来年は36回目のパリ・ダカ挑戦。菅原義正氏をとらえて離さないトラックの魅力とは?【クルマ塾】

【10年目、全部門出場を決意してトラックへ】

こうして参戦10年目を迎えたんですが、パリ・ダカには、オートバイと自動車とトラックと、大きく分けると3つの部門があるんですね。それで「今年で最後だし、トラックで出れば全部門出たことになる。それでやめればいいや」と思ったんです。10年で全3部門乗った人はいなかったものですから。

それで10年目、僕はチェコのトラックを用意していたんですけど、日野(自動車)さんから「乗ってください」と言われまして、それで日野さんのトラックに載せていただいたんですね。ところが、終わりのはずだったのに、これがよくなかった。トラックの魅力にはまってしまいました。

トラックって運転が難しいんですよ。見てもわかるようにトラックって運転席が真ん前にあるでしょ。自動車ってのは他のクルマみても分かるように、ホイールベース、つまり前の車輪と後ろの車輪の真ん中に乗るのが一番乗り心地がいいし、一番よく様子がわかるんです。

ところがいちばん真ん前に乗ってると後ろの様子がぜんぜんわかんない。後ろは荷物を積むために作られてて、エンジンも非常に前に来てるんで、前輪にかかる車重と後輪にかかる車重のバランスがすごく悪いんですよ。それでレースやるんですから。いまはレギュレーションもうるさくなくなってきたんで、エンジンを50cm後ろにずらしています。

この記事の著者

角田伸幸 近影

角田伸幸

1963年、群馬県のプロレタリアートの家庭に生まれる(笑)。富士重工の新米工員だった父親がスバル360の開発に立ち会っためぐり合わせか、その息子も昭和期によくいた「走っている車の名前が全部言える子供」として育つ。
上京して社会人になるも車以上に情熱を注げる対象が見つけられず、自動車メディアを転々。「ベストカー」「XaCAR」で副編集長を務めたのち、ポリフォニー・デジタルにてPlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ」シリーズのテキストライティングに携わる。すでに老境に至るも新しモノ好きで、CASEやパワートレインの行方に興味津々。日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定取得。大好物は豚ホルモン(ガツとカシラ)。
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