清水和夫がフランス自動車業界の闇を暴露!? スパイ容疑から殺人事件…ミステリアスな真実とは?【SYE言いたい放談】

■フランス人のプライド「自動車を最初に作ったのはドイツではなく、我々フランス!」

●ゴーンさんはフランスで人種的差別を受けていた?

国際モータージャーナリスト・清水和夫さん、自動車ジャーナリスト・高平高輝さん、石井昌通さんの3名の識者による自動車業界ぶった切りトークが繰り広げられるYouTubeチャンネル【SYE(スタート ユア エンジン)言いたい放談】。

前回《清水和夫が炎上覚悟であえて言う!「厄介払いができたと思って、日産はチャッチャと先に進むべし! 」》に続き今回は、フランス政府も介入するルノーの真実、ミシュランで起こった会長殺人事件…などの闇を語った!

(※文字的には掻い摘んでいますので、ぜひ動画で全話をお聞きください!)

●日産は三菱と一緒に、ルノーからクルマ作りの深いところを学べ!

自動車は、ドイツ人ではなくフランス人が作ったんだ!って言うくらいプライドがありますからね。「ドイツは3輪車は作ったけど、いわゆる自動車の元を作ったのは我々フランス人!」って。

清水さん、高平さん、石井さん
3人の識者があえて言う! 右から、清水和夫さん、石井昌通さん、高平高輝さん。

あえて日産に言いたいことは、ゴーンさんがいなくなって清々したんだから、ちゃんと三菱と一緒になってルノーからクルマ作りの深いところを学べ! ルーテシアやメガーヌのようなクルマをあなたたちも作りなさい!と。

2005年くらいからゴーンさんが日産とルノーのCEOになり、でもその15年間、日産からこれだ!というクルマが日産から出ていないですよ。日産はリーフのBEV(Battery Electric Vehicle)でいち早くリーダーになろうとした。でも、それはゴーンのコンプレックスみたいなもの。トヨタ・プリウスにハイブリッドが先行されてしまっているから、同じCセグメントの実用車はEVで行く…というのが、最初の話。

ルノー・メガーヌR.S.カップ
メガーヌ(画像はR.S.カップ)のような、設計図に隠された、目に見えないクルマ作りの技術を、日産はルノーから学ぶべき!

でも、日産車は売れていないというのは明らかなのに「ゴーンさんは凄いビジネスマン、経営者!」って持ち上げている、っていうのがズルズルと続いてきていたのかな。

●スパイ容疑事件・水死事件・暗殺事件…闇だらけのフランス自動車業界

ルノーは凄く良いメーカーだ!…って言いたいところだけど、でもゴーンさんはパトリック・ペラータ氏という生え抜きのプロパーな良いエンジニアを2000年に引っ張ってきて、技術部門のトップをやらせていたんです。当時、オフセット衝突もやらないと!って直接、ペラータさんと話をしていたんだけど、ある日突然、スパイ容疑で捕まっちゃってルノーもクビ! でも後で、それが間違いだったということが判明し…。

エドゥアール・ミシュラン氏(当時の共同取締役/ミシュラン創業者の孫)も、大嵐の海に船で出て、帰らぬ人になったと言われているでしょ。F1アメリカGP(インディアナポリス)のバンクでバーストするからってことで、F1からミシュランが撤退したんだけど…あの辺りからなんだよね。

でも実はその話、フランス北西部・ブルターニュ半島沖で濃い霧が出ていて、でもベタ凪の風もまったくない、何もない、誰も見ていないところで乗っていた漁船が衝突し、何週間後かに遺体が海岸に打ち上げられ…という、大変奇妙な、ミステリアスな…。

もっと遡ると、1986年にルノーの現役の会長(ジョルジュ・ベス氏)が自宅前で射殺され…。

ルノーってフランス政府が株を持っているから、まだ戦後の何かを引っ張っているのかな? フランスは基本的に社会主義勢力が強く、労働組合の力もものすごく強い。日本やアメリカとヨーロッパとは全く違う世界です、特にフランスは。どんなに合理化したくても、痛みを分かち合うことはしない。敵対する勢力が必ずいるんです。アクションディレクトね。

ルノー・ルーテシア
日産はルノーの技術を学べ!(画像はルノー・ルーテシア)

そもそも貴族社会で、貴族の資本家が始めたのがミシュランやルノー。ミシュランとルノーは密接な関係という歴史もある。日本から見ると闇も深そうに見えるよね。

日産だってゴーンとその取り巻きとどこが対立しているのか? っていうのは、日本にはなかったですよね。トヨタだってそう。労働組合ともいい関係。そういうのとは違うのが、ヨーロッパにはある。貴族社会もあったし、奴隷制度もあった。

●レバノン人であるゴーンさんは人種差別的なものを受けていた?

