ブームが去っても根強い人気! アルファードからフリードまで、コロナ禍でも爆売れのミニバン

■コンパクトカーや高級モデルの売れ筋を紹介

1990年代から2000年代にかけて一大ブームとなったのがミニバンです。

2列や3列シートを装備した広い室内や、スライドドアによる乗り降りのしやすさなどが人気となり、かつては、コンパクトカーから大型モデルまで様々なタイプが発売されていました。

ところが、現在はホンダ「N-BOX」などの軽スーパーハイトワゴンや、トヨタ「ヤリス」といったコンパクトハッチ車の人気に押され気味で、その数は減少傾向です。

それでも、いまだにファミリー層などから根強い支持を得て、売れているミニバンも数多く存在します。特に、コロナ禍の影響が大きかった2020年は、新車販売に苦戦したモデルも多かった中、着実に売れたミニバンも存在します。

そこで、ここでは業界団体の日本自動車販売協会連合会が発表した2020年度(2020年4月〜2021年3月)における登録車の新車販売台数ランキングで、トップ10圏内に入ったモデルを紹介します。

●トヨタ・アルファード

まずは、トヨタが誇る大型ミニバンの「アルファード」。7人/8人乗りの3列シートを備えた高級モデルです。前述の新車販売台数ランキングでは、10万6579台を販売し登録車で4位、ミニバンでは堂々の1位を獲得しています。

アルファードからシェンタまで爆売れミニバン
2020年度(2020年4月〜2021年3月)のミニバン新車販売台数1位のアルファード

現行の3代目モデルは2015年に登場、2018年のマイナーチェンジで大型フロントグリルが印象的な今のデザインに変更されています。

全ての乗員がゆったり座れる、長さ3210mm×幅1590mm×高さ1400mmもの室内は、ラージサイズミニバンならではの広さを誇ります。

また、上質なシート表皮や木目調加飾など、高級感が漂う内装の装備が一番の特徴です。

その分、お値段もそれなりによくて、車両本体価格(税込)は394万1000円〜775万2000円。幅広い価格帯を設定することで、ファミリー層だけでなく、政治家やVIP、有名人の移動送迎車としても使われていることが、このジャンルでNo.1を獲得した要因のようです。

アルファードからシェンタまで爆売れミニバン
トヨタ・アルファードのリヤビュー

ラインナップには、2.5L 4気筒ガソリン車、2.5Lエンジンと組み合わせたハイブリッド車、3.5L・V型6気筒ガソリン車を用意。また、2WD(FF)仕様と4WD仕様も設定することで、多様なニーズに対応しています。

現行のアルファードは、発売約6年間で予防安全装備の充実など数々のアップグレードが施されてきました。

つい最近の2021年4月にも、ワンタッチスイッチ付きデュアル(両側)パワースライドドア、アクセサリーコンセントを全車標準装備に拡大。最上級グレードのエグゼクティブ・ラウンジ、エグゼクティブ・ラウンジSでは、後席からの視界を広げる可倒式の助手席ヘッドレストが採用されています。

アルファードからシェンタまで爆売れミニバン
トヨタ・ヴェルファイア 特別仕様車「SゴールデンアイズⅡ」

ちなみに、今回の一部改良で、兄弟車のヴェルファイアはグレード体系が見直され、7人乗りの特別仕様車SゴールデンアイズII(税込価格424万円〜508万8400円)のみの設定となりました。

かつては、アルファードよりも売れていたモデルなのですが、今や新車販売台数では大きく水をあけられており、2020年度ランキングでは41位(1万4749台)まで後退。

唯一残されたグレードは、内装にサンバーストゴールドの木目調パネルやゴールドスパッタリング加飾を随所に施した仕様。さりげないゴールドの華やかさを演出することで、アルファードの上位グレード同様、独自の豪華さを強調しています。

●トヨタ・ルーミー

2列シート5人乗りのコンパクトトールワゴン、トヨタ「ルーミー」も地味ながら売れ筋のミニバンです。2020年度の新車販売台数ランキングでは10万3064台を販売し、アルファードに次ぐ5位を獲得しています。

アルファードからシェンタまで爆売れミニバン
トヨタ・ルーミー

2016年に発売されたダイハツ・トールのOEM車で、かつては兄弟車として「タンク」というモデルもありましたが、2020年9月のマイナーチェンジによりルーミーへ一本化されています。

現行モデルでは、標準グレードに大型のフロントグリルなどを採用。カスタムでは、ルーミーの特徴である桟橋グリルをさらに巨大化するなどで、いずれもフェイスデザインを一新。

