今年のヴィッラ・デステに出展された「ランボルギーニ ミウラ」の価値

Lamborghini Miura P400S

ランボルギーニ ミウラ P400S

イタリアの歌手、リトル・リーが愛した「ミウラ」

ヨーロッパで行われるイベントの中でも、もっとも品格と華があり、また長きに渡り多くの影響を与えてきた、イタリアはコモ湖で毎年開催される「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィッラ・デステ」。今年は5月24〜26日に開催され、例年同様に多くの名車が集ったが、その中でも注目すべきは、ランボルギーニのレストア部門であるポロストリコの認定を受けた「ミウラP400S」だった。

このミウラP400Sは、60年代に一世を風靡したイタリアの歌手、リトル・リーがその昔所有していた個体で、現在はイタリアのコレクターの手に渡り、ランボルギーニ・ポロストリコの認定を受けた後に、ヴィッラ・デステに出展されたものだ。

シャシーナンバー「4797」をもつこのミウラP400Sは、1971年3月2日にサンマリノ共和国に住んでいた、リトル・リー(本名:アントニオ・チアッチ)に納車された個体そのもの。彼は根っからのスポーツカー好きということもあるが、驚くことにこの他に2台のミウラを所有し、計3台購入したというから相当気に入っていたようだ。

6台しか存在しないボディカラー“アズーロ・メキシコ”

このミウラP400Sで注目すべきは、製造記録が6台のみというアズーロ・メキシコ(Azzurro Mexico)というボディカラーだ。ターコイズブルーにも似たそのボディ色は写真でも伝わるかと思うが、一種独特のカラーリング。この色を当時、用意していたランボルギーニのセンスにも驚くが、これを選ぶオーナーもかなりの目利きだと思えるほどの“名色”だろう。今は塗装技術が高いため、それほど困難ではないだろうが、1970年初頭では配合が難しい色合いということは想像に難しくない見事なカラーだ。マルチェロ・ガンディーニの手による美しいミウラのデザインをさらに引き立たせているのは間違いない。

レストアは当時の工程を尊重する流れで進められた

現在、この個体を所有するコレクターは、かつてリトル・リーが所有していたからこそ価値があると思い購入したのは明らかだが、そのレストアを受けたランボルギーニのポロストリコも相当な気合いを見せている。何しろポロストリコ部門は、ランボルギーニに保管されていたアーカイブ(資料)を元にして、パーフェクトな仕上がりを目指しただけでなく、作業方法に関しても“完璧な復元”を試み、レストア作業の各段階においても当時のサンタアガタ・ボロネーゼの工程を尊重する流れで進められたというから驚く。

それだけ歴史的価値があることは、この記述だけでも伝わると思うが、リトル・リーが所有し、しかも基調なカラーリングであることから、ランボルギーニ・ポロストリコにとっても歴史的に重要な認定になったという。2015年の発足以来、すでに多くのレストアを手がけてきたとはいえ、このような個体にはそう巡り会えないもの。ランボルギーニにとっても、ヴィッラ・デステに出展したくなるのは当然だろう。

日本では、あまり馴染みがないかもしれないが、ヴィッラ・デステに出展される個体は、ヴィンテージカーの中でも歴史的価値があるものばかり。そのうえで、過去のドキュメント、即ち、いつ誰が所有し、いつ何処で誰が直したのかなど明確になっているものしか扱われないという格式の高いイベントだ。もっとも、その昔はイタリアを筆頭に多くのカロッツェリアたちが作品(車両)を通じて、デザイン性などを競う場として盛り上がっていたが、その基質を受け継ぎながらも今ではヴィンテージカーの祭典として広く知られるようになっただけでなく、近年では再びワンオフモデルや、カロッツェリアの新作が見られるなど、毎年ユニークなモデルが発表されることでも注目を集めている。

(GENROQ Web編集部)

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