「ぶつからないミニバン」の実車チェック・その4 居住性編【エクシーガ マイナーモデルチェンジ】

新型エクシーガの実車チェック、今回は居住性を見ていきましょう。エクシーガはミニバンなのでシートは3列。最大7人が乗れるスペースが用意されています。

走り好きのお父さんにうれしいのがドライビングポジション。ミニバンといえば普通は着座位置が高く設定されているんですが、エクシーガは低く設定したローポジション。ミニバンであることをまったく意識させず、それこそレガシィと変わらない運転感覚です。

着座位置が低いとロール感が減って、峠道などでは気持ちよくコーナリングできるんですよね。これ、他の多くのミニバンでは味わえません。「走りの楽しいミニバン」というコンセプトは、運転感覚に大きく影響するドラポジにも及んでいるんです。

フロントシートもサイドサポートがしっかりとあって、ホールド性はバッチリです。センターアームレストやシートリフターは全車に標準装備。ステアリングの高さ調整はもちろん、「2.0i」を除き前後位置を調整できるからドラポジの自由度は高いですね。上級グレードには電動調整機能も採用しています。撮影車両は「アルカンターラセレクション」なのでシート中央部の表皮は、高級スポーツカーなどでも好まれる上質な素材のアルカンターラ。バックスキンのような、繊細で心地よい肌触りです。

さて、2列目。エクシーガは「シアターレイアウト」とといって、1列目より2列目、2列目より3列目の着座位置が高くなるように設計されています。だから、前方の見晴らしがいいですね。シートスライドによりシートを後方にすれば、足元スペースもゆったりです。

今回のマイナーチェンジで、中央席のシートベルトも3点式になりました。万が一の衝突の際、より安全性が高まったのです。その中央席シートベルトは背もたれの上部に巻き取るシート内蔵型なので脱着しやすく、天井吊り下げ型と違って3列目に座る人の目の前を横切らないし、ルームミラー越しに後方視界の邪魔をして目障りにならないのもうれしいポイント。

そしてシート。見た目はマイナーチェンジ前と同じように見えますが、実は中央席3点式シートベルトの採用に合わせて全面変更されています。まず中央席にヘッドレストが追加されましたね。そして実は、フレームを新設計し、より頑丈な作りになっているんです。見えない部分も、しっかり進化しているんですよ。

さて、3列目です。3列目は2人掛け。ここに座る際は、2列目のスライド位置を最後部じゃなくて少し前に出してあげる必要がありますね。シアターレイアウトなので、前方視界は良好です。

そして意外なのは居住性。背の高い車種に比べるとタイト感のある背の低いミニバンですが、その中ではエクシーガの3列目は広めです。モデルのひろこちゃんは女性としてはけっこう身長が高いんですが、無理なく座れているのがわかりますよね?

3列目にも、左右独立のリクライニング機構も備えていますよ。

こうしてエクシーガの居住性をチェックして感じたのは、7人が乗れるミニバンだけどドライバーが運転を楽しめる環境も整っているということ。その2面性が、実はエクシーガの大きな魅力なんです。

「諸事情でミニバンを所有しないといけないけど7人で乗る機会はあまり多くなく、ひとりのときはレガシィのように運転を楽しみたい」、というパパには最適のミニバンですよ、これは。

次は、乗降性をチェックします。 

(工藤貴宏)

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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