スタッドレスから夏タイヤへの交換は自分でできる?知っておきたい正しいタイヤ交換手順【タイヤ豆知識・2022年版】

■まずは水平に駐車してジャッキアップの前にホイールナットを緩める

タイヤ交換の基本はまず水平な場所に駐車すること
タイヤ交換の基本はまず水平な場所に駐車すること

クルマに車載工具としてジャッキとホイールレンチが搭載されているクルマならば、それだけでタイヤを交換することが可能です。それだけ簡単な作業ですが、ちょっとしたコツや、本当は欲しい道具なども存在します。

まず、クルマをできるだけ水平な場所に駐めます。これはけっこう重要なポイントです。

次に外すべきホイールのナットを少し緩めておきます。ジャッキアップした状態で力をかけると、車体に余分な力が伝わって、ジャッキが外れる恐れがあるからです。ホイールナットのゆるめ具合は本当に少しで大丈夫です。手で回すのは無理、ホイールレンチを使えば楽々というのが目安です。

十字レンチは片手で押しながら片手で引くので力が入りやすい
十字レンチは片手で押しながら片手で引くので力が入りやすい
十字レンチ
これが十字レンチ。カー用品店で手に入ります

ホイールレンチは車載のものでも大丈夫ですが十字レンチを使うと作業が楽になります。車載レンチはL型なので、押すか引くかしかできませんが、十字レンチなら片方を押し、片方を引くことができるからです。ネジは「の」の字に回すと締まりますので、十字レンチで外すときは左手で押し右手で引きます。

●ジャッキアップポイントにジャッキをかける

ジャッキアップポイント(フォルウスワーゲン)
ジャッキアップポイントの目印の例(フォルウスワーゲン)
ジャッキアップポイントの目印の例(トヨタ)
ジャッキアップポイントの目印の例(トヨタ)

さて、目的のナットが緩んだらジャッキアップします。車載ジャッキを使う場合は、サイドシル(ドア下の敷居部分)の下にあるジャッキアップポイントにジャッキをかけます。油圧式のシザースジャッキ(パンタジャッキ)を持っているという人も同様に。使うときはサイドブレーキを引き、ATセレクターはPで構いません。MTの場合はニュートラルでも1速でもリバースでも大丈夫です。

一方、本格的なガレージジャッキで、クルマの前方あるいは後方から車体を持ち上げる場合は、ちょっと手順が異なります。たとえばガレージジャッキで前輪を持ち上げるとしましょう。その場合は左右両方の前輪のナットを緩めておく必要があります。そしてサイドブレーキは引かず、後輪駆動の場合はギヤはニュートラルにしておきます。

逆に後輪を持ち上げる場合は、FFならばギヤはニュートラルです。大事なことは、接地しているタイヤをフリーの状態にしておくということ。ガレージジャッキで前輪(後輪)を持ち上げると、クルマが動きます。クルマが動かないとジャッキが外れてしまうので、危険なのです。ジャッキアップしたら、即座にサイドブレーキを引き、ギヤを入れることが大切です。さらに輪留めもかけましょう

ホイールを外す際は対角線の順でナットを緩めていきます。車載ジャッキを使って1輪だけを上げているときはクルマが斜めになっているので、最後に下側のナットが残るようにするとホイールが手前に倒れにくくなり作業性がアップします。ホイールが外れたらナットとスタッドボルト(クルマ側から出ているボルト)を掃除します。パーツクリーナーがあれば、パーツクリーナーを使って掃除するといいのですが、それがない場合はスプレー潤滑剤などでもOKです。

●組み付けるときは逆の手順で。グリスを濡れればベスト

トルクレンチ
トルクレンチ

組み付けるときは逆の手順で行いますが、可能ならスタッドボルトには専用のグリスを塗っておきます。そうすることで固着を防ぎつつ、しっかりとナットが締まります。ナットを締めていく際は指で回して軽く入っていくことを確認します。この時点で締まらないのはナットが斜めになっているか、ねじ山が潰れているかのどちらかです。無理に締め込まずにホイールを一度外して、ナットがスムーズに入るかを確認しましょう。もしスムーズに入れば(ほとんどの場合は入ります)、もう一度ホイールを付けて、慎重にナットを締め込みます。

トルクレンチは締め付ける力を調整することができる
トルクレンチは締め付ける力を調整することができる

数回転締め込むことができればあとはホイールレンチや十字レンチを使って締め込んでいきます。レンチでグッとねじ込む(ホイールがしっかり固定できる)程度まで行ったら、ジャッキを下げてクルマを着地させます。その後、トルクレンチを使って規定トルクまで増し締めします。以前はトルクレンチは高価なツールでしたが現在は3000円台程度で購入できるものなので、自分でタイヤ交換やローテーションを行う人は用意しておくといいでしょう。また、タイヤ交換後は少し走ったら増し締めを行うことをおすすめします。

(文・諸星陽一)

※この記事は2022年3月8日に再編集しました。

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この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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