【初試乗】新型「マカン」に感じた、ポルシェ流スポーツSUV進化論。《動画レポート》

Porsche Macan

単なる化粧直しではない「新型 マカン」。

2013年にポルシェ6番目のモデルとして発表され、翌年より発売を開始した「マカン」は、これまでのわずか4年で累計販売台数35万台を超える大ヒットモデルとなった。2017年の実績では、ポルシェの世界販売の実に4割近くを占めるという非常に重要な存在となったのである。

もちろん、折からのコンパクトSUVブームの後押しを受けた部分はあるだろう。しかしながら、やはり最大の要因は、実際に見て、触れて、乗って「間違いなくポルシェだ」と感じさせるクルマに仕上がっていたことに違いない。

そんなマカンの初のフェイスリフトは、いつものポルシェの流儀で単なる化粧直しには終わっていない。スペインはマヨルカ島で対面した、まず登場するマカン、そしてマカンSの2モデルは、いずれも大幅なアップデートが図られていたのだ。

とはいえ、外観の変更点はさほど多くない。LEDヘッドランプが標準装備となり、フォグランプがそこに内蔵されたことでバンパーは開口部が広げられ、またリップスポイラーも標準装備となった。この開口部の左右端は911GT3と同様の多くの空気を効率的に取り込むサイドエアブレードとされていて、ファンを思わずニヤリとさせる。

サイドビューの違いは、18〜21インチまで各種設定されるホイールのデザイン変更と、ドアパネル下側でアクセントになっているサイドブレードにシルバー、ハイグロスブラックの2色が新たに加わった程度。

一方、リアにまわると最新のポルシェに共通の、左右テールランプ間を一直線のLEDライトストリップで繋ぎ、その下に「PORSCHE」の文字を挿し込んだエレメントが採用されている。LEDで左右テールランプ間を繋いだデザインは近頃、他社でも例が見られるが、そこにブランドロゴが入ったデザインは、往年のファンも納得に違いないポルシェの確固たるアイデンティティだ。

911譲りのGTスポーツステアリングを設定。

インテリアの最大の変更点は、10.9インチの大型タッチスクリーンを用いた最新のPCM(ポルシェ・コミュニケーション・マネージメント)の搭載である。これに伴いエアベントの位置が移動して、ダッシュボードは横基調に印象を変えている。この雰囲気は新型911にも通じるものと言える。

やはり911譲りとなる小径360mmのGTスポーツステアリングも新たに設定された。スポーツクロノパッケージ装着車ではスポーク脇のダイヤルスイッチで、NORMAL/SPORT/SPORT PLUS/INDIVIDUALの各走行モードの切り替えが可能になり、その中央にはワンプッシュで20秒間、エンジンとPDKがフルパフォーマンスを発揮できる設定に切り替わるスポーツレスポンスボタンも備わる。

他にもイオナイザー、要するに車内環境を改善するイオン発生機がオプションで設定された。また本国仕様では遮音ガラス、ヒーテッドガラス、前走車の急ブレーキ情報からブレーキ圧を高めるなど車車間通信により危機回避を支援するリスクレーダーなる安全装備も用意されている。

エンジンが変更された「マカンS」

最初にステアリングを握ったのは「マカンS」に、オプションの21インチの大径タイヤ&ホイール、そしてアダプティブエアサスペンションを装着したモデル。実はこの時点では発表前ということで、マカンSだけ試乗車はすべてモデル名バッジ無しという珍しい仕様だった。

マカンSはエンジンが変更されている。従来のインテグレーテッドドライサンプのV型6気筒3リッターツインターボユニットに代わって、同じV型6気筒3リッターのシングルターボが搭載さているのだ。従来、Vバンクの外側に1基ずつ備わっていたターボチャージャーは、Vバンク内に収められる1基に。しかしながら最高出力は340psから354psへと増強されている。察しの言い方なら、これがアウディSQ5と共用であること、すぐにピンと来ただろう。但しギアボックスはSQ5の8速ATとは異なり、従来通り7速PDKを組み合わせる。

俊敏性が際立つシャシー性能。

進化は走り出してすぐに実感できた。ステアリングの手応えが格段にクリアになり、しかも実に爽快なレスポンスを示すのだ。最初、ギア比を速めたのかとも思ったほど、ノーズの入りが軽やかになっている。

当然、サスペンションセッティングは変更されているのだが、違いはそれだけではない。実は前期型に於いてもハード、ソフト、各1回ずつアップデートされていた電動パワーステアリングの制御が更に改良され、またフロントサスペンションのスプリングフォーク・・・。要するにスプリングシートからハブキャリアに至る部分がスチール製からアルミ製とされたことで片側約1.5kgずつ軽くなっている。これに前述の小径ステアリングが相まって、俊敏性が際立たせられたのだ。

この変更は快適性にも貢献しており、剛性感高いボディ、明らかにしなやかさを増したエアサスペンションとの上々のマッチングにより、常に姿勢をフラットに保ちながらも、あらゆる入力のカドが丸められた、非常に上質な乗り心地が実現されている。思わず「本当に21インチタイヤを履いていたよな?」と、車外に出て見直してしまったほどである。

