ブレーキランプの保安基準とは?昼間に100m後方から視認できる赤色灯が必要【バイク用語辞典:カスタム化・保安基準編】

■発光色や光量、レンズ面積、取り付け位置などの基本的な仕様を規定

●ブレーキランプが見にくいバイクは、ハイマウントブレーキランプが安全性向上に有効

ブレーキランプの役目は、後続車に減速あるいは停止の意思を知らせることであり、正常に機能しなければ後続車から追突事故を起こされる可能性が高まります。そのため、テールランプと一体型の場合は、5倍の明るさになるように決められています。

ブレーキランプのカスタム化に関わる基本的な保安基準について、解説していきます。

●ブレーキランプに関する保安基準

ブレーキランプに関する保安基準には、制動灯としての様々な要件が定められています。代表的なのは、ランプの光色や明るさ(光量)、レンズ(照明部)の面積、取り付け位置などです。これらが、ブレーキランプのカスタム化や交換の際に問題となります。

ブレーキランプの取り付け位置
ブレーキランプの取り付け位置

・ブレーキランプの発光色と光量(明るさ)

灯火の色は赤色、昼間に100m離れた位置から視認できること、明るさは15W以上60W以下(2005年以前製造のバイクは、60W以下の制限なし)

・ブレーキランプのレンズ(照明部)面積

照明部とは、ブレーキランプのレンズ部を指し、面積は20平方センチ以上

・取り付け位置

照明部上縁の高さが地上から2.1m以下、照明部下縁が地上から35cm以上、最外縁は車両の最外側から40cm以内

・その他

レンズの損傷や著しい汚損がないこと、点滅するランプでないこと

●ハイマウントブレーキランプとは

ハイマウントブレーキランプ(補助制動灯)は、ブレーキランプの視認性を高めるために既存のブレーキランプより高い位置に取り付けるブレーキランプです。クルマでは、リアガラスの上部に取り付けるのが一般的ですが、バイクではシートカウル内部やリアスポイラー内部、リアボックス内部に装着します。

保安基準では、灯火の色は赤色、光源が5W以上60W以下、照明部の面積は20平方センチ以上と定められています。取り付け位置は車体中央で、個数は1個まで。取り付け位置は地上から85cm以上のブレーキランプより高い位置で、ブレーキランプと連動することになっています。

●LEDに交換しても車検に通るか

3種のランプ
3種のランプ

最近は、バイクでもLEDが純正ライトとして採用され、人気のカスタム化のひとつです。LEDは、電気を流すと発光する半導体の発光ダイオードで、クルマでは軽でも使われるほど普及しています。ハロゲンより明るく、最大の特徴は15年という圧倒的な長寿命で消費電力が非常に少ないことです。一方、課題は価格が高いことです。

上記の保安基準を守って赤色LEDに交換すれば何の問題もありません。ただし、白色LEDで赤いレンズカバーを使う方法は、減光するので注意が必要です。また一般的なLEDランプは、複数個のLED発光素子を組み合わせたマルチチップタイプなので、その中のひとつでも発光しなくなると球切れとみなされ、車検に通りません。


ブレーキランプは、後方車両に減速や停止を視認してもらい安全を確保することが第一の目的。特に夜間や悪天候の時に気づきやすいように赤色となっています。ヘッドライトと違って、走行中に正常に点灯しているか自分で確認できないので、日頃から点検する習慣を見につけましょう。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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