クルマを芸術品にまで昇華させたブガッティの伝統とテクノロジー

Bugatti Chiron Sport “110 ans Bugatti”

ブガッティ シロン スポーツ “110 ans Bugatti”

到達できない完璧を求め続けた、ブガッティの歴史。

ブガッティの創始者である、エットーレ・ブガッティは常々「完璧には、決して到達できない」と言っていた。それでも彼は生涯を通して、クルマの構造、品質、技術的な洗練、デザインなど、完璧を目指し続けていた。そして、その結果として「タイプ35」「タイプ41」「タイプ57」など、伝説的な名車たちが生まれることになった。

Bugatti Type 57 SC Atlantic

ブガッティ タイプ57Sクーペ アトランティーク

なかでも特筆すべき1台を挙げるならば「タイプ57Sクーペ アトランティーク」だろう。たった4台が製造され、その美しい外観、スポーティな雰囲気、贅沢さと優雅さの極致は、この100年を通して最も貴重な乗り物と言っても過言はない。そして、80年前に造られた“アトランティーク”は、現在の「ブガッティ シロン」の礎にもなった。

1936年に登場した「タイプ57Sクーペ アトランティーク」は、ジャン・ブガッティによるスポーツカーとラグジュアリーカーの完璧な融合と言える存在だった。直列8気筒エンジンは200psを発揮し、最高速度は200km/hを超える実力を誇った。そのデザインや性能だけでなく、快適性においても“グランツーリスモ”の概念を作ったと言われている存在だ。

ブガッティのステファン・ヴィンケルマン社長は、「タイプ57Sクーペ アトランティーク」と現在の「シロン」は地続きにあると強調する。

「エットーレと息子のジャン・ブガッティは、常に洗練さ、そして理想的なパワーウェイトレシオを追求する完璧主義者でありました。そして、自動車産業に先進的な技術を導入した先駆者でもあります。彼らが開発したすべてのモデル、特に『タイプ57Sクーペ アトランティーク』がその象徴です。そして、我々はこの伝統を引き継いでいました。エットーレやジャンと同様に、可能な限り“完璧”に近づくことが我々の願いです」

Bugatti Type35

ブガッティ・タイプ35

1924年に発表された「タイプ35」は、レーシングカーとして大活躍した。パワフルで速く、そして何よりも美しいエクステリアを持っていた。当時としてはワイドなトラックと特徴的な長く先細のテールは、同時代のライバルにはないエレガントさをたたえている。1930年代半ばまで活躍した「タイプ35」は、2000近いレースで勝利を記録。史上最も成功したレーシングカーのひとつに数えられている。

Bugatti Type41 Royale

ブガッティ・タイプ41ロワイヤル

ブガッティはレーシングカーに特化したメーカーではなく、どこまでもゴージャスな高級車も世に送り出している。「タイプ41ロワイヤル」は、当時も、そして現代でも最も贅沢なクルマとして知られている。ジャン・ブガッティ(写真上)によりデザインされた優美なボディは、今もその輝きを少しも失っていない。1928年から1933年にかけて作成された車両は、わずか6台。排気量12.8リッター直列8気筒エンジンは、300psを超えるパワーを誇った。

建築や彫刻から得たインスピレーション。

エットーレ(写真)とジャンのブガッティ親子は、自動車をデザインするにあたって、建築、彫刻、家具などからインスピレーションを得ていたという。彼らにとって自動車とは単なる移動手段ではなく、車輪の上に存在する芸術品だったのである。

1909年の創業以来、デザインと芸術性はブガッティにおいて、大きなウェイトを占めている。創設者であるエットーレ・ブガッティはミラノの芸術一家に生まれた。父親のカルロは家具・宝飾品のデザイナーであり、その弟のレンブラントも彫刻家である。

エットレー自身も芸術家になることを望まれていたが、技術的なことにより大きな興味を持っていた。彼はミラノ芸術アカデミーにおいて彫刻を学んだが、その後、自転車製造業者で見習いとして働くことを選んでいる。

Bugatti Chiron

ブガッティ シロン

「Cシェイプ」にも見られる、機能とデザインの両立。

すべてのブガッティ、特に「タイプ41」と「タイプ57Sクーペ アトランティーク」に顕著だが、機械としての機能が芸術品の美しさをたたえることを証明している。機能を持った高度な技術、使用された素材の品質が、芸術の概念を打ち壊したのだ。長いボンネットの下に隠された直列8気筒エンジンすら、美しさの点で著名な彫刻品に劣っていない。

そして、「シロン」をはじめとする現行ブガッティの「Cシェイプ」は、デザインとしての過去のオマージュという意味だけでなく、1500hpを誇る8リッターW型16気筒クワッドターボエンジンに、効率的にフレッシュエアを導くという機能を持ち合わせているのである。

ブガッティのチーフデザイナーを務め、最新の「シロン」や「ディーヴォ」を手がけたアキム・アンシャイト(写真)は、以下のように締めくくった。

「ハンドメイドにより丹念に時間をかけて造り上げられた自動車は、芸術品になります。その事実を証明しているのが“アトランティーク”なのです。目に美しいだけでなく、その背後には実用的な機能も備えています。それは、誰もが知るブガッティのBピラーを囲む『Cシェイプ』にも見ることができます」

(GENROQ Web編集部)

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