旧車再生の基本・フレームを清掃する(後編)【49年前のCB125は直るのか?素人再生記 】

■サビを落として塗装する!

●サビ落としの道具は?

古いバイクに乗るなら一度はフレームが見えるまで裸にしてメンテナンスしましょうと前回お伝えしました。今回はその後編、フレームのサビを落として塗装をします。

最近ではクルマやバイクのサビを落とすならサンドブラストを使って塗装ごと剥いでしまう方法が一般的です。ただ、サンドブラストを行うにはエアコンプレッサーやブラストキャビネットなど、大掛かりな道具が必要になります。

そこまで揃えると、手軽に誰でも行えるメンテナンスとは言い難くなってしまいます。もっとカンタンにサビを落としましょう。

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フレームまでバラしたホンダCB125k5。

サビを落とすにはワイヤーブラシ、ボンスターなどのスチールたわし、スコッチブライトなどのナイロンたわしがあれば十分です。しかもこの3つは100円ショップでも買えます。お財布に優しく、誰でもできる方法としてオススメです。

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ワイヤーブラシ。
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ボンスター(スチールたわし)。
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スコッチブライト(ナイロンたわし)。

ただし根気が必要です。サビをゴシゴシと人力で落とすのですから、時間がかかるのは仕方ありません。それに手も汚れます。

筆者の場合、ホームセンターなどで売っているニトリル系の手袋を着用します。厚手のものと薄手のものがありますので、作業する内容によって使い分けるのです。キャブレターの分解など手の感触が伝わって欲しい時は薄手、サビを人力で落とすような場合には厚手のものを着用しましょう。

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ニトリル手袋。

前述の3つでサビを落とす場合、まずワイヤーブラシを使います。潤滑スプレーなどをサビに吹き付けてからゴシゴシとブラシを当てます。これで大まかなサビが落ちるはずです。

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サビを落とす。

ワイヤーブラシを使いづらい場所もあります。それほどサビが広範囲ではなかったり、ブラシの柄が動かしづらい場所などでは直接スチールたわしを当ててしまいます。ワイヤーブラシもスチールたわしも、ゴシゴシ使うと粉塵が飛びますので、できればマスクを着用するといいでしょう。

大まかにサビが落とせたら、仕上げにナイロンたわしで磨きます。

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フレームからサビを落とす。

できれば鉄の表面から完全にサビを除去するのが理想ですが、そこまでやるにはさらなる根気が必要になります。本来ならフレームだけでも丸1日2日使うくらい頑張ります。

●塗料は何がいい?

あまり根気がない筆者のようなタイプは、サビを落とすだけに1日も2日もかけていられません。ではどうするかといえば、サビの上から塗装できるサビ止め塗料を使うのです。

サビ止め塗料にも色々と種類がありますが、旧車のサビ止めによく使われるのがPOR15という防錆塗料です。

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防錆塗料POR15。

POR15は腐食した金属表面に直接結合して、強度が高い皮膜を形成するコーティング剤と考えていいでしょう。通常のサビ転換剤と違って耐久性も強度もあるため、アマチュアレストアラーの強い味方であるのです。ただ、ちょっと高価です。今回使った100mlのタイプで2000円前後します。でも、それだけの価値があるとお伝えしましょう。

こうした性格の塗料ですから、シンナーで薄めてエアブラシで吹き付けるわけにもいきません。基本的に筆塗りです。

速乾性はありませんので筆塗りしていてあっという間に乾いてしまうことはありませんが、そのまま放置すると筆は再使用できなくなりますので、できればシンナー系うすめ液で洗っておくといいでしょう。

また手に着くと2、3日は取れません。ここでもニトリル系手袋の着用がオススメです。

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POR15を塗る。

前回外した腐食の激しいバッテリーケースも同様にサビを落としてPOR15を塗装します。こうした小さな部品は針金などで吊って塗装しつつ、そのまま屋根などにひっかけて乾燥させると作業しやすいです。

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バッテリーケース。

シートが固定されるベースステーも塗装しておきます。フレーム単体まで分解しなくても塗装できるところはすべて塗装しましょう。

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塗装前。
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塗装後。

●ハーネスの清掃

すぐにでも塗装工程に移りたいと思いますが、サビ落としの後にできればハーネスの清掃をしておくことをオススメします。というのも塗装する前には一度フレームを脱脂しておきたいからです。フレームを脱脂すると言うことはカンタンに掃除することでもあります。だったらハーネスからも汚れを落としておきましょう。

と言ってもフレーム内を通っている部分まで引き出すことはありません。要はギボシなどの接続部を中心に掃除することで、通電を邪魔する要素を減らしてあげるのです。できればギボシは一度外して接点復活剤などを塗布しておくといいでしょう。

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ハーネスを引き出す。

ですが今回、清掃中にやってしまいました。1本だけ接続部が不明の線が出てしまったのです。

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不明の配線。

こうした場合に役立つのが分解する前の写真です。同じ部分の写真を探して見比べてみれば、どこに入っていた線なのかをチェックすることができます。

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分解前の様子。

ですが、どうにも見当たりません。困りました。パーツリストの配線図を見て考えることにします。

●エアクリーナーを戻す

POR15の塗装が乾いたら、ハーネスや外しておいたバッテリーケースを戻して組み直します。

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塗装が乾いたフレーム。

その勢いで前回外したエアクリーナーケースも元に戻しましょう。でもただ戻すのではなく一手間加えます。

エアクリーナーケースにはキャブレターと繋がるゴム製のインシュレーターがあります。ここは経年劣化で破れたり切れたりしやすくなってますので、保護艶出し剤などを塗り広げてメンテナンスしてあげましょう。こうすることでキャブレターと接続するときもゴムが柔らかいので作業しやすいはずです。

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保護艶出し剤を塗布。

今回はここまでです。次回はいよいよサスペンションに手をつけましょう。

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エアクリーナーを装着。

(増田満)

この記事の著者

増田満 近影

増田満

複数の自動車雑誌編集部を転々とした末、ノスタルジックヒーロー編集部で落ち着き旧車の世界にどっぷり浸かる。青春時代を過ごした1980年代への郷愁から80年代車専門誌も立ち上げ、ノスヒロは編集長まで務めたものの会社に馴染めず独立。
国産旧型車や古いバイクなどの情報を、雑誌やインターネットを通じて発信している。仕事だけでなく趣味でも古い車とバイクに触れる毎日で、車庫に籠り部品を磨いたり組み直していることに至福を感じている。
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