【ボルボXC90 D5試乗】ビッグボディながら柔和な顔付きはまるで大仏のよう

●周囲に威圧感を与えず、それでいてボディの大きさを主張するデザイン

現在のボルボのラインアップでフラッグシップとなるのが3列シートのXC90。全長4950mm、全幅1930mmというビッグなボディに3列のシートを配置するSUVです。このXC90にディーゼルエンジンが搭載されました。

試乗は箱根の強羅近くのホテルをベースに周辺を回るものです。ホテル周辺の道路は狭く、2mに迫る全幅をもつボディはちょっと持て余します。ただし、視線は高く、ボディの形状もスクエア、そして見切りのよさ、各種デバイスのおかげで、物理的に通れる道ならばさほどストレスを感じることなく走ることができます。

さすがにこのサイズになるとクルマの大きさは周囲にも伝わります。ちょっと狭い道でのすれ違いとなれば、相手も気を遣ってくれるレベルの大きさなので、すまないなと思いつつもちょっと楽だったりします。

しかもボルボの顔付きは大きさを主張するものの、威圧感が少ないのがいいのです。国産車の大きいクルマはオラオラ系の威圧感の強いクルマが多く、普通に待っていても「オラ、どけ」的な印象を与えている感じがしてしまうのです。

グリルも大きく、ヘッドライトもサイドに回り込むタイプなので、車幅の大きさを主張する配置&デザインであることは間違いないのですが、各パーツのちょっとしたデザインがXC90の顔を柔和なものにしているのでしょう。

サイズが大きいクルマに乗りたいけど、威圧感のあるデザインは遠慮したいという人にはなかなかいい選択となるでしょう。大きくても、落ち着いた柔和な雰囲気はまるで大仏さんのようなのです。

(文/写真・諸星陽一)

この記事の著者

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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