運転席での日常点検とは?ブレーキやエンジンの調子をユーザー自身が点検【自動車用語辞典:定期点検編】

■メンテナンス(チェック)シートに従えば、素人のドライバーでも実施可能

●停止時および走行時にブレーキの効きやエンジンの調子などを最低でも月1回点検

クルマの点検には、ユーザー自身が行う日常点検と、法律で定められた法定点検があります。日常点検は、エンジンルームを覗いて点検、クルマの周りを回って点検、運転席に座って点検の3つに分類できます。

「運転席に座って点検」6項目について、解説していきます。

●日常点検とは

「道路運送車両法」では、クルマの使用者は点検および必要に応じて整備することによって、保安基準に適合するように維持しなければならないと規定されています。

そのため、日常的に必要な最低限の項目については日常点検を実施する必要があります。点検頻度については規定されていませんが、最低でも月1回は行うのが安心です。

日常点検は、次の3つに分けることができ、それぞれに4~6項目の合計15項目の点検項目があります。

・エンジンルームを覗いて点検:ブレーキ量やエンジンオイル量など

・クルマの周りを回って点検:タイヤの空気圧や摩耗、ランプの点灯や損傷など

・運転席に座って点検:ブレーキの効き、エンジンのかかり具合および異音など

以下に、「運転席に座って点検」6項目の点検内容について紹介します。

日常点検項目
日常点検項目

●ブレーキペダルの踏みしろ、およびブレーキの効き

エンジンを始動してブレーキペダルを踏み込んで床との隙間を点検します。

・床との隙間が少ない、踏み心地がフワフワしているときは、ブレーキ液の漏れや空気混入によるブレーキの効き不良の可能性があります。踏み心地がいつもと違うと感じたら、修理を依頼した方がよいです。

●パーキングブレーキレバーの引きしろ(踏みしろ)

ブレーキレバーをいっぱいに引いたときに、引きしろが多すぎ、あるいは少なすぎたりしないかを確認します。新車時や定期点検直後の状態と比較して判断します。

・引きしろが多いということは、ブレーキの効きが悪くなっている可能性があるので、坂道などでクルマが後退りする恐れがあります。

●ウィンドウォッシャーの噴射状態

ウォッシャー噴射装置を作動させて、洗浄液が正常に噴射されるかを点検します。

・ウォッシャーのノズルが詰まって噴射できなくなると、フロントガラスがきれいにできないので視界不良となって危険です。

●ワイパーの拭き取り状態

ワイパーの間欠作動や低速、中速、高速作動が正常かどうかを点検します。また、ガラスがきちんと払拭できるかもチェックします。

・ワイパーブレードラバーがガラスに凍結、あるいは張り付いた状態で無理やり作動させると、ゴムが傷むことがあるので注意が必要です。

●エンジンのかかり具合および異音

エンジンがスムーズに始動して、アイドルが安定して維持できるかを点検します。また、その時異音がないかも確認します。

・始動に時間がかかる、アイドルが不安定などの症状が出る場合は、噴射系統や点火系統に不具合が発生している可能性が高いので、修理を依頼すべきです。

●エンジンの低速および加速の状態

エンジン運転中に回転変動がないか、加速が鈍くないかなどエンジンが不調でないかを点検します。

・エンジン不調は何らかの不具合に起因するので、すぐに修理を依頼すべきです。


多くのドライバーは、ボンネットを開けたことがない、日常点検を実施したことがないのでは、と言われています。点検方法は、車検証などと一緒に収納されているメンテナンスノートに従えば、意外と簡単です。

安全のため、自分のクルマを長持ちさせるため、最低でも月1回の日常点検を行いましょう。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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