自動運転の今」はどんな技術で、どう使うのか?【SIP第2期 自動運転 中間成果発表会】

●中山間地域の移動サービス

今回の中間発表会では、清水さんに解説して頂いた重点テーマ以外にも、SIPの自動運転に関する様々な取り組みが紹介されました。

日本が進める自動運転の今を清水和夫さんが解説
ヤマハ製カートなどを自動運転仕様にして実施

例えば、高齢化が進行する中山間地域で、道の駅などを拠点に自動運転車を使った送迎サービス。そういった地域では、バスや電車などの公共交通機関がないところも多く、免許返納でクルマに乗らなくなった人もいるため、住民の生活の足を確保する方策のひとつとして実施されています。

2021年2月末現在で、北海道や秋田県、長野県など全8ヵ所で行われている実証実験では、買い物や病院などへ行くための交通手段として自動運転仕様にしたヤマハ製カートなどを使用、道の駅を離発着場としています。

日本が進める自動運転の今を清水和夫さんが解説
道の駅「かみこあに」(秋田県北秋田郡上小阿仁村)の導入例(出展:SIP)

自動運転車のカメラやセンサーは、雪や雨などが降ると安全な走行ができない場合もあります。特に、雪深い北海道や東北などでは、冬の時期には運用が難しくなります。その対策として、ルート上の道路に電磁誘導線を埋め込み、自動運転車は磁気を検知して走行することで、雪の中でも自律走行を可能としているそうです(実証実験では、法律の規定や安全確保のためにドライバーが乗っています)。

●視野障がい者への運転能力評価

ほかにも、特に面白かったのが、視野障がいを有する人の運転能力を評価するために開発が進んでいるシミュレータです。

日本が進める自動運転の今を清水和夫さんが解説
視野障がいの可能性を評価するために開発されたドライビングシミュレータ

視野障がいとは、高齢者に多い緑内障などで視野が狭くなる疾病のこと。最近では、この障がいを持つ人がクルマを運転すると、道路の脇から飛び出してくるほかのクルマや歩行者などが見えず、事故に繫がるケースも多いことが分かってきたそうです。

名古屋大学が開発したシミュレータは、VRゴーグルを装着し、リアルな映像を見ながらクルマに乗ってどこを見ているかを検知するといった仕組みになっています。見通しが悪い交差点でクルマが出てきたり、道路脇から歩行者が急に出てくるといった映像を見せて、被験者がそれらをきちんと目で見ているのかを調べます。

日本が進める自動運転の今を清水和夫さんが解説
道路脇から飛び出そうとする歩行者などを見ているかをチェック

現在、このテストは2つの医療施設で運転外来として実施しているそうです。また、将来的には、例えば自動車ディーラーなどに設置し、車検を受けている待ち時間などに高齢者などにやってもらったり、運転免許試験場に設置し免許更新の際にテストしてもらうことなども想定されています。

視野のテストは、できるだけ広く、多くの人に実施してもらうことが重要だそうです。早期発見すれば、眼科で治療を受けることもできますし、高齢者などで症状が重い場合は免許の返納をすすめたり、クルマに乗り続ける場合は自動ブレーキ付きモデルに変えることを提案するなど、様々な予防策が可能だからです。

さらに、視野テストのデータは、自動運転車が安全性を高めるための技術開発などにも活用できるといいます。

日本が進める自動運転の今を清水和夫さんが解説
被験者はVRゴーグルでリアルな走行を体験

ちなみに、名古屋大学と共同でプロジェクトを進めている筑波大学では、もし視野障がいがあったら、どれだけ運転がしづらいかが分かるシミュレータを開発。視野障がいを持つ人がクルマを運転した場合を疑似体験してもらうことで、いかに運転が危険なのかを啓蒙することが目的だそうです。

なお、この「SIP 第2期 自動運転 中間成果発表会」は、2021年4月30日までオンラインで開催中です。興味がある方は、ぜひ一度のぞいてみてはいかがでしょうか。

(文:平塚 直樹

【関連リンク】

「SIP 第2期 自動運転 中間成果発表会」オンライン展示ホームページ
https://sip-adus-showcase.com/
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