新型BMW 7シリーズ初試乗! 駆け抜ける歓びも磨かれたラグジュアリーサルーン

BMW 750Li xDrive

マイナーチェンジとはいえ、だいぶ印象は異なる

早朝、自宅を出て成田に向かい、2回のトランジットを経てポルトガル・ファーロの空港に到着したのは、現地時刻で間もなく日付が変わろうかという頃。空港を出ると出迎えてくれたのは「BMW 750Li」。まさしく今回、遠路はるばるやってきた目的の試乗モデルだ。

そそくさとリヤシートに乗り込んだのでエクステリアを確認する間もなく、夜で真っ暗だからブルーのアンビエントライトに囲まれていること以外、インテリアすらまともにわからない。むしろ、視覚的情報が入ってこない分、神経が研ぎ澄まされたような感覚だ。上下動がほとんどないフラット感、それでいて当たりの柔らかい“いなし”。足を投げ出すようにゆったり座れるスペース。26時間以上の長旅で疲れたカラダをいたわるかのような極上の乗り心地と高い静粛性により、快適な空間に包まれながらホテルまでショーファードリブンを堪能した。

BMWは上級モデルといえども「ドライバーズカー」の、セダンであっても「スポーティカー」のイメージが強いが、マイナーモデルチェンジされた7シリーズは、ショーファーカーとしても魅力的なラグジュアリーサルーンであることを、この時すでに確信した。

翌日、ホテルのエントランスに整然と並ぶ7シリーズと改めて対面した。キドニーグリルがおっきい! 40%もサイズアップが図られたという。もちろん、存在感を増すためだ。しかし、驚くほど大きいのに、ボディ全体のデザインとマッチし、いやみな印象はまったくない。ボンネットが5cm高くなり、フロントマスクのバランスが取れているのだろう。一方、ライトは前後ともスリムになった。

特にリヤは、クロームバーの下で左右のライトがつながっているのが新鮮。昼間は目立たないが夜は際立つ。サイドビューは、フロントタイヤの後ろにある、垂直にレイアウトされたエアブリーザーが新しい。キャラクターラインも加わっている。そして、リヤホイールアーチのデザインは静粛性向上にも寄与しているという。なるほど、ショーファーであれほど快適だったのが頷ける。エギゾーストもワイドになり、つまり、グリル以外は水平方向を意識させるラインやデザインが多く、クロームラインもアクセントとなって、力強くもエレガントさを感じさせる。

市場を意識したデジタル環境

「プレゼンス」を上げるエクステリアデザインとなったのには、マーケットの影響も大きい。7シリーズは、アジアマーケットで成功を収め、中でも中国が41%のシェアを占める。「大きいこと」を良しとする価値観の国。そして、その平均年齢は38歳と若く、デジタル化を求める声も多いという。今回、BMWはそのニーズに積極的に対応している。

インテリアもかなり雰囲気が変わった。コニャックというカラーのナッパレザーでステッチの入ったシートは室内を明るくしている。

センターコンソールも広々で、シフトノブはスワロフスキーのクリスタル。スマホの非接触チャージトレーも備える。従来の7シリーズは「上質感」や「高級感」はあったものの、どちらかといえば地味な印象。だが、新型は格段に明るくラクジュアリーな雰囲気となった。

新型V8エンジンは、530ps&750Nmを発揮!

試乗モデルの「BMW750Li xDrive」は、新しいV8 4.4リッターガソリンエンジンを搭載し、390kW(530hp)/5500-6000rpm、750Nm/1800-4600rpmのパワースペック、そして8速ATが組み合わされる。

快適性は既に確認済みだが、ドライブフィールがどうなったか興味深い。が、ステアリングを握れば、あのBMWらしい“カチッ”としたステアフィール、切れば“即レス”の応答性があった。ターボの存在を感じさせないフラットトルク&パワフルなエンジンも気持ち良いが、中でも驚いたのがシームレスなドライブフィールだ。一般道からワインディング、そして高速まで、あるいはクルージングからスポーツドライビングまで、あらゆる速度域における加減速でも「トランスミッション」の存在感のない、滑らかなパワートレーンの仕事ぶりに舌を巻いた。

リニアなハンドリングと4WDの安定感

一方で、ハンドリングの気持ち良さもまったくスポイルされていない。クルマのキャラクター的にも攻めた走りをしたわけではないが、切っただけ曲がり、踏んだだけ進む、リニアなレスポンスと4WDの安定感のバランスが心地よい。アダプティブダンパーを備えるエアサスが標準装備され、あらゆる路面でも、どんな操作にも、しなやかかつフラットにボディコントロールする。それゆえ、これほどロングホイールベースのクルマであっても操舵に対して一体感ある身のこなしをするので、ドライバーは爽快に走れ、リヤシートでも振り回される感がなく酔い知らずの快適性を味わえる。

