理屈抜きのカッコよさには理由がある!? トヨタ・カムリが目指したデザインの調和とは?

── リアピラーに引かれたラインも、かなり特徴的です

「グローバルセダンとして、後席の居住性の確保は必須ですから、ルーフ後端は下げられない。そのままだと箱っぽく見えてしまうので、後ろへ強く引っ張るようなラインを引き、エモーショナルな表現としたのです」

── では最後に。ボディに多くのラインを引くと、勢いが出る一方、ビジーな表現になりがちです。今回は、その点の兼ね合いをどう考えましたか?

「実は、開発途中では社内からもビジーだという声があったんです(笑)しかし、すべての線を整理してハーモナイズさせた最終段階では、そうした声はなくなった。つまり、線が多くても必然性があればシンプルに見えるし、美しくもなるということです」

シンプルか、ビジーか。マツダはCXー5で引き算のデザインを掲げましたが、美しいクルマへのアプローチはさまざまです。カムリの取り組みは、その回答のひとつを見い出せたのかもしれません。

[お話を伺った方]

トヨタ自動車株式会社・MSデザイン部 グループ長
久保田 憲 氏

(すぎもとたかよし)

この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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