コンパクトカーにも文句なしの魅力を。新型プジョー208のデザインを検証する

●他に埋没することのない個性を打ち出した新型208

7月2日に発表されたプジョーの新型208。先代から名前を引き継いだ新型ですが、その佇まいには少なからず違いが見られます。

「IRRESISTIBLE(魅力的、申し分のない)」をキーワードとしたそのエクステリアデザインの特徴について、さっそく具体的に検証してみましょう。

プジョー・メイン
長いフードと、緩やかな傾斜のリアウインドウがプロポーションの特徴

グループPSAのB、Cセグメント用最新プラットフォーム「CMP」を採用しつつ、ホイールベースは先代と同一の2540mmとした新型は、一方で120mm長く、5mm広く、25mm低いという、最近のトレンドに沿ったモデルチェンジを行いました。

また、ワンモーションフォルムに近かった先代に対し、Aピラーを後退させることで長いフロントフードを強調、しかし、リアウインドウは大きく寝かせることで、従来のハッチバックとは異なる独特のシルエットを得ています。

プジョー・サイド
後退したAピラーと、後端が垂直にされたサイドウインドウが特徴

フタ型のボンネットフードに沿ったフロントランプは内側を奥まらせ、かつ内部をブラックにすることで立体感と精悍さを表現しています。特徴的な「三本爪」は、このブラックとの組み合わせで構成されているのが見所でしょう。

「セイバー」と呼ばれる注目のデイタイムランニングライトは、見る角度によって形状を変えるマジックを持っていますが、よく見るとこの部分はバンパーが平面になっていて、意外に単純な構成であることが分かります。少々やり過ぎだろうと思わせる表現ですが、その分バンパー両端に最近流行の派手なエアスリット類がなく、すっきりとしているとも言えそうです。

サイドウインドウの後端はほぼ垂直に落とされ、これと「GT Line」などのプレートが施されたリアピラー周辺は、かつての名車205を彷彿させると話題ですが、それよりも、傾斜したリアウインドウに対しサイドウインドウに高さを意識させ、一定の居住空間を感じさせる効果が重要かと思えます。

プジョー・リア
ブラックバンドと、大きく削がれた面が特徴のリアビュー

リアパネルのブラックバンドも特長とさせれていますが、横一文字のリアランプ全盛の現在では、もはや流行といえる表現です。ただ、その中に例の「三本爪」を盛り込んでいるのが3008や508同様、最新プジョーのオリジナリティを感じさせるところ。

新型208でもうひとつ大きな特徴と言えるのが、ボディ各部に施された凹面処理です。ボンネットフード両端の彫刻刀で削いだような面、サイドのキャラクターライン下に施された逆U字のカット、リアのブラックバンド下を大きくえぐった面。さらに、先のセイバーによるフロントのアンダーバンパー部など。

プジョー・フロント
フードの両端は彫刻刀でえぐったような凹面が特徴

たとえばフード両端のカットは508にも見られますし、その508ではボディサイドに特徴的なC字型の「カット」が見られます。つまり、チーフデザイナーのジル・ヴィダル氏(11月にグループルノーへの移籍が発表済)による、新世代プジョーの特徴とも言える表現です。

ただ、それが新型208のボディではどのような効果を発揮しているのか、これを把握するのはなかなか難しいところです。もちろん、各部のボリュームを削ることでのシェイプアップ、引き締まり感を出すことは容易に想像できますが、では果たしてこの新型208に必須だったのか?

プジョー・コンセプト
デザインのエッセンスは2015年のコンセプトカー「PEUGEOT FRACTAL Concept」から

いずれにしても、一連の最新プジョーのコンパクトハッチとして、他に埋没することのない個性を打ち出していることは間違いありません。欧州カー・オブ・ザ・イヤー2020獲得に不思議はないということです。

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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