あ~残念…ついに全日本ラリー選手権からランエボが姿を消す⁉

■まもなく全日本ラリーも開幕、しかし…

全日本ラリー選手権も、新型コロナウィルス感染拡大の影響で日程変更等の調整が行われていますが、2月に予定されていた開幕戦の「Rally of Tsumagoi」は開催中止となってしまいました。

が、3月19日~21日、愛知県新城市で行われるJRC全日本ラリー選手権第2戦「新城ラリー2021」が開催となります。残念ながら昨年に引き続いて無観客での開催となってしまっていますが…。

GazooRacingGRYaris
スバルWRXからGRヤリスに乗り換えて参戦となるのは勝田範彦選手

今シーズンは、GRヤリスの登場で、この全日本ラリーでも他のモータースポーツ競技同様、業界がざわついています。

TOYOTA GAZOO Racingから、昨2020年までスバルWRXに乗っていた勝田範彦選手(コ・ドライバーは木村裕介選手)、そして昨年までヴィッツGRMNでJN2クラスに参戦していた眞貝知志/安藤裕一組が、JN1クラスに参戦するGRヤリスに乗ることとなりました。他にもJN1クラスに4台のGRヤリスが参戦予定です。

ランエボX
ターマック仕様の230号車は奴田原選手の名前から。

そんな新たに登場する車両がある中で姿を消してしまう車両もありました。それが、三菱ランサー・エボリューションX(CZ4A)です。

その登場となる2008年から昨年までの13シーズン、常にこのエボXでJN1クラスに参戦してきた奴田原文雄選手が「ランエボでの参戦から引退する」と表明したのです。あの赤と黒のアドバンカラーのランエボXです。

ランエボX
奴田原選手が13年間使用してきた2台のランエボの一台、グラベル仕様の920号車(タスカエンジニアリングの石黒代表の名前から)

奴田原選手といえば、1991年のミラージュ(E-C83A)以来、一貫して三菱車に乗ってきており、国内タイトルはもちろん、2006年のラリー・モンテカルロでもランエボIXでPWRC優勝もしてもいます。本人も「頑丈で耐久性があって、過酷な走行状況が続くラリーにはメリットになるんです」と三菱車を評価しています。

最近はスバルWRX勢に台数では押され気味で、このアドバンカラーの奴田原選手が孤軍奮闘といった感じでした。

ランエボX
920号車はグラベル仕様のためFIAのロールケージを組んでいる

登場から13年も経っていれば「モータースポーツの第一線で戦うのも無理だろう、そりゃ新しいクルマに変えるのもわかる」という人もいるかもしれませんが、いえいえ、それどころか、昨年の新城ラリーで優勝したのは、この奴田原選手のランエボXなのです。まだまだトップタイムを叩き出すことのできる車両です。

頑丈だという通り、奴田原選手がこの13年間に走らせてきたランエボXは2台だけ、とのことです。まさに「ベストラリーカー」と本人が評しているとおりです。

2020 新城ラリー
昨年の新城ラリーで優勝したランエボX。まだまだ戦闘能力はある

なぜランエボ引退なのか?

というところですが、この奴田原選手が走ってきたADVAN-PIAAラリーチームを運営するタスカエンジニアリングが、そのラリー事業を昨年末をもって終了することとなったのがその主たる原因のようです。

ADVAN KTMS GR ヤリス
2021シーズン、奴田原選手はJAF 全日本ラリー選手権JN-1 クラスに「ADVAN KTMS GR ヤリス」で参戦する

新城ラリーは欠場となるようですが、奴田原選手は新たに「NUTAHARA Rally team」を立ち上げ、ADVANカラーを身に纏ったGRヤリスで、JAF 全日本ラリー選手権・第3 戦「ツール・ド・九州2021 in 唐津(佐賀県唐津市)」から参戦開始となるようです。

で、気になるのが、まだまだ戦闘能力の高いランエボ2台の行方、だったりします。

(青山 義明)

この記事の著者

青山 義明 近影

青山 義明

編集プロダクションを渡り歩くうちに、なんとなく身に着けたスキルで、4輪2輪関係なく写真を撮ったり原稿書いたり、たまに編集作業をしたりしてこの業界の片隅で生きてます。現在は愛知と神奈川の2拠点をベースに、ローカルレースや障がい者モータースポーツを中心に取材活動中。
日本モータースポーツ記者会所属。
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