中は宮殿、外は下界 ── ロールスロイスの後席の衝撃

「ロールスロイスの後席って、ソファーみたいなフカフカの座り心地で極楽だけど、長時間座るのには適していないらしいよ。だってロールスのオーナーって長距離は飛行機とかヘリで移動するでしょ? 長く座ることなんて考えないで座り心地の良さだけを追求しているらしい」

ワタクシが自動車雑誌の編集部でアルバイトを始めたころ、知識豊富の先輩編集者がそんなことを言っていました。

たしかに理論としては間違っていないので、「へーそうなんだー」と妙に半分納得しつつ、残り半分は「本当にそうなの?確かめてみたい」という気持ちでいっぱいでした。しかしですね、その先輩だって自分で体感したわけじゃないんですよね(たぶん)。

ほら、「らしい」を2回も使っちゃっているあたりに、やや不足している自信が滲み出ているし(笑)。でも、自動車雑誌業界にいたってロールスロイスに触れる機会なんてそうあるわけじゃない!

ロールスロイスに関するそのウンチクを聞いてから早10数年。というかもうすぐ20年。真実を確かめたくでも、確かめられずに悶々とした日々を送っていたのです。そんな僕に、チャンスがやってきました! ロールスロイスに乗れる日が、なんとあの後席に座れる日がやってきたんです。神様ありがとう! しかもなんと、最高峰のファントム様(5064万円~)ですぞ!! 

ロールイスロイス_RR_062

というわけで触れたロールス。いまもう感動どころか感無量ですよ。あのロールスが僕の目の前にあって、「どうぞ乗って!」と語りかけてくれているじゃないですか(実際には車体じゃなくて広報スタッフがそう言ってくれたんですが)。

しかもしかも、モデルは最高ランクで夢の5000万円超(←しつこい!)。まるで夢みたい。ほっぺをつねってみましたが、ちゃんと痛みを感じました。

ロールイスロイス_RR_077

すごいわこれ。なんていうんでしょう、この佇まい。威厳、孤高、威風堂々。気軽に近づけないオーラを放っているのはさすがロールス様です。そしてドア。おぉー、これが噂の観音開きか。フカフカのジュータンすげー。毛がふわふわだよ。

こんなジュータンに土足で乗れない、と靴を脱ごうとしたら広報スタッフに「そのままで結構ですよ」とニッコリされました(本当)。

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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