■空気を足しながら走ることも検討しよう
昔のクルマは装着タイヤと同サイズのスペアタイヤを搭載していたものです。その後、スペアタイヤはスペースセーバータイヤ(テンポラリータイヤ=テンパータイヤ)と呼ばれるサイズの小さめなものになり、現在はスペアタイヤを積まずに「パンク修理剤」とエアコンプレッサーを積むものが増えてきています。


スペアタイヤをレス化することでトランクやラゲッジルームのスペースを拡大でき、ユーティリティ性をアップすることができるほか、搭載物を減らすことで燃費向上にも役立ちます。また、以前と比べるとパンクの発生率は減ってきています。そうしたなかで使うかどうかわからないスペアタイヤを積んだままで走行することは燃料を余分に使うだけでなく、廃棄するためだけになるスペアタイヤは環境上もよくないとされています。

そうした理由から「パンク修理剤」が搭載されるようになったわけですが、この「パンク修理剤」というネーミングが勘違いを生みます。「パンク修理剤」はタイヤの中に液体を注入して一時的に空気の漏れを抑えるためのケミカルでしかありません。本格的にパンクを修理するためには、タイヤに直接パッチを貼ったり、プラグを差し込んだりして物理的に穴をふさがなくてはならないのです。
しかし、この「パンク修理剤」がくせ者で、タイヤに「パンク修理剤」が付着してしまうと、パッチやプラグがタイヤのゴムに馴染んでくれません。キレイに水洗いしてタイヤの裏からパッチを貼ったとしても、パンクの原因となった穴の中にパンク修理剤がにじみ出てくるとパッチがはがれてしまうことがあります。つまり、「パンク修理剤」を使うことで、タイヤを壊してしまう可能性があるのです。こうしたこともあり、パンク修理剤は使わないことが理想なのです。

いわゆるバーストと違って多くの場合、パンクをしたとしても急激に空気が抜けるとは限りません。パンク修理剤を搭載しているクルマは、エアコンプレッサーも積んでいますので、空気を注入しながらパンクの修理ができるショップまで移動するのが理想といえます。さらに、パンク修理剤では大きな穴を塞ぐことはできないことも多いと覚えておいたほうがいいでしょう。「パンク修理剤」を使うときは空気の抜けが激しくて、空気を注入しながら走るのは不可能な場合だけの最終手段、と考えていたほうが後々の出費を抑えることができるかもしれません。
(文・諸星陽一)
タグ : タイヤ