【自動車用語辞典:電動部品「充電システム」】EV充電の2つのスタイル、「普通充電」と「急速充電」の違いは?

■普通充電は単相電源、急速充電は3相電源を用いる

●充電器の規格は「チャデモ」と「コンボ」が統一の方向

EVとPHEVでは、外部電源によって車載電池を充電する必要があります。充電には、通常の100Vまたは200V交流電源で充電する普通充電と、専用の充電スタンドから充電する急速充電があります。

普通充電と急速充電それぞれのシステム構成と違いについて、解説していきます。

●2つの充電システム

エンジン車が燃料を定期的に補給するように、EVとPHEVでは外部電源によって車載(リチウムイオン)電池を充電する必要があります。充電方法には、普通充電と急速充電の2つの方法があります。

普通充電は、一般家庭で使用する100Vまたは200Vの単相交流電源を用います。クルマ側の車載充電器で単相の交流電源を400V以上の高圧の直流電圧に変換して、車載電池に充電します。200V電源での充電時間は、比較的小さな電池容量のPHEVで2~4時間、大きい電池容量が必要なEVで7~10時間かかります。100V充電の場合は、さらに200V充電の3倍程度時間がかかります。

急速充電は、充電スタンド側で3相200V電源を400V以上の直流電圧に変換し、車載電池と繋いで充電します。100A以上の大電流を流す(普通充電は10~20A程度)ので、電池容量にも依りますが20~30分程度の短時間で80%充電ができます。

●普通充電の構成と基本動作

車載充電器は、電源の交流電圧(例えば200V)を高電圧の直流電圧に変換するAC/DCコンバーターと高電圧を絶縁して充電電圧を発生するDC/DCコンバーター、充電を制御する充電コントローラで構成されます。

充電ケーブルを200V電源に接続すると、まず200V単相の交流電圧を高電圧の直流に変換します。充電コントローラは、電池の状態を確認してDC/DCコンバーターへ充電指示を出します。電池の充電状況に応じて、定電圧制御や定電流制御、定電力制御の3つのパターンで充電します。

●急速充電の構成と基本動作

急速充電は、充電スタンド側で3相交流200V電源をコンバーターで高圧の直流電圧に変換します。高圧の直流電圧はインバーターで高周波の交流に変換してから、昇圧トランスで昇圧して入力側と出力側を絶縁します。トランス出力を整流器で直流の充電電圧に変換し、充電します。

充電は、急速充電器のコントローラと車載電池が電池状況などの情報を交換しながら制御します。

●充電器の規格はチャデモかコンボか?

普通充電システムと急速充電システム
普通充電システムと急速充電システム

急速充電の規格は、日本が普及を進めている「チャデモ(CHAdeMO)」、欧米が進める「コンボ(COMBO)」、中国の「GB/T」、テスラの「スーパーチャージャー」があります。それぞれ充電方式、給電口構造が異なり、互換性はありません。

チャデモ方式は、普通充電と急速充電のポートを分けています。CAN通信を利用して車両側の情報を充電器に送信し、車載電池の状況に応じて充電を行います。

一方コンボ方式は、普通充電と急速充電を同じポートで行います。通信は、電力線通信を利用し電力供給側の状況も考慮して充電します。チャデモに対して利便性は高いものの、インフラ整備が遅れて普及は限られています。

チャデモとコンボは、長らく主導権争いをしていました。最近、日本と中国が充電規格の汎用化を進めることに合意するなど、チャデモとコンボも規格統一の方向に進んでいます。


EVやPHEVの課題は、コストが高いことと航続距離が短いことに加えて、充電時間が長いことです。ガソリンの補給が2~3分で完了するのに対して、急速充電でも20~30分は長いですね。

航続距離を延ばすために電池容量を増やせば、充電時間も伸びます。高電圧/高電流による充電時間の短縮が、今後より一層求められます。

(Mr.ソラン)

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