「ランボルギーニ ウラカンEVO」動画レポート! 大谷達也が驚愕の進化を伝える。

Lamborghini Huracan EVO

ランボルギーニ ウラカン EVO

ドライのサーキットで自在にパワードリフトを楽しめる。

目の前を走る「ランボルギーニ・ウラカンEVO」のテールがアウトに流れた。そう思った直後、自分が乗る「ウラカンEVO」もリヤタイヤがムズムズし始める。やがてインストラクターが操る先行車と同じようにコーナーの立ち上がりでテールスライドを開始。ただし、ここから先は短いストレート区間となるため、スロットルペダルを緩めればインストラクター車に引き離されてしまう。

私は右足に込めた力をむしろ少し強め、それとバランスをとるようにカウンターステアをあてた。それも、瞬間的な修正舵でリヤタイヤのグリップを回復させるのではなく、オーバーステアを保ったまま加速していくドライビングスタイルだ。2輪駆動で同じことをすれば、エンジンパワーによって駆動輪はアウト側に流れるばかりだろうが、4輪駆動のウラカンEVOはそんな状態でもしっかりとトラクションを確保。確実に前進する力を生み出していく。いわゆるパワードリフトの状態だが、ドライのサーキット走行でこれほど自在にパワードリフトをコントロールできたことは、私の人生で初めてだ。

私のドライビングスキルがこの日、急上昇した?

いや、そんなことはあるまい。実際には、ウラカンEVOの電子制御システムが私の意図をくみ取り、ドライバーが希望するとおりの挙動を生み出してくれるから、こんなダイナミックな走りがいとも簡単にできてしまうのだ。そしてこれこそ、ウラカンEVOの最大の魅力といえる。

パワーユニットに加えて“頭脳”も大幅に強化。

ウラカンEVOは10気筒エンジンを積む“ベイビー・ランボ”のフェイスリフト版。その主な変更点は、エンジンを現行型ウラカン・ペルフォルマンテ用に換装して+30psの640psと+40Nmの600Nmを獲得。さらに、前期型ウラカンにはなかった4WSを初装備するとともに、その能力をフルに発揮させるための“頭脳”も大幅に強化。4WD、4WS、可変ダンパー・システムに加えて新たにトルクベクトリングまでこの“頭脳”がコントロールすることで、パワードリフトからラップタイム優先のグリップ走行までドライバーが選択できる“スーパーハンドリングマシン”に生まれ変わったのだ。

この多彩なハンドリングを実現するモード切替が、ウラカンの「ANIMA」(イタリア語で“魂”の意味)である。ここに用意されたモードのひとつである「ストラーダ」は公道走行用のもっともマイルドな設定。そして「スポルト」はオーバーステアを自在にコントロールできる“ファン・トゥ・ドライブ”優先のセッティング。最後の「コルサ」は、その名のとおりサーキットをもっとも速く駆け抜けるためのモードである。バーレーン・インターナショナル・サーキットでの3セット目の走行に際して、私はドライバーがコントロールできる余地のもっとも大きいスポルトを選択していた。

「ANIMA」のモード変更で劇的に挙動が変化。

いうまでもなくスポルト・モードがもたらす走りは文句なしに痛快だが、このままではインストラクター車を追い詰める(私はそんな不埒なことを考えていたのだ!)のは難しい。そこでラップタイム重視の走りが可能になるコルサ・モードに切り替えた。すると、先ほどまで強いブレーキングだけでテールアウトの姿勢をとろうとしていた傾向がすっかり消え去り、リヤのスタビリティが格段に向上した。

これなら安心してハードブレーキングを試せる。しかも、クリッピングポイントを通過してスロットルペダルを踏み込んでいくと、エンジンパワーが4輪を通じて路面に伝えられ、スポルト・モードよりさらに力強く前に進んでいくようになった。このとき、ウラカンEVOはオーバーステアというよりもニュートラルステアを示し、ドライバーはそれまでコーナーに向けて切っていたステアリングを少しだけ戻したくなる。いうまでもなく、もっとも効率的に加速できるドライビングスタイルだ。

「これだったらインストラクターを追い詰められるかもしれない」 私はそんな淡い期待を抱いたが、前を走るウラカンEVOとのギャップは思ったほど縮まらない。よくよく観察すれば、後方から眺めるインストラクター車もそれまでのオーバーステア傾向が影を潜め、ニュートラルな姿勢でコーナーを立ち上がっていくではないか。どうやら私が操るウラカンEVOの挙動を目ざとく見抜いたインストラクターもANIMAのコルサ・モードを選択。私を引き離す作戦に打って出たようだ。

スクアドラコルセ所属のインストラクターも本気に?

