スバルにテストドライバーはいない? 新型インプレッサも社員も鍛えられスバルのクルマ作りを底上げするSDA(スバル・ドライビング・アカデミー)とは?

こうしたエンジニアのテストドライブ・スキルのレベルアップは、クルマ作りに好影響を与えるといいます。

たとえば、エンジンベンチのような機上試験においても、数字を見るだけでなく、走行状態を頭の中でイメージしながら、リンクさせた試験ができるようになったといいます。

SUBARU_SDA0303L

つまり、開発段階では数字として見えない過渡特性をエンジニアの中でシミュレーションできるようになるわけです。

また、数字として表現できるように、あらたな計測方法を生み出すきっかけになることも、SDAで腕を磨くことから期待されています。

あらためてチーフインストラクター秋山さんにうかがいました。SDAの活動はいつまで続けるのですか? と。

その答えは「未来永劫です」というものでした。

第一期で終わらせることなく、SDAというエンジニアのテストドライブ・スキルを磨く活動を続けていくことで、将来的にはすべてのエンジニアがトップクラスのテストドライバー同等のスキルを有した状態となることで、スバルのクルマ作りがレベルアップすることが狙いだといいます。

その対象はエンジニアだけにとどまらないかもしれません。企画部門やデザイナーもテストドライブのスキルを磨くことで、スバルのクルマ作りが一貫性を持ち得ることも期待されます。

たとえ自動運転の時代になっても、スバルのクルマ作りは「走りの愉しさ」を重視するという姿勢は不変なのです。

(文:山本晋也 写真:山本晋也/富士重工業)

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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