【自動車用語辞典:違反と罰金「スピード違反」】交通違反の中で最も多い制限速度の超過

■検挙方法は、ネズミ捕り式、オービス式、追尾式の3種

●検挙は警察がその時の状況で判断し、超過速度の明確な基準はない

交通違反の中でもっとも検挙件数が多いのは、スピード違反です。長年クルマを運転していると、スピードを出しているつもりはなくても不注意で1回ぐらいは捕まった経験があるのではないでしょうか。

スピード違反と検挙の方法について、解説していきます。

●何キロオーバーで捕まるのか

速度制限には、標識や道路標示してある都道府県の公安委員会が定める「指定最高速度」と、表示等がない場合の一般路は60km/h、高速道路は100km/hと規定されている「法定最高速度」があります。

これらの制限速度を僅かでも超えると、違反です。ただし検挙するには、さまざまな道路状況や計測誤差などを考慮して、ある程度余裕持たせて取り締まる必要があります。何km/hオーバーだと捕まるのかは、警察が状況をみて判断するので明確な基準はありません。

統計的にみると、制限速度以上で15km/h未満の検挙率は、きわめて低いと言われています。だからといって、10km/hオーバーで走行しても捕まらないと思わないでください。スピード違反には、違いありません。

当然ですが、超過速度によって違反点数は増えます。

交通違反の点数
交通違反の点数

●スピード違反の取締り方法

スピード違反車を検挙する方法は、「ネズミ捕り式」と「オービス式」、「追尾式」の3つの方法があります。

ネズミ捕りは、さまざまな道路で速度計測機を使って違反車を計測する方法、オービスは常設の無人式の自動取り締まり機によって違反車を計測する方法、追尾式はパトカーや白バイで追走して違反車を見つけ出す方法です。

それぞれの検挙方法を、以下に説明します。

●ネズミ捕り方式

警察の取り締まりチームが、特定の道路に速度計測機を設置して、走行するクルマの車速を計測します。設定速度をオーバーして走行するクルマを見つけると、計測側から100~200m先の検挙担当者に無線連絡して、違反車を検挙します。

捕まって違反行為を認めた場合、違反者は速度計測カードに拇印を押します。これによって、交通反則告知書(青キップ)が渡され、7日以内に反則金を納付しなければいけません。

車速の計測方式には、「光電式」と「レーダー式」があります。

光電式は、3m間隔の2本の光の線を通過する時間差から車速を求めます。レーダー式は、電波のドップラー効果を利用します。発射した電波と走行するクルマからの反射波の波長差から、クルマの車速を算出します。

●オービス方式

オービス方式は、違反車の車速の計測とクルマの撮影を同時に行う無人式の自動速度取り締まり機です。

計測方法は、ループコイル式(磁気センサー)とレーダー式があります。ループコイル式は、路面下に3組のループコイルを埋設し、ループコイルが金属体のクルマを感知し、その時間差から車速を算出します。

最近は、パルス状にレーダーを発射するHシステムが主流になりつつあります。

車速の計測の結果、設定値を超えていれば前方に設置されたカメラによって、赤いストロボを発光して違反車を撮影します。赤いストロボが光ったら、スピード違反した、写真を撮られたということを意味します。

違反の設定速度は、おおむね30km/h(高速道路は40km/h)オーバーです。超過速度が30km/h未満の違反、青キップの「反則行為」の場合は、一般的には対象にはならないようです。

撮影されてから警察の呼び出しが届くまで期間は、通常は1~2週間か、遅くとも1ヶ月までです。

●追尾方式

追尾式は、パトカーまたは白バイが違反車を追尾しながらスピードを計測する方法です。

速度計測機は使わず、違反車と等間隔・等速度で走行し、パトカーおよび白バイ自身のスピードを計測し、それを違反車の速度とみなして判断します。


制限速度を僅かでも超えれば、スピード違反です。

捕まらなければいいという考え方ではなく、クルマの流れを意識しながら極力法定速度を守ることが重要です。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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