レアだけど生き残り組も存在! 新車や次期モデルにマニュアル仕様がある国産スポーツカー

■新型BRZや次期フェアレディZにもMT設定

クルマを自在に操る楽しさを味わえるなどで、根強い人気があるMT(マニュアル・トランスミッション)車。ところが、最近はスポーツモデルでもMT設定がないクルマも増えていて、今や絶滅危惧種(?)とさえいわれています。

ところが、探してみれば数は少ないけれど、しっかりとMT車が残っているモデルも存在します。ここでは、そんな「生き残り組」とさえいえる、新車や次期モデルにMT仕様がある国産スポーツモデルを紹介します。

●スバル・BRZ

水平対向エンジンとFRレイアウントを採用したピュアスポーツカーで、スバルとトヨタと共同開発した2ドアクーペモデルが「BRZ」。初代モデルは2020年8月に生産終了となってしまいましたが、スバルは2020年11月に2代目となる新型(北米仕様車)を世界初公開しています。

新車や次期モデルにマニュアル仕様がある国産スポーツカー
新型BRZのフロントビュー

新型BRZは、初代モデルが持つスポーツカーならではの特徴をさらに充実させることで、誰もが走りを楽しめるスポーツカーとして、全方位に大幅な進化を遂げているといいます。

中でも、注目はエンジンで、排気量を先代の2.0Lから増大した2.4L水平対向4気筒を搭載。徹底した吸排気性能の強化とフリクション低減によりトルクを15%向上し、ポート噴射とシリンダー直接噴射を併用するトヨタ独自の燃料システム「D-4S」を採用することで、環境性能にも優れた仕様になっています。

なお、最高出力は228hp(231ps)、最大トルクは184lb.-ft(249.47Nm)を発揮します(北米仕様車のデータ)。

そして、このエンジンに組み合わせられるトランスミッションには、6速ATのほかに6速MTも用意。インナーフレーム構造や構造用接着剤などを採用して再構築されたボディなどと相まって、軽快な走りを実現します。

内外装も一新されて、よりスポーティなイメージに生まれ変わった新型BRZ。国内投入時期はまだ未発表ですが、スポーツカー好き、MT車好きには今から注目のモデルだといえるでしょう。

●トヨタ・86

前述のBRZと兄弟車であるトヨタの「86」は、初代モデルが未だにラインアップに残っています(2020年12月末現在)。

新車や次期モデルにマニュアル仕様がある国産スポーツカー
トヨタ・86

クルマ好きの多くがご存じの通り、このクルマの車名は1980年代に一世を風靡した名車「AE86」(通称ハチロク、カローラレビン/スプリンタートレノの型式名)から譲り受けたもの。2.0L水平対向エンジンと軽量な車体、FRレイアウトなどによる軽快な走りは、街乗りからワインディング、サーキット走行などで威力を発揮。多くのスポーツカー好きを虜にしているモデルだといえるでしょう。

このモデルにも、6速ATのほかに6速MT仕様を全グレードに設定。クルマを自在に操る爽快感を堪能できます。価格(税込)は、267万1900円〜348万7000円です。

●ホンダ・シビック タイプR

1997年に初代EK9型が発売されて以来、世界中のホンダファンから大きな支持を得てきたFFスポーツが「シビック タイプR」。高回転まで一気に吹け上がる可変バルブ機構「VTEC」の名を一躍有名にしたモデルです。

新車や次期モデルにマニュアル仕様がある国産スポーツカー
ホンダ・シビック タイプR

現行モデルは2017年に発売された5代目ですが、2020年10月にマイナーチェンジが行われ、前後バンパーをよりスポーティーなデザインに変更するとともに、エンジンの冷却性能を向上させるなどの改良が行われています。

エンジンには、320psを発揮する2.0L・直列4気筒の直噴ターボを搭載。それと組み合わせるトランスミッションは6速MTのみで、1〜6速で専用クロスレシオを設定。ファイナルギア比をローレシオ化するなどで、圧倒的な加速性能を全域で引き出すことが可能となっています。

価格(税込)は475万2000円。なお、国内200台限定で、イエロー×ブラックの専用カラーや20インチ鍛造ホイールを装備したリミテッド・エディションは、すでに予定販売台数が終了しています。

●日産・フェアレディZ

1969年に発売された初代S30型から世界的な人気を誇り、「日本製スポーツカー」の名を世に轟かせた名車の直系モデルです。

新車や次期モデルにマニュアル仕様がある国産スポーツカー
日産・フェアレディZ

現行の6代目Z34型は2008年に登場。スポーツカー伝統のスタイル「ファストバック型」を採用した流麗なフォルムを持ち、336psを発揮するエンジンには3.7L・V型6気筒のVQ37VHR型を採用。もちろん、6速MT車の設定もあります。価格(税込)は397万9800円〜651万9700円です。

なお、日産は2020年9月に、次期モデルのプロトモデル「フェアレディZ プロトタイプ」を世界中のZファンが参加するオンラインイベントで公開しています。

内外装を一新した新型のプロトモデルですが、その外観デザインは初代S30型のシルエットやフロント&リヤのアイコニックなモチーフを引き継ぎつつも、現代的なアレンジを加えたもの。

新車や次期モデルにマニュアル仕様がある国産スポーツカー
新型フェアレディZのプロトタイプモデル

また、パワートレインは、V6ツインターボエンジンと6速MTを組み合わせた仕様とのことですから、新型でもマニュアル操作よる走る楽しさが味わえそうです。今から登場が楽しみですね。

●マツダ・ロードスター/ロードスターRF

1989年に発売された初代NA型(当時の車名はユーノス・ロードスター)以来、全世界で多くのファンを持つ2シーターのオープンモデルが「ロードスター」です。

新車や次期モデルにマニュアル仕様がある国産スポーツカー
マツダ・ロードスター「RS White Limited Selection」

現行のND型(4代目)には、ソフトトップモデルのロードスター、電動ハードトップ(リトラクタブルハードトップ)仕様のロードスターRFをラインアップしています。

エンジンには、ロードスターに最高出力132psを発揮する1.5Lガソリンの「SKYACTIV-G 1.5」、ロードスターRFには最高出力184psを発揮する2.0Lガソリンの「SKYACTIV-G 2.0」を搭載。いずれも全グレードに、6速MT仕様を設定しています。

なお、ロードスターとロードスターRFは、2020年12月に内外装色を新たに追加するなどの一部改良を受けました。ボディカラーには「ディープクリスタルブルーマイカ」が加わったほか、インテリアではナッパレザーの内装に新色「ピュアホワイト」が設定されるなどで、カラーの選択肢がさらに増えました。

また、Brembo社製ブレーキ、RAYS社製アルミホイール(ソフトトップモデル)、BBS社製アルミホイール(リトラクタブルハードトップモデル)を装着した「RS White Limited Selection」が、2021年3月31日までの期間限定で販売されています。

(文:平塚直樹/写真:トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、スバル、マツダ)

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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