「実は狙っていませんでしたが、結果的にデ・トマソの香りがする1台になりました」ブーン スポルト パッケージ開発者インタビュー

続いてショーモデルの『ブーン スポルザ』を市販の『ブーン スポルト パッケージ』へと昇華していく中で開発にあたったスタッフに、そのこだわりを聞きました。答えてくれたのはダイハツ関連会社のダイハツビジネスサポートセンター商品事業部・部長の鎌田安紀さんと同・用品事業室長の奈良吉晃さんです。

--市販パッケージ『ブーン スポルト パッケージ』の開発はいつごろスタートしたのでしょう?

奈良「2017年の東京オートサロン閉幕直後ですね。お客さんから発売要望の声が非常に多く、異例なほど早期に市販が決定しました」

--苦労された点はありますか。

奈良「前後パーツはバンパーを丸ごと交換するタイプではなく、既存のブーン シルクのものに追加する構成となっています。このため厚みを抑えながらも衝撃に強く、柔軟性に富む素材が必要となり、当初は材料選定に悩みました。結果的に変性PPEというものを採用して解決するに至ります」

鎌田「この素材は強度や弾性率で優秀な一方で、価格は安くありません。しかし今回は見栄え、耐久性、そしてお求めやすさのバランスを考えて用いることにしました」

--ブーン シルクのボディ面との整合性が高いですね。

奈良「その理由は当然ながらデザイナーの力量によるところが大きいです。が、我々製作サイド側の要因として(ダイハツ純正部品を手がけているオフィシャルなポジショニングであることから)ブーン シルク本体の正確な車両デザインデータが得られていたことが大きいと思います。これによって設計段階からボディとしっかりマッチングするパーツが開発できました」

鎌田「品質を担保する取り組みとしては高耐久性の追求も挙げられます。摂氏マイナス30度からプラス90度まで連続して温度を上下させつつ長時間の試験をしているエアロパーツメーカーは、一般(サード・パーティー)的にはあまりないと思います。

また、今回お客様の好みに合わせて選びやすいようなパッケージ仕様にしました。

パーツはブラックパーツのみで構成し、どんな色のブーンシルクにも合うようしており、既存のダイハツ純正品アクセサリーと組み合わせて、締まりのよいデザインに仕立て上げられます。お客様の好みに合わせて車体色も自由に選んでほしいですね」

というわけでブーン スポルト パッケージは並々ならぬ気合いのもとで開発されていました。その実際のクォリティについては是非とも東京オートサロン会場で確認してほしいです。それも、しっかりと。あえて念を押したわけは、まるで新車設定の1グレード用に装着されたかのように高品質で違和感がないため、チェックを忘れちゃう可能性が高いからなんです。

(文/ウナ丼 写真/吉見幸夫)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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