雪道注意! タイヤチェーンは駆動輪に装着するのが鉄則。つけ方を誤るとどうなる?【2023年版】

■タイヤチェーンは駆動輪に装着。4WDの場合は前輪?後輪?

2018年12月、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような降雪の際、指定の区間でタイヤチェーン装着を義務付けることを国土交通省、および警察庁が発表しました。

JAFによるタイヤチェーンテスト。正しく前輪(駆動輪)に装着した例
JAFによるタイヤチェーンテスト。正しく前輪(駆動輪)に装着した例

これまでに、降雪が要因の大規模な立ち往生や通行止めなどが発生した区間のうち、タイヤチェーンの着脱場所や待機場などが確保されている、国道6区間、高速道路7区間が指定のエリアとされています。

冬用タイヤを装着しているクルマも義務の対象となるため、ふだん大雪が降る地域にお住まいでなくとも、外出先などでチェーンを装着しなくてはならない状況に見舞われる可能性があるんです。

JAFによるタイヤチェーンテスト。誤って後輪(非駆動輪)に装着した例
JAFによるタイヤチェーンテスト。誤って後輪(非駆動輪)に装着した例

ところで、チェーンは駆動輪に装着するのが鉄則ですが、迷うのは4WDかもしれません。フルタイム4WDであってもFFベースならフロントに、FRベースならリヤに、パートタイム4WDも駆動輪に装着。どちらに装着すればいいのか迷ったら取扱説明書をチェックしましょう。

それでも、誤って駆動輪以外に装着してしまうケースがあるそうで、JAFでは装着するタイヤの位置の違いでどのような影響を及ぼすのか、FFのテスト車を使い2つの実験(路面はいずれも圧雪路)を実施したそうです。

なお、タイヤチェーン(非金属タイプ)はノーマルタイヤ(サマータイヤ)に装着され、チェーンもタイヤも新品という条件。

JAFによるタイヤチェーンテスト。テストに使用したのは非金属製タイプ
JAFによるタイヤチェーンテスト。テストに使用したのは非金属製タイプ

登坂テストでは、勾配12%の坂道を上りきれるのかを検証。勾配12%というとなかなかの登坂路といえます。

タイヤチェーンを正しく前輪(駆動輪)に装着した場合は、チェーンが雪面をしっかりグリップし、スリップすることなく坂道をクリアできたそう。一方、後輪(非駆動輪)に装着した場合は、 坂道の途中でタイヤがスリップしてしまい、上りきれなかったそう。

JAFによるタイヤチェーンテスト。旋回試験
JAFによるタイヤチェーンテスト。旋回試験

旋回テストも行われています。旋回路(R=6m)に30km/hで進入し、パイロンに沿って曲がれるかを検証。タイヤチェーンを前輪(駆動輪)に装着すると、ステアリングの操作に合わせて車両の向きが変わり、パイロンに沿って曲がることができました。

一方、後輪(非駆動輪)に装着すると、ステアリングを左に切っても操舵輪である前輪がスリップし、走行ラインは外側に大きく膨らんでしまったそう。

参考テストとして、ブレーキテストも行われました。平坦路において40km/hからABSが作動する急ブレーキを踏み、停止するまでの制動距離を計測器で測定。

JAFによるタイヤチェーンテスト。制動試験
JAFによるタイヤチェーンテスト。制動試験

後輪(非駆動輪)にチェーンを装着すると、前輪(駆動輪)に装着した際と比べて、約7mも制動距離が延びました。JAFでは、ブレーキング時は前輪に荷重がかかり前輪の制動力が重要になるため、とくに誤装着の影響が大きくなったと分析しています。

年末年始に帰省やレジャーで降雪地帯に移動される方は、チェーンの装着方法だけでなく、前輪と後輪どちらにチェーンを装着するか確認してから出発しましょう。また、チェーンを装着しているからといって安心せず、安全運転を心がけてください。

※2018年12月29日の記事を2023年2月9日に追記・再編集しました。

塚田勝弘

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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