NAのS14シルビアでもここまでいける! 301psの超ハイコンプNAエンジンを搭載するドリフト仕様が登場!

SR20DE改2.2Lの心臓部はドライサンプ化でレブ9500回転を実現!

目指したのは「SR20NA最強」のドリ車

そもそものキッカケは、N2レースに使われたエンジンがテックアートに入ってきたところからはじまる。いわゆるN2仕様と呼ばれるそのエンジンは、織戸学選手の出世レースとして知られる、PS13ベースのスーパーシルビアチャンピオンカップのレギュレーションに合わせて作られ、当時のスペックでNAのままメカチューンを施して270馬力以上のパワーを絞り出していた。

その時すでに「NAシルビアでどこまでやれるか、ターボとくらべて不利なのはわかるけど限界まで突き詰めたい」と、NA道を進もうと考えていたオーナーの可児さん。こりゃ我が道を行くにピッタリと「こういうのが手に入ったんだけど」という鎌田社長の提案に迷う間もなく飛びついたってわけ。

最初は2.0Lのまま使っていたんだけど、ドリフトの酷使でコンロッドがブロックを突き出て粉々に。とはいえ、N2仕様のキモはブロックじゃなくてヘッド側。ハイカム、ラッシュキラーやビッグバルブ&ポート研磨、ベリリウム封入ガイドといったパーツ類は無事で、それを活かしきるためのスペシャルチューンを施した腰下を用意し、さらなる領域のSR20DEを作ろうと考えたのである!

注目のエンジンメニューはBC製91mmクランクシャフトでストロークアップ。コンロッドをクロワー、ピストンをCPでそれぞれワンオフ。87mmピストンはピストンリングを1枚減らしてショート化し、トップ、セカンドのみに。コンロッドを6ミリ延長することで、短くなったピストンに対する角度を適正化。より高回転まで安心してまわせるようにした。

レブリミットは9500回転に設定。パワーグラフを見ての通り上限いっぱいでパワーがほぼタレることなく使える。ところが、そこまでやってもNAだから300馬力。ドリフトでターボと張り合って走るなら、グリップみたいに限界までまわったらすぐシフトアップってわけにいかず、ヘタしたらコーナーを抜けるまでの間ずっと9000回転でまわし続けたいシチュエーションだってある。

そういった状況を繰り返しても壊れないようにするには、安定した油圧を供給することが必要。そう、エンジンのことを一切気にせずドリフトするためにはドライサンプ化がベストチョイスだったというわけ。

そして、もうひとつこのSR20DEを究極たらしめているのは電動ウォーターポンプによるリヤラジエター化だ。吸気温度がパワーに直結するNAはエンジンルーム内の温度管理が超重要。これでラジエター通過後の温まった空気を吸うことがなくなった上、デカいコアも撤去できるからフレッシュエアがエンジンルーム内に入りやすくなった。

でも、ここまでやってもなんとか300馬力オーバーってのがSR20のNAの世界。ターボにすればおそらくこれまでの総改造費の10分の1でも足りるパワー。しかも、2.2L化したとはいえV8大排気量NAみたいな鬼トルクがあるわけでもない。

今どき、エンジンに関するレギュレーションはNOSの有無しかないドリフト界で、そこまでNAを追求する理由はズバリ“ロマン”の一言に尽きる。「SR20のNAで最強」。この自信を持てるクルマでドリフトできて、そこそこのターボ車と戦えて、パドックでボンネットを開けば誰からも注目される。そしてなにより、その改造を妄想で終わらせず実際にやっちゃうってところが、一番大事な改造魂だと思う。

PHOTO:Mitsuru Kotake

取材協力:テックアート

ビッグバルブ、ポート拡大が施され、ラッシュアジャスターではなく高回転でカムの追従性がいいパルサーGTi-RのソリッドピボットになっているのがN2ヘッドの大きな特徴。カムはIN312度、EX304度でいずれも13mmのハイリフト。バルブスプリングはナプレックのダブル。

4連50φのN2スロットルもいいんだけど、いずれワンオフ品を作って換えたいと考えてるそうな。インジェクター容量は400cc。

40φから60φ集合へつながる4-1等長エキマニのカッコよさはハチロク製作でノウハウのあるテックアートならでは! 通常クランク角センサーを避けてヘコんでいるウォーターアウトレットは、オートサービス森のボトルネックがないものを使っている。

