BMWの歩み:航空機エンジン製造が祖業。スポーティな高級車を作るドイツメーカー【自動車用語辞典:海外の自動車メーカー編】

■BMWはバイエルン発動機製造の略、航空機エンジンから2輪車、そして4輪車へと成長

●最近は、欧州メーカーの中でEVやPHEVに最も積極的に取り組んでいる

BMWの2019年販売台数は、世界第13位でした。航空機エンジンの製造を起源とするBMWは、伝統的にエンジンに強いこだわりを持ち、スポーティな高級車を主力とする自動車メーカーです。

2000年以降、ミニとロールスロイスの2つの英国ブランドを傘下に収めたBMWのこれまでの歩みについて、解説していきます。

●会社概要と業績

・会社名:BMW AG

・代表経営責任者(CEO):ハロルド・クルーガー

・創立:1916年

・資本金(2018.12現在):6億5800万ユーロ

・従業員数(2018.12現在):連結13万4682人

・販売台数:254万台(2019.1~2019.12)

●起源

BMWの起源は、1916年にグスタフ・オットーが航空機エンジンを製造するBFW社を設立したことに始まります。1917年にBMWに改称すると、航空機エンジンの製造から2輪車用エンジンの製造を経て、1932年には4輪車の製造に着手しました。

社名のBMWは、ドイツ語の「Bayerische Morten Werke(バイエルン発動機製造)」の略です。

●メーカーとしての歩み

第二次世界大戦後、現在の7シリーズのもとになる501で4輪車の製造を再開しましたが、経営は危機的状況でした。そのような状況下で1961年に発売した1500(後の5)が大成功して、危機を救いました。

好調になった1966年に1600-2(後の3)を発表して、現在の3、5、7という基本ラインナップが完成しました。

航空機エンジンから始まったBMWは、伝統的にエンジンに強いこだわりを持っています。例えば、他社がコンパクトなV6エンジンを採用しても頑なに直6エンジンを使い続け、またターボを欧州車で初めて採用したのはBMWでした。

エンジンにこだわるBMWは、水素エンジンの開発に注力して2006年には、量産初の水素エンジン車を販売しました。

また2010年以降、欧州車の中でEVやPHEVの電動車をもっとも積極的に投入しています。

●往年の代表的なモデル

英国のオースチン・セブンのライセンス生産から始まり、自社オリジナルの製造を開始したのは1932年ですが、その後のBMWの方向を決定づけたのは1961年発売の1500の成功でした。1500は、高性能なスポーティサルーンでまさに現在も続くBMW車の源流です。

・1966年、軽量なボディに直列エンジンを搭載した2ドアサルーンの1600-2(通称マルニ)を発売

・1968年、大型4ドアの大排気量(2788cc)水冷6気筒エンジン搭載の2800CS発売

・1971年、ツーリングレースで活躍した3.0CS登場、これが現在も続くBMW6シリーズの元祖

BMW 3.0 CSL
1971年、3.0 CSL

1970年代に入ると、フルモデルチェンジを機にそれぞれ3シリーズ/5シリーズ/6シリーズ/7シリーズという名称に変更しました。

・1975年、レース用ミッドシップスポーツのM1が登場

BMW M1
1975年、M1

●最近の代表的モデル

1980年年代に入り、1982年登場した2代目3シリーズは、実用的な4ドアを追加して世界中で大ヒットしました。日本でもバブル期の勢いに乗って、大人気モデルとなりました。

・1996年、ユーノスロードスターの進化バージョンとしてZ3ロードスターがデビュー

・2000年、プレミアムSUVのX5発売

BMW X5
2000年、X5

・2004年、X5の成功を受けて3シリーズ版SUVのX3発売

・2014年、FFの2シリーズアクティブツアラー登場、FRのBMWのイメージを一掃

BMW 2シリーズ アクティブツアラー
2014年、2シリーズ アクティブツアラー

近年は、EVとPHEVの電動車を積極的に投入しています。

・2013年、電気自動車i3登場。軽量化のためにCFRP(炭素繊維強化樹脂)をボディに採用

・2014年、i3に続きスポーツタイプのPHEV i8を発売

BMW i8
2014年、i8

BMWで有名なのは最近採用が減っている直列6気筒エンジンの採用ですが、直6の持つレスポンス良く振動の少ないというメリットが、BMWのスポーティな高級感を特徴づけています。

一方で、多くの電気自動車EVとプラグインハイブリッド車PHEVをラインナップする電動化技術で先行するメーカーでもあります。ただしモーターの使い方は、燃費よりも走りを優先しているという特長があります。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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