■まずは水平に駐車してジャッキアップの前にホイールナットを緩める
クルマに車載工具としてジャッキとホイールレンチが搭載されているクルマならば、それだけでタイヤを交換することが可能です。それだけ簡単な作業ですが、ちょっとしたコツや本当は欲しい道具などが存在します。
まず、クルマをできるだけ水平な場所に駐めます。これはけっこう重要なポイントです。

次に外すべきホイールのナットを少し緩めておきます。ジャッキアップした状態で力をかけると、車体に余分な力が伝わって、ジャッキが外れる恐れがあるからです。ホイールナットのゆるめ具合は本当に少しで大丈夫です。手で回すのは無理、ホイールレンチを使えば楽々というのが目安です。ホイールレンチは車載のものでも大丈夫ですが十字レンチを使うと作業が楽になります。車載レンチはL型なので、押すか引くしかできませんが、十字レンチは片方を押し、片方を引けます。ネジは「の」の字に回すと締まりますので、十字レンチで外すときは左手で押し右手で引きます。


さて、目的のナットが緩んだらジャッキアップします。車載ジャッキや油圧式シザースジャッキ(パンタジャッキ)を使う場合は、サイドシル下のジャッキアップポイントにジャッキをかけます。シザースジャッキを使うときはサイドブレーキを引き、ATセレクターはPで構いません。MTの場合はニュートラルでも1速でもリバースでも大丈夫です。


一方ガレージジャッキで前輪のみを上げる場合や後輪のみを上げる場合は、ちょっと手順が異なります。ガレージジャッキで前輪を持ち上げるとしましょう。その場合は前2輪のナットを緩めておく必要があります。そして、サイドブレーキは引かず、後輪駆動の場合はギヤはニュートラルにしておきます。後輪を持ち上げる場合でFFならばギヤはニュートラルです。つまり接地しているタイヤはフリーの状態にします。ガレージジャッキで前輪(後輪)を持ち上げると、クルマが動きます。クルマが動かないとジャッキが外れてしまうので、危険なのです。ジャッキアップしたら、即座にサイドブレーキを引き、ギヤを入れることが大切です。さらに輪留めもかけましょう。
ホイールを外す際は対角線の順でナットを緩めていきます。車載ジャッキを使って1輪だけを上げているときはクルマが斜めになっているので、最後に下側のナットが残るようにするとホイールが手前に倒れにくくなり作業性がアップします。ホイールが外れたらナットとスタッドボルト(クルマ側から出ているボルト)を掃除します。パーツクリーナーがあれば、パーツクリーナーを使って掃除するといいのですが、それがない場合はスプレー潤滑剤などでもオーケーです。
組み付けるときは逆の手順で行いますが、可能ならスタッドボルトには専用のグリスを塗っておきます。そうすることで固着を防ぎつつ、しっかりとナットが締まります。ナットを締めていく際は指で回して軽く入っていくことを確認します。この時点で締まらないのはナットが斜めになっているか、ねじ山が潰れているかのどちらかです。無理に締め込まずにホイールをもう一度外して、ナットがスムーズに入るかを確認しましょう。もしスムーズに入れば(ほとんどの場合は入ります)、もう一度ホイールを付けて、慎重にナットを締め込みます。
数回転締め込むことができればあとはホイールレンチや十字レンチを使って締め込んでいきます。レンチでグッとねじ込む(ホイールがしっかり固定できる)程度まで行ったら、ジャッキを下げてクルマを着地させます。その後、トルクレンチを使って規定トルクまで増し締めします。以前はトルクレンチは高価なツールでしたが現在は3000円台程度で購入できるものなので、自分でタイヤ交換やローテーションを行う人は用意しておくといいでしょう。また、タイヤ交換後は少し走ったら増し締めを行うことをおすすめします。


(文・諸星陽一)
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