回せば粒が揃うエンジンフィール。

気になるエンジンは、低回転域から力強いトルクを発生して、そのままスムーズにトップエンドへと至る。細かい目で見れば従来に較べて、特に低回転域でラフな印象だし、トップエンドの伸び切り感もそこそこだが、回すほどに粒が揃っていき、パワーも増してくるマルチシリンダーの旨味はしっかり感じられる。フィーリング云々の前に、ツッフェンハウゼン製じゃないことに少し寂しくさせられるのは事実だけれども・・・。

この後には同じマカンSの20インチタイヤ、コイルサスペンション+PASMという仕様も試した。印象として、スポーティさは変わらず。19、20インチでは走りの切れ味を更に高めるべく、リアホイールのリム幅が拡大されているのも効いているのかもしれない。

但し乗り心地は、やや硬めだ。知らなければ十分満足できたかもしれないが、マカンSではエアサスペンションは必須というのが筆者の実感である。

予想を超えて好印象な、ベーシック「マカン」

更に続いてベースグレードの「マカン」に同じ20インチタイヤ、PASMの組み合わせに乗ると、意外なほど印象が違っていた。まず乗り心地が、断然しなやかで快適。しかもノーズの入りが格段に軽快で実にスポーティなのである。エンジン重量の軽さの恩恵は相当なもののようだ。

直列4気筒2リッターターボエンジンは従来型から継承されている。ヨーロッパ仕様ではガソリン・パーティキュレート・フィルターが装着されるため最高出力が245psに下がったが、日本向けは252psで変わらない。

改めて試すと低中速域では、マカンSを凌ぐのではないかというぐらいトルクのツキが良く、高回転域も案外良く伸びて、絶対的な速さではともかくスポーティさでは決してヒケを取っていないと感じた。もし自分で今選ぶなら、敢えてベースグレード、それも20インチまでのタイヤにPASMという仕様は有力な候補になるだろう。

「マカン」の納車開始は2019年夏。

「マカン ターボ」に関しては本国でも未だアナウンスは無い。ガソリン・パーティキュレート・フィルターへの対応に時間を要していて、販売ボリュームの大きいモデルから順にリリースしている状況だとエンジニアは話していた。

日本では2018年12月に、まずベースグレードのマカンが発表された。マカンSも年明け早々に続く予定だという。この日本仕様についても触れておくと、本国ではオプション設定の歩行者検知機能付きアダプティブクルーズコントロール、車線変更時に斜め後方の他車の存在を知らせるレーンチェンジアシスト、サラウンドビュー付きパークアシストといった日本のユーザーの選択率が高かった装備が標準とされ、且つエントリー価格が699万円に据え置かれたのがトピックだ。

振り返れば2013年11月、東京とLAの太平洋をまたいだモーターショーで、ほぼ同時にお披露目されたマカンは、国内でもポルシェの販売の3割以上を占める重要なモデルである。今回の改良が、その勢いを更に高めることに繋がるのは間違いないが、懸念があるとすれば、納車開始が2019年夏からと、ずいぶん先になりそうなことだ。すでに受注は相当積み上がっているようである。

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)

【SPECIFICATIONS】
ポルシェ マカンS
ボディサイズ:全長4696×全幅1923×全高1624mm
ホイールベース:2807mm
トレッド:前1655 後1651mm
車両重量:1865kg
エンジン:V型6気筒DOHCターボ
総排気量:2995cc
ボア×ストローク:84.5×89.0mm
圧縮比:11.2
最高出力:260kW(354ps)/5400 – 6400rpm
最大トルク:480Nm/1360 – 4800rpm
トランスミッション:7速DCT(PDK)
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前5リンク 後トラペゾイダルリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
ブレーキ径:前360×36 後330×22mm
タイヤサイズ(リム幅):前235/60R18(8J) 後255/55R18(9J)
最高速度:254km/h
0 – 100km/h加速:5.1秒(スポーツ・プラスモード時)
CO2排出量(EU値):204g/km
燃料消費量(EU複合):8.9L/100km

ポルシェ マカン
ボディサイズ:全長4696×全幅1923×全高1624mm
ホイールベース:2807mm
トレッド:前1655 後1651mm
車両重量:1795kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1984cc
ボア×ストローク:82.5×92.8mm
圧縮比:9.6
最高出力:180kW(245ps)/5000 – 6750rpm
最大トルク:370Nm/1600 – 4500rpm
トランスミッション:7速DCT(PDK)
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前5リンク 後トラペゾイダルリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
ブレーキ径:前345×30 後330×22mm
タイヤサイズ(リム幅):前235/60R18(8J) 後255/55R18(9J)
最高速度:225km/h
0 – 100km/h加速:6.5秒(スポーツ・プラスモード時)
CO2排出量(EU値):185g/km
燃料消費量(EU複合):8.1L/100km
車両本体価格:699万円(税込)

【関連リンク】
http://www.porsche.com/japan/
ポルシェ カスタマーケアセンター TEL 0120-846-911

(GENROQ Web編集部)

 

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