GoToトラベル キャンセル料の補償は今回限りの「特例的」措置

方針転換相次ぐGoToキャンペーンが7月22日にスタートしました。その前日には「東京除外」の影響でキャンセルした旅行の補償をすることが公表されました。

東京を目的地とする旅行や、都内在住者の申し込んだ旅行でキャンセルが生じた場合、旅行業者は旅行者にキャンセル料を請求してはいけない、支払い済みの場合は返金することになりました。7月10日~7月17日まで、この間の対象者のキャンセル料は0円ですみます。

GoToトラベルは旅行の目的を問わず、プライベートの場合でもビジネスの場合でも支援が受けられことに加え、宿泊だけでも適応されるため、クルマユーザーにも注目されています。

しかし、これでGoToトラベル絡みの旅行予約が安心してできるようになったかというと、どうもそうとは言い切れないようです。

GoToトラベルの開始を説明する赤羽国交相(7月10日)
GoToトラベルの開始を説明する赤羽国交相(7月10日) 撮影=中島みなみ

●発表当初、“東京除外”は想定外

キャンペーンを取り扱う観光庁は「感染症拡大によるキャンペーン中止は、今後もないとは言えない。すべてのケースで補償することはない」と警鐘を鳴らします。どういうことでしょうか。

GoToトラベルの仕組み
GoToトラベルの仕組み。現状で支援されるのは旅行代金割引の部分だけ。旅行代金上限2万円までで、最大7000円。

赤羽一嘉国土交通相は補償の決断に至った理由を、閣議後会見でこう説明しました。

「10日に開始時期を発表後、17日までに予約をした方々に対し、キャンセル料についての充分な周知がなされなかった」(7月21日)

GoToトラベルのキャンセル料補償を説明する赤羽国交相
GoToトラベルのキャンセル料補償を説明する赤羽国交相 撮影=中島みなみ

GoToトラベルの実施が公表された10日時点では、東京発着の旅行や都民が申し込む旅行が除外されることは想定外だったというわけです。GoToトラベル開始を公表した同日、赤羽氏はこう話していました。

「自治体とも緊密に連携をしながら、感染拡大防止と社会経済活動の両立に取り組むこととしているというのが大方針で、たとえば、スポーツ観戦なども予定どおりに行うということですので、GoToトラベル事業だけ予定を変更しなければいけないというようには認識しておりません」

東京都内での感染拡大を受けて、その1週間後に想定外の出来事は起きたわけですが、発生したキャンセル料を補償することは、こうした経緯が考慮されたということです。

●感染拡大で、除外地域は広がる可能性も

キャンセル料の補償が決まった21日の夜、愛知県の大村秀明知事は県内の感染状況について「警戒領域に入った」と宣言しました。各地の陽性者数は東京と比較すると実数は少ないですが、今までになかった場所で拡大を見せている例も珍しくありません。

GoToトラベルの目的は観光客の流れを取り戻して、地域経済を再活性させることにあります。人の移動を限定して拡大を封じ込める予防対策とは対極です。赤羽氏はキャンペーン除外地域が広がる可能性を否定しませんでした。

「感染状況を常に見ながら、安全が第一ですので、そのことを踏まえて柔軟に対応していこうと考えております」

実際に予約を入れて代金を決済した後に、キャンペーンの適応除外を理由に今後キャンセルした場合、どうなるのでしょうか。観光庁はこう言います。

「旅行者が予約時に支払った旅行代金をもとに、キャンセル・ポリシーに応じてキャンセル料を支払うことになります」

GoTotoトラベルの仕組みを説明する観光庁担当者
GoToトラベルの仕組みを説明する観光庁担当者 撮影=中島みなみ

GoToトラベルの支援額は、1泊2万円までの旅行代金の35%・最大で7000円です。仮に2万円の旅行商品の場合、旅行者の支払額1万3000円に対してキャンセル料が必要になります。

また、旅行を決行した場合には、支援額相当分の追加料金が発生します

新型コロナ感染予防対策で現状は、国も都道府県も外出自粛や営業自粛を求めてはいません。

たとえば、前述の大村愛知県知事も「東京由来の感染7割。不要不急の東京への移動は控えてほしい」と県民に呼びかけますが、移動を禁じているわけではありません。

小池百合子都知事も、都民に4連休中の外出を控えるように訴えていますが、これも同様です。そのため観光庁のGoToトラベル・キャンペーンに応じた申込みでも、決行か中止かを決めるのは自己判断。これからはキャンセル料が発生するリスクも考えてほしい、というのが国の説明です。

(文・写真 中島みなみ)