ランボルギーニ・スクアドラコルセ所属のインストラクターをそこまで本気にさせられたことに、私は軽い達成感を覚えた。もちろん、彼がまだマージンを残していることは疑う余地がない。それでも「スポルト・モードのままでは追い付かれる」と感じさせる程度の走りはできたのだから、私がささやかな喜びを感じたとしてもお許しいただけるだろう。

それもこれも、ウラカンEVOの際だって優れたドライバビリティのおかげであることは間違いない。しかも、スポルトでは積極的に振り回すことができるセッティング、コルサでは徹底的に速さを追求したセッティングと、大きく異なるふたつのキャラクターを高い次元で両立させた点が素晴らしい。どうやらスポルト・モードではブレーキング時やコーナリング時に4WSを逆位相としてあえてスタビリティを落とし、テールスライドを引き起こしやすくしているほか、コルサ・モードでは同位相にしてより高いロードホールディングを可能にしているようだ。

快適さとパフォーマンスの見事な両立。

もちろん、これはウラカンEVOが行う電子制御のごく一部に過ぎない。そうでなければ、あれほど様々なドライビングに対応できるはずがないからだ。そしてもうひとつ重要なのが、そうした電子デバイスの介入をドライバーはほとんど感じ取ることができない点にある。だから、ウラカンEVOをサーキットで走らせたドライバーは、きっと「あれ、オレってこんなにテクニックがあったんだ?」と思うに違いない。試乗し始めた当初に、私がそう勘違いしかけたように……。

今回は一般道で試乗するチャンスはなかったが、ランボルギーニの技術部門を統括するファブリツィオ・レッジャーニは「ダンパー・システムの制御が緻密になったので、路面から大きなショックを受けた後の微振動の収束は改善しており、乗り心地はよりよくなっているはず」と語った。いっぽうで4WSの装備により、メカニカルグリップは現行ペルフォルマンテに匹敵するレベルまで向上した可能性がある。

つまり、快適性ではスタンダードなウラカンを上回るいっぽう、パフォーマンスではペルフォルマンテと肩を並べるレベルにあると予想されるのだ。それだけ守備範囲が広がったところに、第2世代ウラカンの進化の後が見て取れる。もっとも、これはまだ第一弾に過ぎない。なぜなら、今回テストしたウラカンEVOはフェイスリフト版のスタンダードモデルとの位置づけだからだ。ここを出発点としてウラカンEVOがどんな展開を見せるのか、強い期待を持って見守りたい。

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)

※本記事は、2019年2月1日掲載の原稿より転記。

レース仕様を模してハイマウントされたエキゾーストパイプ。

「ウラカンEVO」に搭載される、5.2リットルV10自然吸気ユニットは、チタン製エアバルブを採用し、排気システムの改良を敢行。出力アップに加えて、これまで以上にエモーショナルなサウンドも手に入れた。乾燥重量は1422kg、パワーウェイトレシオは2.22kg/hpに達し、0-100km/h加速は2.9秒、最高速は235km/hのスペックを持つ。

エクステリアも見直され、一体型ウィングを備えたフロトスプリッター、テールの多段型一体型スポイラーなどにより、エアロダイナミクス性能が大幅に向上。リヤバンパーの高い位置に新開発のスポーツエキゾーストシステムのツインアウトレットを配置するなど、ウラカンのレース仕様で取り入れられたレイアウトが採用されている。

様々な操作が可能な8.4インチタッチスクリーンを装備。

インテリアは「アルカンターラ・EVOトリム」とレザーの組合せが特徴となる。様々なカラーの組み合わせが用意されており、要望に応じてカーボンコンポジットや特許を取得した「ランボルギーニ・カーボン・スキン」などの軽量素材も選択可能。

センターコンソールのスタートボタンの上には「8.4インチHMIタッチスクリーン」を配置。ドライバーはマルチフィンガージェスチャーコントロールを通じて、手元でコネクティビティシステムを利用することができる。このタッチスクリーンは、シートポジション、温度調節、LDVIシステムの状態など、車両の機能をリアルタイムでモニターしており、「Apple Car Play」など、スマートフォンと接続することも可能だ。

【SPECIFICATIONS】

ランボルギーニ ウラカン EVO

ボディサイズ:全長4520 全幅1933 全高1165mm
ホイールベース:2620mm
トレッド:前1668 後1620mm
車両重量:1422kg

エンジン:90度V型10気筒自然吸気
総排気量:5204cc
ボア×ストローク:84.5×92.8mm
圧縮比:12.7:1
最高出力:470kW / 640hp/8000rpm
最大トルク:600Nm/6500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD

ステアリング形式:電動式パワーステアリング 可変ステアリングレシオ付きLDSステアリング
サスペンション形式:前後アルミ製ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
ディスク径:前380×38 後356×32mm
タイヤサイズ:前245/30R20 後305/30R20

最高速度:325km/h
0-100km/h加速:2.9秒
0-200km/h加速:9.0秒

車両本体価格:2984万3274円(税別)

(GENROQ Web編集部)

【関連リンク】
ランボルギーニ カスタマーセンター TEL  0120-988-889
https://www.lamborghini.com/jp-en

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