関越で発生した長時間に渡る立ち往生、原因はネクスコにあるが自衛手段も持つべきです

■自然災害に対し、自己防衛も大切

大雪に埋もれる大型車の車列(提供=東日本高速)
大雪に埋もれる大型車の車列(提供=東日本高速)

関越道で発生した長時間の立ち往生事案、状況からすれば完全にネクスコ(高速道路会社)のミスである。社長の記者会見によれば大雪を想定していなかったという。普段からドカ雪の多い関越道は日本の高速道路で最も手厚い除雪装備を配置してあり、今回くらいの雪でも十分対応出来た。特に今回スタックが始まった区間は本格的な登り勾配ではない上、上下線で発生している。

気象庁は何度も警報級の大雪になると注意喚起していたのだから、通常のフル除雪体制を組んでいたら立ち往生が発生することなどなかっただろう。もしかすると除雪体制だけでなくチューン規制すら甘かったんじゃないかと思われる。さらに2000台を超える規模の立ち往生となれば、六日町の『FM雪国』などに依頼し、リアルタイムで情報発信するなどフォローも行うべきだった。

雪に埋もれると二酸化炭素や一酸化炭素中毒になる乗用車は怖い。ラジオなどで情報を発信し避難(同乗)させてくれるトラックはハザードを出して貰うように呼びかけるなど(トラックは燃料タンクが大きいため簡単にガス欠にならない)、様々なアドバイスも出来たと思う。立ち往生した人の気持ちになった対応すら出来ていない。死者が出なかったのが不思議なくらいの状況。

東日本大震災
東日本大震災からまもなく10年。果たして、当時の教訓は生きているでしょうか。

我が国の災害の多くに当てはまることなのだけれど、当事者になってしまったら運を天に任せるしかない。厄災に巻き込まれないようにするにはどうしたらいいだろう。最も大切なのは「自分で自分を守ること」である。出掛けるときは常に天気予報をチェックし、出先がどういう情報なのか知っておきたい。今回も警報級の大雪になること明らかだった。大雨被害などにも言えること。

荒天による崖崩れや通行止めの発生なども十分事前に予測可能である。どうしても当該区間を通行しなければならないような時は、高速道路ならSAやPA、一般道だと大規模のモールやショッピングセンターなどの安全だと思われる場所で最終確認を行い、通行したらいいと思う。今回のような大規模&長時間の立ち往生は珍しいが、小規模の通行止めはけっこうな頻度で発生する。

防災セット
どうせどこかに防災セットを置いておくならクルマに、という考えもあるかもしれません。

その上でクルマにサバイバルキットを常備しておくことをすすめておく。今回は避けることも可能だった大雪による立ち往生だったが、地震など予測出来ない自然災害に遭遇することもあるだろう。いつでもどこでも誰でも厳しい状況に追いやられる可能性がある。といった時に役立つのが生き延びる度の装備を集めた防災セット。2011年の東日本大地震の後、様々な防災セットが出ている。

安いセットなら3980円。高いセットだと2万円といったイメージ。安いタイプは2日間くらいまでなら耐えられるような内容になっており、十分生き延びることが可能。高いセットになると食糧や快適に寝られる寝袋なども含まれており、3日間くらいストレスなく過ごせる装備だ。初期対応のヘタさが弱点の我が国ながら、3日くらい我慢すれば助けてくれる。クルマに載せておけば万全だ。

クルマに常備しておくのであれば、多少かさばるものの、毛布や水、保存出来る食糧、簡易トイレなどを入れたレスキューセットを自分で作っておくの良いと思う。世界規模で発生している気候環境の変化により今まで発生していなかったような自然災害に遭遇するケースは今後大いにあり得る。その時に厳しい状況ならないよう、意識改革が必要になってきたと思う。

(国沢 光宏)