給油中はなぜエンジン停止?今さら聞けないセルフ式スタンドで絶対守るべきこととは【2023年版】

■最悪は爆発を招く危険行為とは?

ガソリン給油中にエンジン停止は常識だが、一体なぜ?
ガソリン給油中にエンジン停止は常識だが、一体なぜ?

クルマにガソリンを給油する際はエンジンを停止することが常識ですが、中にはエンジンをかけたまま給油をしているクルマもいます。

ガソリンスタンドの店員が給油するフルサービスのお店では、エンジン停止をするように店員に促されるのであまりそういった光景には遭遇しませんが、自分で給油するセルフ式スタンドではたまに見かけますよね。

でも実は、このエンジンを始動したままの給油は、マナー違反であるだけでなく、かなり危険な行為なのです。それは一体なぜなのでしょうか?

●エンジン停止は法律で義務化

給油では油種を間違えないことも重要。ノズルの色で黄色がハイオク、赤がレギュラー、緑が軽油と決まっているので注意
給油では油種を間違えないことも重要。ノズルの色で黄色がハイオク、赤がレギュラー、緑が軽油と決まっているので注意

まず大前提として、給油中のエンジン停止は法律で義務化されています。

「危険物の規制に関する政令」の第二十七条6項一のロにある「自動車等に給油するときは、自動車等の原動機を停止させること」という条文がそれにあたります。

ここでいう「原動機」とは、当然ながらエンジンのこと。エンジンをかけたまま給油をしてはいけませんと、きちんと法律で定められているのです。

●ガソリンは爆発しやすい

ガソリンはマイナス40℃といった低温でも気化し爆発しやすい
ガソリンはマイナス40℃といった低温でも気化し爆発しやすい

では、なぜ給油中にエンジンを停止する必要があるのでしょうか?

まず、ガソリンは非常に引火しやすい物質であるという点が挙げられます。ガソリンは、マイナス40℃といった低温でも気化(気体になる)し、引火しやすくなります。わずかな火花、たとえば静電気でも爆発することがあるほどです。

また、気化したガソリンは空気より重く、地面の周辺や凹みなどにたまりやすいため、離れた場所にある火元でも引火する危険性があります。

さらに、給油中にエンジンをかけたままだと、たとえばシフトをP(パーキング)レンジに入れ忘れてDレンジのままサイドブレーキだけ引いた状態で、何かの拍子でサイドブレーキが外れると誤発進をしてしまい、ガソリンを周囲にまき散らす可能性もあります。

そうなると、周りのちょっとした火元が原因で、飛び散ったガソリンに引火する可能性が高くなり、とても危険なのです。

●給油中のNG行為はまだある

給油中に携帯電話を利用するのも危険です
給油中に携帯電話を利用するのも危険です

エンジン停止以外にも、給油中にやってはいけないことや、注意点はまだまだあります。まず、指定された場所以外でタバコを吸わないなど、火気厳禁を徹底すること。これは当然ですよね。

また、携帯電話も通話などで利用すると、静電気が発生し引火する可能性があるので危険です。

さらに、子どもが近づいて給油中にノズルを触ったりするのも、誤ってガソリンをまき散らす可能性があるため注意が必要です。

給油前には静電気除去シートにタッチ
給油前には静電気除去シートにタッチ

もうひとつ意識したいのが、セルフ式スタンドで給油する際は、給油機についている静電気除去シートへ最初に触れること。体に溜まっている静電気を取り除いてから給油するように心がけしましょう。静電気除去シートがない場合は、クルマのボディに触れることで静電気を除去する効果があります。

前述の通り、ガソリンは引火しやすいため、冬など乾燥している季節でなくても、静電気除去をやっておくのが正解。給油前の習慣にしておくといいでしょう。

なお、誤って給油口からガソリンを溢れさせてしまったときは、一度に大量のガソリンが気化してしまうので、かなり注意が必要です。そんな時は、セルフ式スタンドでも店員が常駐していますから、店員にその旨を連絡し必要な処置をしてもらいましょう。

(文:平塚直樹 *写真は全てイメージです)

※2020年10月の記事を2023年9月8日に再編集しました。

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この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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