【自動車用語辞典:電動部品「ワイヤレス充電」】接続不要。充電器の上に駐車するだけで充電できるシステム

■将来的には走行中の充電も可能に

●電磁誘導方式と磁気共鳴方式が有力

充電ケーブルを使わないEVのためのワイヤレス充電システムの実用化が目前に迫っています。ドライバーの充電作業の手間が省ける利便性だけでなく、充電場所の選択肢が増えるなどのメリットも期待できます。

将来的には、走行しながら充電することも視野に入れたワイヤレス充電の仕組みと開発状況について、解説していきます。

●ワイヤレス充電とは

ワイヤレス充電は、ケーブルを接続することなく、充電器の上にクルマを駐車するだけで充電できるシステムです。すでに、携帯電話や電動歯ブラシなどでは、実用化されています。

駐車場などの路面に埋め込んだ給電パッドから、車載した受電パッドに電磁誘導作用や磁気共鳴作用によって電力を給電します。それを整流処理して、車載電池を充電します。

ワイヤレス充電のメリットは、ドライバーの充電操作の手間が省ける利便性と、駐車場や一般道路など充電できる場所の選択肢が増えること、自動運転で使いやすいことなどです。

一方課題は、車体側の重量が増えることや電磁波による人体、機器への影響など安全性の懸念、
急速充電が難しいことなどです。

すでにトヨタや日産など多くの自動車メーカーは、実証試験を始めています。

ワイヤレス充電システム
ワイヤレス充電システム

●2つの充電方式

現在ワイヤレス充電の実用化に向けて、主として電磁誘導方式と磁気共鳴方式が開発されています。

・電磁誘導方式
電力供給(充電)側と電力受給(クルマ)側それぞれにコイルを設置します。充電器側のコイルに通電すると、電磁誘導作用によってクルマ側のコイルに電流が流れて充電ができる仕組みです。

携帯電話など小型機器の充電に使われているのは、主に電磁誘導方式です。仕組みが簡単である反面、伝送距離が短いというデメリットがあります。

・磁気共鳴方式
電力供給(充電)側と電力受給(クルマ)側、それぞれにコイルとコンデンサからなる共鳴回路を設けます。給電側のコイルに電流が流れて発生した磁場の振動が、同じ周波数で共振する受電側の共振回路に伝わる現象を利用します。給電回路側に通電すると、クルマ側との共鳴が発生し、充電ができます。

電磁誘導方式は構成が簡単ですが、伝送距離が数mm~10cm程度なのでEVの様な大型機器の充電には向きません。磁気共鳴方式は、長距離でも伝送できる(送電距離1mで90%程度の伝送効率)ため、現在は主流となっています。

電磁誘導方式と磁気共鳴方式
電磁誘導方式と磁気共鳴方式

●今後の展開

現在開発しているワイヤレス充電システムは、地上に給電パッドを設置した場所で充電するシステムです。将来的には、給電パッドを道路に敷設することで、走行中に充電できるようなシステムも視野に入れて開発が進められています。

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、走行中のワイヤレス充電の研究開発を進めています。その開発シナリオでは、2015年に交差点での実証試験を実施しており、2050年に高速道路での実用化を目指しています。


EV普及の障壁のひとつは、充電時間が長いこと、充電場所が少ないことです。ワイヤレス充電は、ドライバーの充電負担が軽減するために、充電頻度を増やせる可能性があります。

充電回数が増えれば、大容量の電池を搭載する必要がなくなり、車両の軽量化や低コスト化につながります。さらに走行中に充電できれば、充電という作業そのものから完全に開放されることになります。

(Mr.ソラン)

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