スバル新型レガシィがビルシュタインもアルミ製サスアームも使わない理由

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そして、フロントのロアアームがスチールのモナカ形状(表裏の鉄板を溶接した中空構造)となっている理由は、強度と軽量化の結論といいます。

軽さを求めるのであればアルミ製のほうが有利に思えます。アルミの比重は鉄の1/3といわれるくらいです。しかし、強度や剛性といった要素は別問題です。今回のフルモデルチェンジではロアアームに横方向から力を入れたときの剛性を高めることを重要視、そのための最適設計を考えると、スチールの中空構造が有利なのです。

なお、ロアアームについては、後ろ側のブッシュを旧型と異なる横方向レイアウトとしたこと、振動を抑制する液封式ブッシュを採用したことなども大きな変更点となっています。

剛性面でいえば、複筒式ダンパーよりもビルシュタインのような倒立単筒式が有利ですが、新型レガシィでは複筒式ながら外筒径を太く(50.8mm→54.0mm)することで剛性を確保しているといいます。

たしかに、ビルシュタイン製ダンパーやアルミ製ロアアームといったパーツに比べれば地味な印象もありますが、あくまでも機能重視で開発した結果として、スタブレックス・ライドダンパーやスチール中空ロアアームが選ばれたといいわけです。まさに質実剛健なスバルらしいフラッグシップモデルのフットワークといえるのではないでしょうか。

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(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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