コンフォート、エコプロ、スポーツを選べるドライブモードはお馴染みだが、スポーツモードの時、ドライビングイフォメーションのアプリから設定していくと、なんとフリクションサークルが表示される。さらに、発生しているトルクや排気圧、エンジンオイル温度までも。まるでスポーツカーのようだ。つまり、コンフォートだけでなく、ダイナミクスにも自信あり!ということだ。ちなみに、エコプロモードでは、ドラビングスタイルの効率や燃費などが表示できる。

進化したACCとLKAにも注目!

高速道路では、運転支援システムを試した。先進装備フル完備はもちろんだが、運転がうまい! 車線の真ん中を“ピタッ”とセンタリングした直進性、カーブではスムースかつ緩やかな操舵で、“BMW Driving Experience”で教えている通りの角のない運転を披露する。

ACC、LKAの機能も進化している。ACCでは、上限スピードを制限速度に設定することができる。たとえば100Km/hで走っていて制限速度が120Km/hになると、自動的に120Km/hまで加速、逆のパターンなら減速してくれる。LKAは、ウインカーを出すとレーンチェンジする機能が加わった。ちなみに中国とアメリカでは、60Km/hまでハンズフリーが可能とのこと。とはいえ、あくまでレベル2なので脇見や居眠りは許されず、カメラでドライバーの目を監視しているそうだ。各国のレギュレーションに沿った制御となっている。試乗車は、手放しの警告を無視し続けると減速し、やがて停止する(そこまで試していないが)。また一歩、自動運転に近づいた感がある。

自動化されると均質化されクルマの個性が失われるのでは、という心配もあるが、それはまったくの間違いであると今回、実感した。少なくとも現状は、自動運転にも上手下手がある。そして750Liは、安心して操作を委ねられる。さらに、ハンドルを握っていなくても、サウンドは聞こえるし(あるいは静粛性)、乗り心地の差(シャシー性能の差)もある。自らステアリングを握るドライビングプレジャーとは異なるが、ACCをセットして走っている間も、明らかに「気持ち良さ」が感じられ、ちょっと嬉しかった。

7シリーズは“ハッピー”なフラッグシップサルーン

さて、「コネクテッド」もインターフェースは新しくなり、ソフトウェアも最新のiOS7にアップデートされている。「Hi,BMW」と呼びかけると立ち上がる。が、これがなかなか反応してくれない。ようやく反応し走行中今度は「too hot」と呼びかけてみたところ、ピザハットのお店のリストが表示された・・・。う〜ん、英語の発音から勉強し直さないとダメか・・・。そうかと思えば、助手席でペチャクチャおしゃべりしてたらゼスチャーコントロールが反応し、突然ラジオから音楽が流れ出す。何か、車内にもうひとり存在するかのような感じ。最新のインフォテイメントは使いこなせば便利だが、AIを手懐ける必要もあるし、新元号が発表され、さらに旧さを感じる昭和世代には、正直、ハードルの高さも否めない感があった。あくまで個人的な印象だが。

ルックスも走りも俄然、ラクジュアリー感を増したニューBMW 7シリーズ。もちろん「駆け抜ける歓び」もある。従来、ドライバーズシートが特等席であったが、「上質な移動空間」という意味では、リヤシートもかなりの特等席となっている。つまり、乗員皆んなが長距離さえも上質で快適な移動の時間と空間を共有できるハッピーなラグジュアリークラスのフラッグシップモデルなのだ。

REPORT/佐藤久実(Kumi SATO)

【SPECIFICATIONS】

BMW 750Li xDrive

ボディサイズ:全長5260 全幅1902 全高1479mm
ホイールベース:3210mm
トレッド:前1621 後1650mm
車両重量:2000kg

エンジン:V型8気筒DOHCツインスクロールターボ
総排気量:4395cc
ボア×ストローク:88.3×89.0mm
圧縮比:10.5
最高出力:390kW(530ps)/5500 – 6000rpm
最大トルク:750Nm/1800 – 4600rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD

サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後5リンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前後245/45R19(8.5J)

最高速度:250km/h
0 – 100km/h加速:4.1秒
CO2排出量(EU6d):218 – 218g/km
燃料消費量(EU複合):9.6 – 9.5L/100km

(GENROQ Web編集部)

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