新型コロナウイルス陽性者急増で運行管理者試験に導入された新試験方式「CBT試験」って何? 

■会場だけでなく試験日時も増える、CBT試験とは?

全国で新型コロナウイルスの感染者数が急増。そのさなかに2020年度2回目の運行管理者試験の申し込みが始まりました。実施予定は来年2021年3月7日。

振り返れば感染拡大の余波受け、この春の2019年度2回目の試験は初めての中止に。全国で約4万人のエッセンシャルワーカーが受験するだけに、試験の実施主体である運行管理者試験センターの対応が気になります。

「1つの会場に集まる受験者数を減らして、それぞれの間隔を1メートル以上確保する。換気、マスク、消毒。前回に引き続き、来年の試験でも、感染対策を徹底します」

運行管理者試験は業界の繁忙期を避けた春と夏の2回。4月~3月の年度単位です。今年2020年8月、新型コロナウイルス下で実施された2020年度1回目の試験で約4万9300名の受験を乗り切った運行管理者試験センター(山本芳治理事長)ですが、来年に予定された試験でも緊張は解けません。

以下、同センター事務局長が回答します。

「大学を会場とすることは、一部の県では今回もできません。11月でも感染状況がこんな状態なので、予定している会場も使えるかどうか」

前々回、中止を決定したのは試験日の3日前でした。受験者への周知、会場のキャンセル、振替受験などの受験意思確認など対応に追われ続けました。

「そのため2020年度第2回の試験から、新たな試験方法である『CBT試験』(=Computer Based Testing)を、前倒しして導入しました」

CBT方式の試験はコンピュータのモニターに表示された問題を見ながら、マウスをクリックして回答します。運行管理者の試験は印刷された問題を見ながらマークシート方式で回答を記入するのが基本です。引き続きこのマークシート方式でも実施されますが、CBT試験には、受験者の回答方法だけでなく、受験者にとって格段に有利な特長があります。

「マークシート方式の試験は3月7日の1日だけですが、CBT方式の試験実施期間は2月27日~3月14日まで。それぞれ1日に2~3回の実施時間から選ぶことができるので、試験日だけでなく、都合の良い時間に受験することができます」

マークシート方式でもCBT方式でも試験会場に行かなければならないことは同じですが、試験日時が分散しているため、多くの受験者で混雑することがありません。CBT方式の試験で会場となるのは、主に1部屋が20~30人程度のパソコン教室です。

「密集を避ける感染対策にもなります」

●まったく違う試験を受ける隣の受験生

試験期間が約2週間に及ぶことで、マークシート方式の一斉試験と受験格差は生じないのでしょうか。

「IDとパスワードを使ってパソコンを開き試験に臨みますが、試験会場では受験者と申込者が同一であることを試験官が確認します。試験問題は1種類ではなく、数多くの問題を組み合わせて、すべてが異なる試験内容を用意しているので、試験方法の違い、受験日時によって有利不利が生じないようにしています」

CBT試験は、不正も起こりにくいと言えるかもしれません。

「同じ会場で一斉に行うわけではないので、会場で隣に居合わせた人が同じ運行管理者試験を受けているとは限りません。まったく別の検定試験を受けていることもあります」

運行管理者の資格取得希望者は、コンピューターよりもハンドルを握る時間のほうが多い職種の人たちですが、戸惑いはないのでしょうか。

「運行管理者試験は書面申請のほかに、2014年から電子申請を受け付けています。この申請率はスマホでも可能で、75%を超える受験者が電子申請を使っています。違和感は少ないのではないでしょうか」

パソコン操作に慣れない人のために、受験前には操作説明と練習問題が用意されています。CBT方式のほうがマイペースで受験できる雰囲気はありますが、緊張感を高めて受験できるのはマークシート方式かもしれません。

CBT試験の申込みはインターネットのみで2021年12月21日まで。郵送による書面申請はそれより早い12月2日まで。マークシート方式の試験は全国で、CBT試験は受験者が多い主な都道府県だけで実施されます。

(中島 みなみ)