伝説のブロワーよ永遠に。創業100年を迎えたベントレーのとびきりの限定モデル

Bentley Blower

ベントレー ブロワー

“ベントレー・ボーイ”こと、バーキン卿の活躍

2019年、創業100周年を迎えるベントレー。その歴史を紐解くと、自動車業界に革新を起こす、エポックメイクな車種がいくつも登場してきた。その中でも屈指の1台と言えるのが、スーパーチャージャー付きエンジンを搭載した「ブロワー(Blower)」だろう。

1929年にデビューすると「ベントレー・ボーイ」として知られるヘンリー“ティム“バーキン卿がステアリングを握った「ブロワー」は、各地のサーキットで素晴らしいスピードを披露。その後もバーキン卿のスピードへのあくなき追求心が「ブロワー」のさらなる開発を進めた。それが、ル・マン24時間レースやフランス・グランプリにおける歴史的な走りを後押しすることになる。

創業者ウォルター・オーウェン(W.O.)・ベントレーが開発し、1927年に登場した「ベントレー4 1/2リッター」は、当時その高性能から一世を風靡した。ところが、翌1928年にはレースの世界において、戦闘力に陰りが見え始める。W.O.は「4 1/2リッター」の排気量を拡大した「6 1/2リッター」を投入し、このモデルは1929年、1930年のル・マン24時間を連覇する。

革新的なスーパーチャージャーの搭載

しかし、バーキン卿は、「6 1/2リッター」の活躍に満足していなかった。彼は革新的な過給機「スーパーチャージャー」を既存の「4 1/2リッター」に搭載することをベントレーに求めたのだ。当初、W.O.は難色を示したものの、バーキン卿はベントレーの新しいオーナー兼会長で、ベントレー・ボーイズの一員でもあった英国の投資家ウルフ・バーナートを説得。スーパーチャージャーを搭載した「ブロワー」を5台製作させる。さらに当時のレース規定を満たすため、公道走行用として50台の「ブロワー」も生産した。

スーパーチャージャーをクランクシャフトの前方に配置する「ブロワー」は、それまでの車種とは完全に異なる外観をもつことになった。過給により「4 1/2リッター」の出力は110psから175psにアップし、バーキン卿がステアリングを握ると、感動を覚えるほどのスピードを見せたという。第一次世界大戦を戦った経験を持つバーキン卿は、危険を顧りみない豪胆さでサーキットを席巻した。

メルセデスとベントレーが激突した1930年のル・マン

1930年のル・マン24時間における、バーキン卿とメルセデス・ベンツのドライバーだったルドルフ・カラツィオラとのバトルは伝説として語られているほどだ。ベントレーは、このシーズンのル・マン24時間のために3台の「スピード6」と、バーキンのスーパーチャージャー付「ブロワー」でベントレーチームを編成する。

バーキン卿とカラツィオラは、スタート直後から互角の戦いを演じ、熾烈なバトルが繰り広げられる。しかし、どちらのドライバーも完走することができず、最終的にレースはバーナートが駆った「ベントレー スピード6」が勝利を収めている。

「ブロワー」のピークはフランス・ポーで行われた1930年のフランス・グランプリだろう。当時、より車重の軽いブガッティが数多く参戦し、スピードを見せるなか、車重2トンもあるベントレーが2位表彰台に上がったのだ。ブロワーは現在でもグランプリを走った史上最も重いクルマだと信じられている。

後に「ブロワー」をシングルシーターに改造したマシンが英国サリー州ブルックランズのバンク付きサーキットでレースに参戦。このマシンはエンジン出力を240psまで上げられており、最高速度は222km/を記録している。

Bentley Continental GT Number 9 Edition by Mulliner

ベントレー・コンチネンタルGT ナンバー9 エディション by マリナー

バーキン卿の「ブロワー」から取られた木片をインテリアに

ベントレーは2019年の創業100周年を記念して「コンチネンタルGT」に究極のコレクターズ バージョンを造り上げている。バーキン卿に敬意を表し、ベントレーのレーシングカーにインスパイアされた「コンチネンタルGT ナンバー9エディション・バイ・マリナー」は、伝説の「ブロワー」の特徴的な機能が採り入れられた。

先日のジュネーブ・モータショーで披露され、限定100台が製作されるこの特別仕様には、1930年のル・マンを戦ったバーキン卿のレーシングカーから譲り受けた木片がインテリアにあしらわれている。この木片は、レストアの際にオリジナルの「ブロワー」のシートから取り外されたものだ。

「コンチネンタルGTナンバー9エディション・バイ・マリナー」は、2019年モデルのコンチネンタルGTをベースに英国、クルーのマリナーにて手作業ですべてが製作される。

(GENROQ Web編集部)

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