軽自動車は10年前より燃費性能&安全性能は大幅進歩。でも価格は据え置き?【新車】

■軽自動車はメーカーの努力で値上がり額は最小限に抑えられている

●ハイトワゴンのホンダN-WGNはネーム変更でどう変わった?

10年前、2009年の日経平均株価の終値は前年に起きたリーマンショックの影響で、1万546円でした。2019年の終値は2万3656円と倍以上となっています。株価は上昇しているものの、国内の物価や賃金はそれほど上昇していませんが、国産車の販売価格はどれくらい変わっているのでしょうか。

2008年〜2009年に登場し注目されたモデルと現行モデルで車両本体価格を比較してみましょう。今回はラインニングコストの安さで人気の軽自動車です。

ライフ外観02
ライフのフロントスタイル

まずは、2008年10月に登場したハイトワゴンのホンダライフです。モデル体系が特徴的でシンプルで実用的なC/G、スポーティなディーバ、そして上質感を追求したパステルの3タイプを用意。搭載するエンジンは直3自然吸気とターボの2種類でミッションは4速ATが組み合わされていました。

エントリーグレードのCを除く全グレードにバックモニターを装着し高い利便性を実現していました。リアシートの座り心地にこだわり、クッション厚を+25mm、シートの座面の長さを+55mm(先代比)としていました。2008年当時のライフの車両本体価格はCグレードの94万5000円〜ディーバターボ4WD車の159万6000円で、100万円を切るグレードが存在していました。

N-WGN外観
現行型N-WGNのフロントスタイル

ライフの後継車に当たるホンダのハイトワゴンがN-WGNで、現行型は2019年7月に発表され、8月より販売開始されました。標準車のN-WGNと押し出し感を強めたN-WGNカスタムの2モデルを設定しています。ボディデザインは四角いものの角を丸くしたちょっとレトロな雰囲気が漂っています。

搭載するエンジンは直3自然吸気とターボの2種類でミッションはCVTが組み合わされます。全グレードに運転支援システムであるホンダセンシングを装備し、加えてクルマ後方の障害物を検知するとドライバーに伝えるパーキングセンサーシステムを装備しています。

N-WGNの車両本体価格はGホンダセンシング2WD車の129万800円〜L・ターボホンダセンシング4WDの166万2100円。エントリーグレードは大幅アップしていますが、ターボエンジン搭載の最上級グレードは燃費性能と安全性能が大幅に向上しても約7万円アップに抑えられています。

●女性ターゲットのアルトラパンは?

続いては、女性をメインターゲットに設定したスズキアルトラパンです。

ラパン外観01
先代ラパンのフロントスタイル

アルトラパンは2008年11月にフルモデルチェンジを行い、2代目モデルが登場しました。名前はアルトラパンですが、プラットフォームはワゴンRと同じで、室内空間が先代モデルより大幅に拡大したのが特徴です。

搭載されているエンジンは直3の可変バルブタイミング機構付きの自然吸気とターボの2種類で、トランスミッションはCVT(後に4速AT車が復活)が組み合わされ、10・15モード燃費は全グレードで20km/Lを超えていました。2008年11月当時の車両本体価格はG 2WD車の104万7900円〜T Lパッケージ4WD車の155万4000円でした。

ラパン外観02
現行型ラパンのフロントスタイル

現行型のアルトラパンは2015年6月に登場しました。プラットフォームは軽のベーシックカー、アルトと同じ軽量高剛性のものを採用しました。ラパンの特徴である箱型のボディは丸みを加えた「まる しかくい」フォルムを採用しています。インテリアは「部屋」をモチーフに落ち着いた雰囲気を演出しています。

搭載されているエンジンは直3VVT採用の自然吸気エンジンのみで多くのグレードにはエネチャージと呼ばれるマイルドハイブリッド機能が搭載されています。トランスミッションは全車CVTで、JC08モード燃費は27.4〜35.6km/Lと優れた燃費性能を発揮しています。現行型アルトラパンの車両本体価格は112万7500円〜154万2200円とターボエンジンが廃止されたことで、最高価格は下がっています。

●女性が開発に携わったミラトコット

アルトラパンと同様に女性をメインターゲットとした軽自動車、ダイハツミラココアは2009年8月に登場しました。

ミラココア外観
ミラココアのフロントスタイル

プラットフォームはベーシックカーのミラと共通ですが、ボディは6ライトウィンドウを採用した専用設計となっています。一部グレードにシルバーのルーフレール、ドラミラーターンランプなどを採用したプラスが設定され、上質感を演出していました。

搭載されているエンジンは直3自然吸気エンジンの1種類で、グレードによってミッションは4速ATもしくはCVTが組み合わされます。駆動方式はFFと4WDで10・15モード燃費は18.6〜23.5km/Lを実現しています。2009年8月当時のミラココアの車両本体価格は105万円〜143万2000円となっています。

ミラトコット外観
現行型ミラトコットのフロントスタイル

ミラココアの後継車にあたるのが、2018年6月に登場したミラトコットです。開発段階から女性の意見を取り入れて、誰もが扱いやすいクルマに仕立てています。スクエアなボディはエンジンフードの先端が見えるため、車両感覚が掴みやすくなるなど様々な工夫が施されています。

搭載されているエンジンは直3自然吸気のみで、ミッションはCVTが組み合わされています。運転支援システムはスマートアーシストIIIが搭載され、ペダルの踏み間違いによる急発進を抑制してくれます。ミラトコットの車両本体価格はLグレードの109万4000円〜G SAIII 4WDの145万2000円とミラココアより下がっているのが特徴です。

軽自動車は燃費性能そして安全性能が向上しているにも関わらず10年前のモデルとそれほど価格差が見られません。これはひとえに企業努力の結果と言えるでしょう。

(萩原文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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