フレームの種類とは?バイクの特性や用途によって構造を最適化【バイク用語辞典:フレーム・ステアリング編】

■安定した走行のために求められるのは高い剛性と適度な柔軟性

●標準的なクレードルの他、ダイヤモンドやバックボーン、トラスなど多種多様なフレーム

バイクは、性能や排気量、用途などによって種類やスタイルが決まります。それぞれの目的に応じて、クレードルフレームの他、ダイヤモンドフレーム、バックボーンフレーム、トラスフレームなどのフレームが採用されます。

さまざまなフレームの種類と特徴について、解説します。

いろいろなフレーム構造
いろいろなフレーム構造

●クレードルフレーム

クレードルフレームとは、フレーム全体でエンジンを包みこんで高い強度と剛性を確保する標準的なフレームです。クレードルとは揺りかごのことで、ステアリングヘッドパイプとスイングアームピポットを結ぶダウンチューブから成ります。

エンジン前部のダウンチューブが2本のダブルクレードルフレームは、頑強な構造でネイキッドモデルなどに採用。軽量化のためにダウンチューブが1本のシングルクレードルフレーム、途中から2本になるセミダブルクレードルフレームがあります。

●ダイヤモンドフレーム

ダイヤモンドフレームは、クレードルフレームのダウンチューブがないタイプで、エンジン上部などをマウントし、エンジンをフレームの一部として使用することで強度と軽量化を図っています。

●バックボーンフレーム

バックボーンフレームは、エンジンをフレームの一部とするのはダイヤモンドフレームと同じですが、メインフレームがパイプでなく鋼板プレス成形を使用しています。この太いメインフレームに、エンジンは吊り下げられるように配置されています。

構造がシンプルで大量生産が可能なため、実用車や小排気量モデルに採用されています。

●トラスフレーム

細めのパイプを用いてメインフレームをトラス(架橋)構造にして軽量化と高剛性の両立を図るのが、トラスフレームです。各部にかかる力を分散させることで剛性を高めるとともに軽量化と適度な柔軟性も得られます。

各パイプの太さや肉厚を調整したり、クロスメンバーを追加するなど剛性バランスを自由に設計できるメリットがある一方で、コストはかかり大量生産に向いてないのが難点です。ドゥカティは古くからトラスフレームを採用しており、Moto GPクラスのロードレーサーでも実績を上げています。

●ツインスパーフレーム

ツインスパーフレームは、メインとなる2本の太い湾曲したフレームがエンジンを抱え込んでいるのが特徴です。このメインフレームには、アルミ合金の押出し材が使用されることが多く、軽量で高い剛性を実現できるので高性能バイクで採用されています。

●モノコックフレーム

モノコックフレームは、外板全体で応力を受け止めて高い剛性を実現する構造でクルマでは主流です。通常のフレーム構造は動物の背骨のようなイメージですが、モノコックは甲殻虫のように面全体で強度を確保する構造です。ちょうどツインスパーフレームの2本のメインフレームの上にフタをしたような形状です。


フレームの進化は、モータースポーツが大きく関わっています。レースで勝つためには、エンジンの高性能化だけでなく、高速の操縦安定性や運動性能の向上が必要です。そのため、フレームの高剛性と軽量化が求められるようになり、市販モデルにも技術がフィードバックされるようになりました。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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