ハイビームのルールとは?通常はハイビーム、対向車が来ればロービームに切り替えるのが原則【バイク用語辞典:交通ルール編】

■ハイビームは「走行用前照灯」、ロービームは「すれ違い用前照灯」

●ハイビームとロービームを適切に切り替えなければ、「減光等義務違反」で処罰

バイクは道路交通法によって、昼間のロービーム点灯、夜間のハイビーム点灯が義務付けられています。ただし夜間に対向車がいる場合は、眩光による視界不良を防止するためロービームに切り替えることが定められています。

昼間のロービーム、夜間のハイビームの使用ルールについて、解説していきます。

●ヘッドライトに関する保安基準

ヘッドライトに関する保安基準には、前照灯としての様々な要件が定められています。代表的なのは、明るさ(光量)や発光色、光軸(照らす方向)、ライトの数などです。

・光量(明るさ)は、最高光度点で1万5000cd(カンデラ)以上

・発光色は白色のみ(2005年12月31日以前に製造されたバイクは、白色もしくは淡黄色)

・ハイビームは2個以下、ロービームは2個以下、合計で4個以下

・位置は全高より低い位置、ライトの中心が左右対称、車体の正面にあること

・光軸は、最高光度点が前方10mの位置において左右27cm以内、上方向は10cm以内、下方向は地上からライトまでの距離の1/5以内の枠内に収まること

また、1998年にバイクの昼間のヘッドライト点灯が義務化され、以降に製造された日本製バイクは、エンジンをかけると点灯するような構造になっています。ただし、1998年の法改正以前のバイクについては適用外で、ライトを点灯しないで走行しても違反ではありません。

●夜間のハイビーム走行

ヘッドライトの使い方としては、昼間はロービームの常時点灯、夜間は視認性と安全性を高めるためにハイビームの常時点灯が基本です。そのためヘッドライトには、ハイビーム(走行用前照灯:100m先まで照射)とロービーム(すれ違い用前照灯:40m先まで照射)が装備され、それらを切り替えるスイッチが付いています。

ハイビームとロービーム
ハイビームとロービーム

夜間にロービームのままだと40m先までしか視界が確保できないため、人や障害物などの危険に気付くのが遅くなり、事故のリスクが高まります。夜間に発生する重大事故の多くが、ロービーム走行であると言われています。

ただし、対向車とすれ違う場合や先行車がいる場合は、ハイビームのままだと眩光によって他車の運転に支障をきたす恐れがあります。そのため、対向車がいる場合はロービームに切り替えることが義務付けられ、守らないと法令違反になります。

●ハイビーム使用に関する罰則

ハイビームに関する違反点数と違反金
ハイビームに関する違反点数と違反金

夜間にハイビーム点灯しなかったり、対向車とのすれ違いの際にロービーム点灯に切り替えなかった(減光義務を怠った)場合は、以下のように違反点数と違反金が科せられます。

・無灯火違反:違反点数1点、違反金6000円(原付5000円)

・減光等義務違反:違反点数1点、違反金6000円(原付5000円)

昼間の無灯火も整備不良か無灯火違反になり、同様に違反点数と違反金が科せられます。ただし、昼間の場合はお咎めなしの厳重注意で済む場合が多いらしいです。


ライトの性能が上がり、LEDを使うバイクも増えたことから、ハイビームで走行すると眩光によって対向車の視界が遮られるケースが増えています。夜間のハイビームは常時点灯してればよいのでなく、適時切り替えることが大切です。面倒くさがらずにハイ/ローの切り替えを行いましょう。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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