アルピナの「D3 S」は、ディーゼルエンジンとは思えない吹け上がりの良さを堪能できる

■ディーゼルエンジン+4WDという組み合わせでも「重さ」を抱かせない

アルピナ D3 S
アルピナ D3 S(2021年モデル)の走り

以前お伝えしたように、BMW 5シリーズベースの「D5 S」に続き、3シリーズをベースに設定されているアルピナの「D3 S」に試乗する機会がありました。

試乗車はセダンベースの「D3 S Limousine」で、価格は1078万円。全長4720×全幅1825×全高1445mmというサイズは、日本の狭い道路事情でもそれほど持て余すことなく取り回しできるのがうれしいところ。

アルピナ D3 S
アルピナ D3 Sの走り

480Lというトランク容量を備えていて、大人4人での1泊2日程度なら難なく荷物も積み込めるはず。また、3.0Lの直列6気筒「ビ・ターボ」ディーゼルエンジンは、355PS/4000-4200rpm、730Nm/4000-4200rpmというスペックを誇ります。

アルピナ D3 S
3.0Lの直列6気筒ディーゼルエンジン。トランスミッションは8速AT

ディーゼルエンジンならではの足の長さ(航続距離の長さ)と経済性の高さはもちろんのこと、アルピナが手がけるだけあって、ディーゼルとは思えない吹け上がりの良さを堪能できます。

ZF製8速ATの高い完成度も手伝って、高速道路で巡航時からの加速も思いのまま。公道では、高速域の伸びを確認するのがなかなか難しいほどパンチ力を備えている上に、低速域からレスポンスがよく、ターボの過給が始まるまでのこの領域でも分厚いトルクを披露してくれます。

アルピナ D3 S
アルピナ D3 Sのインパネ

また、街中のストップ&ゴーが続くシーンでも、最大8kW(11PS)の回生エネルギーを駆動アシストに使う48Vスターター・ジェネレーターにより、スムーズにこなしてくれます。

足まわりは、オプションでお馴染みの20インチ「アルピナ・クラシック」を装着。こちらは約14kgの重量削減に貢献し、バネ下重量の低減に寄与してくれます。

もちろん、ひと目でアルピナと分かる細身のスポークも目を惹きます。ピレリ製タイヤとの組み合わせによる足まわりは引き締まっていて、とくにドライビングモードを「スポーツ」にすると、さらに切れ味鋭いハンドリングを堪能できます。

アルピナ D3 S
製造番号が記された専用プレート

アルピナ独自設定の「コンフォート・プラス」モードを選択すると、よりスムーズなシフトチェンジが可能になります。「x Drive」をベースにアルピナが手がけた4WDは、より後輪で回っている感覚が濃厚で、こちらもアルピナ独自の「バリアブル・スポーツ・ステアリング」によりダイレクトな回頭性が得られるのも印象的です。

アルピナ D3 S
20インチの鍛造ホイール

「M」モデルのような派手さはなくても味わい深く、いざとなれば本格スポーツカーと並ぶようなハイパフォーマンスも容易に引き出せる構えで、「D3 S」もアルピナの思想はぶれることなく息づいています。

(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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