ドリフト中の高回転でも安定した油圧を供給するためのナプレックのSR20DET用ドライサンプキット。オイルパンはなく、クランクの駆動で強制的にオイルを吸い出してまわす。NAに使うにはスカベンジポンプの設定にコツがあるらしい。

使用オイルはモチュール300Vの5W-40。合計9Lものエンジンオイルが入って、メンテの交換に使う量は6L。オイルクーラーやホースに残る量だけでも3Lあるんだって。

コアものパーツがトラストのオイルクーラーだけなので、エンジンルームは超スッカスカ! 整備性もよくてうらやましい…。室内を通ってトランクへ向かうラジエターホースがコアサポート下へ隠れて迂回してるのがニクい。

フルコンのモーテックM84を使用し、セッティングはAVOが担当。レブリミットは9500回転、圧縮比も13.4の超ハイコンプだけど(純正NAは9.5)、怪しくないスタンドのハイオクを使えば全く問題ないってレベルのセットだそうだ。

NA300馬力に合わせた足まわりの考えかたなどは、いわゆる日光サーキットでドリフトコンテストに出場するようなターボシルビアと変わらない感じ。これらはテックアート鎌田社長のアドバイスが反映されてるところが多い。ハチロクのイメージが強いお店だけど、社長はシルビアで大会に参加するほどの腕前なのだ。

オーバーハングの軽量化が走りに効く! ターボに匹敵するお手本ドリコンスペック!

大塚風ゼクスフルエアロにフロント不明ワイドフェンダー、リヤオリジンワイドフェンダー。CRkaiの9J+15を前後通しで履いててワイトレはフロント30mmのリヤ50mm。フロントレブスペックRSスポーツ245/40-17、リヤ履きはメーカー推奨300馬力以上のゼスティノ07Rの235/45-17を使って余裕ある感じ。

76.3φフルステンレスのテックアートワンオフマフラー。日光をメインに走ることを考え中間、テールにひとつずつサイレンサー入りのタイコ付き。

ウインカーのカタチが好みでS14後期用バンパーを装着。フロントタイヤのワイド化に対応するために30mmワイドフェンダーをさらに外側へオフセットして付けている。暫定のつもりが見た目に慣れちゃったそうだ。

HPIのアルミ3層ラジエターをトランク内へマウントし電動ファンで風を当てる。エアフローはトランク上側からトランクの真下へ向けて。移設の結果エンジンルームの吸気温度ダウンとオーバーハングの軽量化の効果あり。

電動ウォーターポンプは定番のEWPで容量は115L/分の中サイズ。ちなみに冷却水の総量は純正の約2倍の13.5Lもあるそうだ。燃料は純正タンクからコレクターを通してデリバリー。

アラゴスタベースにテックアート鎌田社長が味付けをくわえたドリフト用車高調を愛用。スウィフトのスプリングレートはフロント9kg/mm、リヤ6kg/mm。切れ角アップはユラモードナックルだ。

切れ角アップに対応するネガキャン化のためロアアームは50mm延長した。車高調は立ててロアアームで寝かす。さらに30mmワイトレでそとに出すことで内側の干渉はゼロ。

リヤはD-MAXの3点アームが入ったオーソドックスなドリコンスペック。ドリフトの走りやすさを考え車高は高めだけど、ルックス的にはもっと低くしたいとか。

純正の許容馬力を超えるためミッションは強化のニスモ6速。ファイナル4.6で日光1コーナーに3速がピッタリ合うセットだ。クラッチはツインも使ったけど吹け上がりを良くするべくATSのカーボンシングルに変更した。

ダッシュボードが鉄板で作り直され、メーターフードも曲線で再現されているのが凝ってる! パネルにはデフィ製を集中して配置。セーフティ21のロールケージをベースにテックアートでガゼットやサイド、クロスバーを追加した。

「長くてカッコいいのがどうしても欲しいから作っちゃった」とジュラコン素材をワンオフして作ったシフトノブが贅沢! センタートンネル脇を通っているパイプはドライサンプのタンクへ繋がるエンジンオイル用のラインだ。

この機械式メーターは負圧計。NAなのにブースト圧を見る必要が?と聞いたらドライサンプのスカベンジが適正かを見るためのものなんだって。エンジン内は常に負圧にキープされてて、SRにありがちなオイル滲みも一切なくなるらしい。

web option編集部

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