ブラジル生まれのレバノン人であるゴーンさんは、ブラジル、レバノン、フランスのパスポートを持っているんですよ。大学卒業後はエリートの世界に入ったけど、でもその中でも見えないシーリングっていうのがあって。

白人のエリート主義集団の中にゴーンさんは入れなかったんです。ノンキャリ、叩き上げみたいなのがゴーンさん。まぁゴーンさんの味方というか、気持ちを理解してあげることも大事で。

ただ、日産を私物化してお金を自由にしてしまったことは悪いことだけどね。その額、合計で300億円ともいわれているけど、20年にもわたって日産を立て直すERドクターをやったんだから、そのくらいのお金を渡してさっさと日産を卒業してもらったほうがいいんだよ。

日産リーフ
リーフはEVとしてよくできているクルマではあるけど、魅力はあるか!?

でも一応、2018年にはVWに次いで販売台数世界2位にはなっていますからね。でも、そんな台数が出てもゴーンさんが作り上げた日産車に魅力があるか?

今回『グローバル化の功罪』っていうテーマがあるから、まぁ身の丈以上のグローバル化は必ず反動があって。ホンダも前の社長時代に650万台!というのが仇となってホーリングバックしています。

トヨタはグローバル化で、まぁ台数というのは気持ちはあるんだろうけど、足元からきちっと生産技術や労働組合との関係などをしっかり積み上げています。結果として台数になるのだとは思うけど。でも、台数よりも利益、社員の幸せ度とかをしっかり考えています。

●まだ日産の中にいる骨太エンジニアを、新社長がいかに見い出せるか? が、今後の日産を決める

今、もし自分が日産ディーラーにいたとしたら、来るお客様に何の話していいかわからない。新車は出ない、元会長はいなくなっちゃう、新しい社長はすぐいなくなっちゃう、副社長は別の会社に…。

今度来た新社長の内田誠さんがどういうマネージをするか分からないけど、今必要なことは、ボトムアップ(下から上へ意見を吸い上げ全体をまとめていく管理方式)だと思うんだよ。日産の課長、部長クラスにはまだ本物のエンジニアが、クルマとは何ぞや!ということが分かるエンジニアがいます。

まずは人々に愛される、欲しいと思うクルマ作りをする、数字じゃなくてね。そういう骨太の人が何人残っているか、それを内田さんが見い出さないとダメ。

日産デイズ
GT-R開発グループも加わったデイズは、やればできるじゃん!と言いたいいたいほど、イイです。

トヨタとかスバルもみんなボトムアップ。現場が強いから、部長がオタンコなこと言っても「違う!」と闊達(かったつ)な議論ができる社風にしないと。上からの指示を待っているようなのじゃダメ。ゴーンがくる以前、90年代の日産もそれが良くなかった。

片山豊さん(フェアレディZフリークにはあまりにも有名なZの片山、Mr.K)から直接聞いた話なんだけど。片山さんは北米日産の社長としてアメリカでは有名なんだけど、実は日産本社から飛ばされてアメリカへ。しかし、生き残るためにナニクソ!と思ってアメリカで頑張った。そんな華々しい勲章と共に日本に戻ってきたら日産には席が無く、ぶっちゃけちゃえば日産系列の代理店に飛ばされた。

でも、それがなぜかゴーン時代になったら『Mr.K』と呼ばれ…。それまで日産は何をしていたのか! 20年もの間、片山さんは居ないものとして日産の歴史から消されていたんです。

ルノーだけではなく、日産にもそういう後ろ暗い歴史がいっぱいありますね。

三菱ekワゴン
日産デイズと兄弟車となる三菱ekワゴン。

今、三菱と日産、軽自動車のデイズは日産がR&Dをやるようになり、なんとGT-Rグループがやるようになったらすごく良くなったよね! やればできるじゃん!って。

トヨタとダイハツの関係をみていると、完全子会社化して上場廃止したほうが、ダイハツらしい一家権あるものが出てきた気がする。

……To be Continued.

(出演:清水 和夫・高原 高輝・石井 昌通/アシスト:永光 やすの/動画:StartYourEnginesX

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https://clicccar.com/2020/02/10/953851/

【関連リンク】

StartYourEngines HP
https://www.startyourengines.net

国際モータージャーナリスト、清水和夫が主宰する自動車専門動画ウェブメディア。クルマの限界性能と安全性を徹底的に試すダイナミック・セイフティ・テスト(DST)を始め、国内外の新車インプレッション、注目度の高まる先進安全技術、自動運転など、クルマに関するあらゆるジャンルの動画をサイトアップしています。ぜひぜひ!チャンネル登録のうえご視聴ください。

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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