■プロローグ(リモートにて)
■彼女をピックアップ
待ち合わせ場所へは早めに到着するつもりで、余裕をもって家を出た。でも、そこへ行くと、待っていたのは彼女のほうだった。まだ待ち合わせの時間にはなっていないのに。
「だって、はやく新しいクルマを見たかったからね」
新型ハリアーに乗り込むとほぼ同時に、彼女はそう笑顔を見せた。彼女は特別クルマが好きというわけではないけれど、ボクと行動するようになってからクルマで出かけることが楽しい時間の過ごし方になったみたいだ。
「SUVって言ってたでしょ。だからもっとゴツい感じかと思ったよ。だけど高級感があって、都会的な雰囲気を持ったクルマだね」
そんな彼女の分析は、結構鋭い。ハリアーのキャラクターと狙いをしっかりと感じているのだから。SUVだけど、エレガントでラグジュアリー。まるで高級セダンのように、パーティドレスを着た彼女と高級ホテルに乗り付けても似合う。ハリアーはそんな雰囲気を持っている。
ボクが新型ハリアーのデザインで特に気に入っているのは、リヤスタイルだ。リヤウインドウを寝かせて流行のSUVスタイルとしているからスポーティな印象。そのうえ、左右を一直線につなぐテールランプの細さは芸術的とすら思うし、その下の「くびれ」も美しい。
そんなハリアーのデザインはたぶん、個性があるだけに誰にでも受け入れられる八方美人タイプではないだろう。だけど、気に入った人はとことん気に入るように思える。
「このクルマ、私も気に入ったよ。」
ニッコリと笑う彼女の口から出たそんな言葉は、きっと嘘ではないと思う。だって今日は、いつもよりも楽しそうに見えるから。(つづく)
(文:工藤貴宏/今回の“彼女”:彩川ひなの/ヘア&メイク:宮本博子/写真:ダン・アオキ)