【自動車用語辞典:視認性「ウィンドウガラス」】保安基準で種類や品質が規定された自動車用のガラス

■一般のガラスに対して割れにくく飛散しにくい

●使われる部位によって機能も異なる

ウインドウガラスは、運転者の視界確保および衝突時の乗員の安全確保のため、保安基準によって種類や品質が規定されています。クルマ用のガラスは、一般のガラスに対して割れにくく割れても飛散しにくい「安全ガラス」であることが規定されています。

クルマで使われる安全なウインドウガラスについて、解説していきます。

●安全ガラスとは

ウインドウガラスは、安全ガラスが義務付けられており、合わせガラスや強化ガラス、部分強化ガラスなどがあります。一般的には、強化ガラスと合わせガラスが使われます。

合わせガラスは、2枚のガラスの間に柔らかで強靭な樹脂製中間膜を挟んだ3層構造です。衝撃を受けても、破片がほとんど飛び散らないのでフロントウインドウに使われます。側窓に使われることもありますが、強化ガラスより高価です。

強化ガラスは、板ガラスを熱処理して割れにくくしたガラスです。衝撃抵抗が同厚の普通ガラスに対して3~5倍大きく、割れにくい特徴があります。割れると細かな粒状になり、鋭利な部分が少ないため乗員への危害が少なく安全です。

しかし、衝撃を受けると無数のヒビが入り、視界が悪くなるのでフロントウインドウには使えません。

●さまざまな機能をもつウインドウガラス

現在使われている代表的な機能ガラスは、以下の通りです。

・IR(赤外線)カットガラス
断熱ガラスとも呼ばれ、赤外線の透過量を減少させて夏場の車室内温度の上昇を防ぎます。特殊な中間膜を使用する合わせガラスタイプと強化ガラスの表面にコーティングしたタイプがあります。

・UV(紫外線)カットガラス
紫外線の透過量を減少させ、乗員の日焼けを防いで内装の劣化も抑えます。

・遮音ガラス
車室内の静粛性を向上させるため、音の透過を抑える中間膜を使った合わせガラスです。

・プライバシーガラス
可視光線の透過率を調整したスモークガラスです。外から車内が見えにくくなりますが、同時に視認性も低下するので、フロントとフロントドア用への採用は禁止されています。

・トップシェードガラス
フロントウインドウの上部の限られた部分に、日よけのために濃色にしたガラスです。

・撥水ガラス
雨粒を走行風で飛ばして視界を確保します。ガラス表面をコーティングすることで2~3年効果が持続します。

UV&IRカットガラスの概念図
UV&IRカットガラスの概念図

●ウインドウ場所と適用されるガラス

・フロントウインドウ(ウインドシールド)
可視光透過率が70%以上の合わせガラスが義務付けられています。面積が大きく直接日射を受けることが多いため、UVカット仕様やIRカット仕様によって、暑さを抑えて冷房機能を発揮させます。また、エンジンフードから放射される騒音を中間膜によって遮断する遮音ガラスも多用されます。

・サイドウインドウ
割れにくい強化ガラスが主流です。視認性を確保して車室内を快適に保つため、UVカット仕様やIRカット仕様、また撥水ガラスが使用されます。また車上荒らしなどの防犯のため、容易に割れないことも重要です。

・バックウインドウ
強化ガラスが主流ですが、合わせガラスが採用されている例もあります。アンテナ線をプリントしたアンテナ付きガラスや防塵、防霜のための伝導体プリントガラス、電熱線入りガラスを組み合わせて使う場合が多いです。


ウインドウガラスは、視界と安全を確保するだけでなく、多くの機能を持たせています。特にUVカットやIRカットガラスのような断熱性能を重視した仕様は、快適性だけでなく燃費にも大きな影響を与えます。

最近普及し始めたHUD(ヘッドアップディスプレイ)対応ガラスなど、さらに進化が進んでいます。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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