レクチュファイヤとレギュレーターとは?交流を直流に変換する装置と12V直流電圧に制御する装置【バイク用語辞典:電装編】

■安定した12V直流電圧に変換して電装品やバッテリーへ電力を供給

●ダイオードやサイリスタなどを使った電子回路で構成

点火プラグの火花を飛ばす点火システムやヘッドライトなど、すべての電装部品は12Vの直流電圧で作動します。ただし、オルタネーターの発電電圧は交流なので、電装系が作動する安定した直流電圧に変換するためにオルタネーターにはレクチュファイヤとレギュレーターが組み込まれています。

レクチュファイヤとレギュレーターそれぞれの仕組みと役割について、解説します。

●オルタネーターの交流出力を12V直流電源に変換

電装システム
電装システム

オルタネーターはエンジンの動力で発電する交流発電機なので、エンジン回転とともに出力は上昇します。一方で電装系やバッテリーは直流なので、オルタネーターの出力を一定の直流電圧に変換する必要があります。

交流電圧を直流電圧に変換するのがレクチュファイヤ(整流器)です。また、エンジン回転とともに上昇する電圧を一定の直流電圧に調整するのがレギュレーター(電圧調整器)です。

自動車やバイクの電装品は、直流12Vで作動します。

電装系の流れ
電装系の流れ

直流が使われる主な理由は、配線が少なく、コストや重量に有利なことです。交流は配線が2本必要なのに対して、直流はプラス線の1本(マイナスは、ボディアース)ですみます。また通常充電ができるのは直流であり、バッテリーが直流電源であることも大きな要因です。

●レクチュファイヤの仕組み

レクチュファイヤは、オルタネーターで発電した交流電圧を直流電圧に変換するので、AC-DCコンバーターとも呼ばれます。直流とは、電流の流れの向きや電圧の大きさが変化しない電気の流れ方、一方の交流は電流の向き、電圧大きさが周期的(正弦波状)に変化する電気の流れ方です。

オルタネーターの構成
オルタネーターの構成

レクチュファイヤは、ダイオードを使ってオルタネーターの交流を整流して、これをすべてプラスの直流に変換します。

ダイオードは、一方向にしか電流を流さない特性を持つ素子です。交流配線にダイオードを挿入すると、交流の谷(マイナス)の電圧分が抜け落ち、山(プラス)の部分だけが抜き出されて安定した直流を作ります。

●レギュレーターの仕組み

エンジン(オルタネーター)の回転が上昇すると発電量が増えて出力が増大するので、そのまま直流変換するだけでは電圧値が変動して使えません。

レギュレーターは、電圧がバッテリーや電装系が作動する一定値(12V)になるように調整する装置です。

マグネット式オルタネーターの場合は、サイリスタのスイッチ作用を使って余分の電圧をアースに短絡して電圧を調整します。サイリスタは、ダイオードのように一方向にしか電流を流しませんが、一定電圧を超えると反対方向に流す機能を持っています。

レクチュファイヤとレギュレーターは一体構造になっており、回路内のスイッチング作用によって熱が発生するため、フィンの付いた金属製のボディに収められています。


バイクのバッテリーや電装部品は、自動車と同様直流12Vで作動します。そのためにオルタネーターの交流出力を直流に変換する必要があり、レクチュファイヤで直流に変換してレギュレーターで安定した直流電圧12Vに調整します。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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