あえてレガシィツーリングワゴンではなく新規車種「レヴォーグ」が登場した3つ理由

今年登場する新型車で最大の注目車種。早くも巷ではそんなふうにささやかれているスバル・レヴィーグが正式に発表されました。

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でも、スバルといえばステーションワゴンの定番は「レガシィツーリングワゴン」のはず。どうして新型レガシィツーリングワゴンではなく、あえて新規車種がデビューしたのでしょうか? 気になるところです。

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実は、その背景には深い深い理由がちゃんとあるんです。今日は特別にその3つの理由をお教えしましょう。

1.レガシィは大きくなりすぎちゃったから

1989年に登場した初代レガシィツーリングワゴンは、今からは信じされませんが5ナンバーサイズのコンパクトボディでした。しかし、フルモデルチェンジごとにサイズがどんどん大きくなり、アメリカ市場を強く意識した現行型(5世代目)では、全長4790×全幅1780mm(北米仕様はフェンダーが異なってさらに幅広)。「ちょっと大きすぎなのでは?」という声が日本のユーザーから増え、スバルとしてもレガシィツーリングワゴンではなく、ダウンサイジングした新規車種でそれに答えたというわけです。

2.新型レガシィはさらに大きくなるから

しかも、年内に登場が噂されているレガシィはより北米(=スバルの世界最大の市場である)の要求にあわせ、現行型よりもさらに大きくなる予定なのだそうです。そんな大きなステーションワゴンが日本で受け入れられるのか? スバル自身も「さすがにそれは厳しいよね」と判断したということです。

3.レガシィ・ツーリングワゴンがなくなってしまうから!?

レガシィのワゴン版といえば「ツーリングワゴン」というのが日本の常識ですが、世界の常識はそうではありません。実は、世界的にはレガシィのワゴンといえばSUVテイストの「アウトバック」なのです。公式なものではありませんが次期レガシィにツーリングワゴンは用意されずアウトバックに一本化されるという情報もあり、少なくとも日本においてはレガシィツーリングワゴンの後継車がレヴォーグというわけです。国内向けに開発されたレヴォーグですが、純ステーションワゴン需要のある欧州にはレヴォーグの輸出も検討しているとの情報もあります。
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いずれにせよ、レガシィツーリングワゴンよりひとまわり小さなレヴォーグはスバルが久々に日本市場と正面から向かって作った気合い入りまくりのニューモデル。優れたパッケージングはもちろん、アイサイトver.3などの先進デバイスを惜しみなく投入しているのも、いかに力が入っているかを端的に表していますよね。

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スバルによるとパッケージングは「日本の交通環境で取り回しのしやすいボディサイズとしながら、スバルが培ってきたワゴンづくりのノウハウを活かし、積載性に優れたカーゴルームと、快適なロングツーリングを愉しめるゆとりある室内空間を実現」なのだとか。そう、ボディは小さくなっても荷室は現行型レガシィ同水準(5名乗車時のVDA測定容量は2L増しの522L)にキープしています。

日本のための新しいツーリングワゴン。そんなレヴォーグに期待するな!っていうほうがムリでしょ。

(工藤貴宏)

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この記事の著者

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工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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