【国内テスト】「フェラーリ812スーパーファスト」再考。これぞフラッグシップの走り!《動画レポートあり》

Ferrari 812 Superfast

フェラーリ 812 スーパーファスト

フロントエンジンこそフラッグシップに相応しい。

フェラーリの伝統を今に受け継ぐフラッグシップは、紛れもなくこの「812スーパーファスト」だろう。日本においては、70年代に起こったスーパーカーブームの影響からミッドシップこそ本命と思われがちだが、ヨーロッパなどの海外では、フロントエンジンのスーパースポーツカーに対する指示のほうが実は高い。今回、久しぶりに812スーパーファストのステアリングを握り、心底そう思わせたのは本当だ。

パワフルかつエレガントなスタイリング。

まず、このスタイリング。ミッドシップのマッシブな勇姿もいいが、ロングノーズ&ショートデッキが見せるこの雰囲気はエレガントさも加わるため、アスリートがドレスアップした姿のようにも映る。それでいて、パワフルさをも表現しているのは見事。かつてならピニンファリーナだから・・・という信頼と実績があったが、今ではハウスデザイナーの手によって描かれているだけに、当初は魅力が半減するのではと心配したものだが、812スーパーファストを見ていると、これで良かったと素直に思えてくるほど、うまくまとめられている。

快適かつ扱いやすい。しかしGTではない。

こうしたFRならではのスタイリングをもつゆえ、ミッドシップモデルのように気構えることがないのも魅力だ。その気になれば普段から使えてしまうくらいフレキシブルで、実際に街中などゴー&ストップの多いところで乗っていても苦になることなど一切ない。7速DCTのクラッチ制御も実に巧みで極めてスムーズに作動するうえ、サスペンションのセッティングも極度な硬さを感じることもないから扱いやすさが際立つ。こうして書いていると、まるでGT=グランドツアラーのように勘違いされるかもしれないが、812スーパーファストは正真正銘、真のスーパースポーツカーである。パフォーマンスを妥協しないフェラーリの主義は頑なに受け継がれている。

効果絶大な「バーチャル ショート ホイールベース」。

それを実感するのは、無論ワインディング。本来ならサーキットで・・・といきたいところだが、今回は諸事情により峠を中心にテストを行うことになった。とはいえ、実はこれが逆に美点を引き出すことになったから、やはりフェラーリは奥が深いと思い知らされた。それこそタイトターンである。まさに目からウロコ。812スーパーファストには「バーチャル ショート ホイールベース」と呼ばれる後輪操舵システムに、電動パワーステアリングを組み合わせ、さらに電子制御ディファレンシャルのEデフの進化版を搭載し、最新のSSC(サイド スリップ コントロール)によって統合制御している。その効果は絶大! それを今回、特に思い知らされたのである。

日本の峠だからこそ分かるコーナリング性能。

何しろ、その名称通り、本当にショートホイールベースに感じる。日本のワインディングは、道幅も狭ければ速度域も微妙。ましてやFRの12気筒車など走らせるには無理があるとさえ思えてくるシーンでも、812スーパーファストは見事にコーナーをクリアする。特に旋回している最中など、とても2720mmもホイールベースがあるとは思えない。むしろ、アクセルをさらに開けてペースを上げさせるほど、グイグイとインに入っていく。だから、本気で攻め込めばテールスライドなどたやすい。いや、たやすいどころか、そう促すほどである。

オーバーステアを怖がることはない。

もちろん、オーバーステアになってもご安心あれ、だ。というのは、これはフェラーリのテストトラック、フィオラーノではじめて試乗した際に体験したことだが、812スーパーファストには、ステアリングに自動アシスト機能が備えられているからだ。例えば、オーバーステア時にドライバーがパニックを起こして逆にハンドルを切ろうとすると、車両側で判断し操作を重くして的確にサポートする機能が備わっている。実際、それを体験したとき、安心感を覚えたのを未だに覚えている。今回はさすがにそこまでではなかったものの、それを知っていることもあって、ちょっとテールが流れるくらいでは恐怖感もなかった。

800ps&718Nmを誇る、自然吸気式V12エンジン。

こうしてダイナミックなFRに感じられるのも、フラッグシップだからだろう。何しろ、フロントに積まれるV型12気筒自然吸気エンジンは、前作のF12ベルリネッタから大幅に改善され、中身を刷新したおかけで、フリクションロスも少なければ、天井知らずのように回る。そのパワーも実に800ps、最大トルクは718Nmにも及ぶうえ、7速DCTもシフトタイムが向上している。だから、旋回中の速さもさることながら、次のコーナーへ移動するのも一瞬。自然吸気ならではの快音と並んで、ドライビングを快感へと導く。これこそがフェラーリである。もう、このフィーリングはたまらない。病みつきになる! 重心が低いこともあって安定性も抜群だ。

唯一無二のFRスーパースポーツ。

コクピット周りも硬派な印象だから好ましい。しかも812スーパーファストはドライビングポジションにもこだわって造られていることもあって、着座位置が非常に低い。これによって後輪の挙動がつかみやすいこともあって、エンターテイメント的に車両との対話を楽しめるから、攻め始めると止まらなくなるくらいだ。

個人的にも、この812スーパーファストは好みの1台。ちょっと前なら488などミッドシップを好んでいたが、812スーパーファストを知ってからはFRの12気筒に惹かれている。今では多くのライバルに喧嘩をしかけられている存在だから心の中で他社と比較しても、そう簡単にフェラーリには勝てそうにないだろうと思うのは事実。何故なら812スーパーファストは、本当の意味で、リアルFRスーパースポーツだからだ。他社のそれは、いくらスポーツを主張してもGTにすぎない。その点、812スーパーファストは、まさに唯一無二。ここまでダイナミックに楽しめる12気筒を積むFRスポーツは他にないと思う。

REPORT/野口 優(Masaru NOGUCHI)

PHOTO & MOVIE/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

【SPECIFICATIONS】

フェラーリ812スーパーファスト

ボディサイズ:全長4657×全幅1971×全高1276mm

ホイールベース:2720mm

トレッド:前1672 後1645mm

車両重量:1630(乾燥重量:1575)㎏

前後重量配分:47:53

エンジン:V型12気筒DOHC48バルブ

総排気量:6496cc

ボア×ストローク:94×78mm

圧縮比:13.64

最高出力:588kW(800ps)/8500rpm

最大トルク:718Nm(73.2㎏m)/7000rpm

トランスミッション:7速DCT

駆動方式:RWD

サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

ディスク径:前398×38 後360×32mm

タイヤサイズ(リム幅):前275/35ZR20(10J) 後315/35ZR20(11.5J)

最高速度:340km/h

0→100km/h加速:2.9秒

0→200km/h加速:7.9秒

燃料消費率:14.9リットル/100km

CO2排出量:340g/km

車両本体価格:3910万円

【関連リンク】
フェラーリ・ジャパン
http://www.ferrari.com/ja_jp/

(GENROQ Web編集部)

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