また、シート形状やシート表皮の変更、予防安全機能スマートアシストを全車標準装備するなどのアップデートも行われました。

アルファードからシェンタまで爆売れミニバン
トヨタ・ルーミーには「カスタム」グレードも設定

ルーミーの魅力は、小柄な車体にも関わらず、長さ2180mm×幅1670mm×高さ1735mmという広い室内。後席足元や頭上に開放感をもたせることで、圧迫感がない快適な空間を演出します。

また、様々なシートアレンジが可能で、後席は最大240mmのスライドができるため、乗員人数や荷物の大きさに合わせた幅広い使い方が可能です。

ほかにも、高齢者から小さな子どもまで乗り降りしやすい低床スライドドアの採用など、実用性にすぐれた装備を誇ります。

価格(税込)は、155万6500円〜209万円。1.0Lガソリン車のみの設定で、2WD(FF)仕様と4WD仕様があります。

●ホンダ・フリード

ホンダが販売するコンパクトカーの中では、フィットと並び高い人気を誇るミニバンタイプが「フリード」です。2020年度の新車販売台数ランキングでは7万3368台を販売し、8位にランクインしています。

アルファードからシェンタまで爆売れミニバン
ホンダ・フリード

現行モデルの2代目は2016年に登場、2019年のマイナーチェンジで、現在のフェイスデザインに変更されました。

ラインアップには、6人乗り/7人乗りの3列シート仕様のフリードと、5人乗り2列シート仕様のフリード+を設定。安全運転支援システム「ホンダセンシング」を全車に標準装備するほか、SUVルックの「クロスター」も用意します。

パワートレインには、1.5Lのガソリン車と同エンジンに22KWモーターを搭載したハイブリッド車があり、それぞれに2WD(FF)仕様と4WD仕様があります。

大きな特徴は、やはり広い室内。室内サイズは長さ3045mm(3列シート車)/2310mm(2列シート車)×幅1455mm×高さ1275-1285mmで、小柄な車体とは思えない快適性や居住性が自慢です。

アルファードからシェンタまで爆売れミニバン
ホンダ・フリードの内装

また、子育て世代を意識したスライドドアの開閉システムも魅力です。後席側ドアが左右とも電動で開く両側パワースライドドアを採用(Gホンダセンシングを除く)。

しかも、リモコンや運転席のスイッチで開閉の操作ができるほか、ドアハンドルを少し引くだけでリアドアが自動開閉するなど、数多くの親切設計を取り入れています。

さらに、スライドドアは開口幅が665mmと広いため荷物の出し入れが楽なうえ、ステップ高が390mmと低く、小さな子どもでも楽に乗り降りができます。

価格(税込)は199万7600円〜327万8000円です。

●トヨタ・ヴォクシー

最後は、トヨタのミドルサイズミニバンがランクイン。2020年度の新車販売台数ランキングでは7万1903台を販売し、9位に入っています。

アルファードからシェンタまで爆売れミニバン
トヨタ・ヴォクシー特別仕様車「ZS煌(きらめき)Ⅲ」

現行モデルは2014年に発売。兄弟車として「ノア」や「エスクァイア」がありますが、中でもヴォクシーは押し出し感が強い、精悍なフェイスデザインを持つモデルです。

2020年10月には、より高級感を演出した特別仕様車「ZS煌(きらめき)III」も設定、ほかにもスポーティな「GRスポーツ」なども用意し、特に若いファミリー層を中心に支持を得ているモデルです。

ヴォクシーの大きな特徴は、都会的でスタイリッシュな内外装のデザイン。また、消臭機能付きファブリックシート表皮や、運転席や助手席には温熱シートも装備し、高い快適性も実現します。

室内サイズは長さ2930mm×幅1540mm×高さ1400mmで、3列シートの装備により7人/8人乗りが可能。

アルファードからシェンタまで爆売れミニバン
ヴォクシー特別仕様車「ZS煌(きらめき)Ⅲ」の内装

オプションでワンタッチスイッチ付きパワースライドドアなども用意し、高い居住性や実用性を誇ります。

パワートレインには2Lガソリンと1.8Lハイブリッドを設定。駆動方式は、ガソリン車が2WD(FF)と4WD、ハイブリッド車は2WDのみとなっています。

価格(税込)は284万4600円〜344万3000円です。

(文:平塚 直樹/写真:トヨタ自動車・本田技研工業)

 

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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