車両本体価格500万円のハリアーが人気の理由は、輸入車SUVに肩を並べる質の高さを手に入れたこと【ドリキンの新車比較試乗】

■スーツにリュック&スニーカーが定番となった時代のスタンダードモデルとなったSUV

ハリアー外観01
新型ハリアーと輸入SUVの中でも人気のボルボXC60を試乗。

国産プレミアムSUVのパイオニアであるトヨタ・ハリアー。2020年6月にフルモデルチェンジを行い、4代目となる現行モデルが登場しました。

販売開始から1ヵ月で約4万5000台受注するなど好スタートを切っています。

そこで今回は、絶好調のトヨタ・ハリアーと日本カー・オブ・ザ・イヤーでイヤカーに輝いたボルボXC60をドリキンこと土屋圭市さんに比較試乗してもらいました。

試乗したクルマのスペックは以下です。

ハリアー外観03
ハリアーのフロントスタイル。

トヨタ・ハリアーハイブリッドZ レザーパッケージ E-Four(CVT)
車両本体価格504万円

全長4740mm×1855mm×1660mm、ホイールベース2690mm、車両重量1690kg、エンジン種類 直列4気筒、総排気量2487cc、最高出力178ps/5700rpm、最大トルク221Nm/3600~5200rpm、使用燃料レギュラーガソリン、WLTCモード燃費21.6km/L、サスペンション F:マクファーソンストラット式R:ダブルウィッシュボーン式、最小回転半径5.7m

ボルボ外装02
XC60のフロントスタイル。

ボルボXC60 B5インスクリプションAWD (8AT)
車両本体価格739万円

全長4690mm×1900mm×1660mm、ホイールベース2865mm、車両重量1890kg、エンジン種類 直列4気筒ターボ、総排気量1968cc、最高出力250ps/5400~5700rpm、最大トルク350Nm/1800~4800rpm、使用燃料ハイオクガソリン、WLTCモード燃費11.5km/L、サスペンション F:ダブルウィッシュボーン式R:マルチリンク式、最小回転半径5.7m

●「新世代のスタンダードカー」ドリキンのハリアー評は?

ハリアー外観02
ハリアーハイブリッドはしなやかな乗り味が特徴。

ボディサイズが違うとはいえ、トヨタ・ライズ/ダイハツ・ロッキーが大ヒットし、トヨタ・ヤリスクロスも追加されトヨタのSUVのラインアップは充実している。その中でもある意味本命と言えるモデルがハリアーだと思う。やはり国産プレミアムSUVのパイオニアだし、ブランド力も強い。

これは中古車になってもなかなか値落ちしていないことが表している。その新型ハリアーは販売開始から1ヵ月で受注4万5000台。これはスゴイよ! ハリアーの車両本体価格は299万~504万円で最上級グレードならば輸入車も手が届く価格。

ハリアー内装02
ハリアーに搭載されている2.5Lハイブリッドシステム。

それでもハリアーに乗りたい!という人が多いというのは、それだけ魅力があるということ。その魅力が一体何なのかを探ってみたい。

試乗したのは最上級グレードの2.5ハイブリッドZのレザーパッケージ4WD車。オプションで19万8000円の調光式パノラマルーフが装着されているけれど、この装備はいい。室内の雰囲気が一段と豪華になる。

しかもこの調光式パノラマルーフは最上級グレードのZにしか設定されていないのは商売上手だよね。ハリアーを購入する人ならば、こういった装備はくすぐられると思うから。

ハリアー内装05
馬の鞍をイメージしたセンターコンソールが特徴のハリアーのインパネ。

ハリアーは前後のボディが絞られているけれど、ボディの四隅がわかりやすくて取り回ししやすいので、乗用車感覚で乗れてしまう。軽快なステアリングフィールやフラットな乗り心地にしても新時代の乗用車と言えるね、ハリアーは。

わかりやすくいえば、ひと昔前は会社に勤めるサラリーマンはスーツに革靴、革の鞄がスタンダードだった、しかし現在スーツ自体は変わらないけれども、リュックそしてスニーカーで自転車に乗っていくサラリーマンもいる。これだけ世の中のスタンダードが変わったということ。

そういう点で見ればハリアーは新世代のスタンダードカー。したがってハリアーを見て趣味のクルマと思わない人が多くなっているはず。こういったこともこれまでのSUVとは違う領域に入ったと思う。でなければ、1ヵ月で約4万5000台も売れないでしょう。

ハリアー内装04
ヘッドクリアランスもしっかりと確保されたリアシート。
ハリアー内装03
本革を採用したハリアーのフロントシート。

搭載している2.5Lハイブリッドシステムは、モーターの効きが良くて発進時の加速などはトルクがあるので非常にスムーズに加速する。したがって1700kgという車両重量を感じさせない。以前のSUVだとアクセルを踏んでから発進するのにタイムラグがあったけれども、ハリアーはスッと加速していく。この味付けは上手い。

トヨタのハイブリッドシステムはかなり熟成が進んでいるし、最新の技術によってより良く仕立てられている。ギクシャク感がまったくなく、モーターとエンジンの強調制御が非常に上手に行われている。しかも今回の試乗車は4WD車だったけれど、現行型ハリアーはハイブリッド車でも2WDも選べるようになった。これはしっかりとマーケットを見ている結果だと思う。

多くの人は街乗り中心のはず。そうなると4WDのメリットは薄くなる。しかも燃費性能は向上し、価格も4WDより安いから上級グレードも選べるようになるなどメリットが大きい。

ハリアー内装07
5人乗車時のラゲージ容量は409Lを確保。
ハリアー内装08
リアシートを全て倒すと最大で1045Lまで拡大する。

ワインディングを走行していないから、何とも言えないけれども、街乗りだけで評価すれば19インチという大径タイヤを装着していても、しなやかな乗り味だしドライバーだけでなくリアシートに乗った人も快適に移動できるのは高く評価したい。これで500万円ならば、買いだと思うな。

500万円というとトヨタならばクラウンも購入できるけれども、俺ならハリアーを選ぶ。運転しやすいし、荷物もたくさん積めるという利便性の高さも魅力だから。ハリアーはSUVがカジュアルではなくフォーマルになったと感じさせてくれる。

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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