【新車】「介護予防」の観点から開発された新型タントの新装備「ラクスマグリップ」「ミラクルオートステップ」

●すべてのユーザーの移動の自由を広げるために開発された新装備

2019年7月9日、基幹モデルと位置づける新型タントを発売したダイハツ。同時に発表されたのが、高齢者の身体的負担を低減し、移動の自由を広げる新装備です。

同社では、今後の高齢化社会を見据えた取り組みとして「介護予防」の観点から、産学共同研究を通じて新装備を開発。

これまでダイハツの福祉車両(車いす移動車・昇降シート車)は、比較的介護レベルの高い要介護のユーザーを中心に購入されていたそうで、フレイル(加齢とともに運動機能や認知機能が低下してきた状態。要介護にいたる前の状態)高齢者や、要支援者、軽介護度のユーザーに向けた商品ラインナップが十分でなかったと分析しています。

今回は、様々な身体状態の高齢者にそれぞれ最適な仕様を提供し、高齢者の移動をサポートすることが介護予防につながると考え、新商品を開発したそうです。

開発にあたっては、「モノづくり」と、「コトづくり」の一環である地域密着プロジェクト「健康安全運転講座」が連携し、協力関係にある理学療法士や大学教授との産学共同研究を2017年から実施してきたそう。

「モノ/コトづくり」共通の課題である「軽介護度の方をサポート」できる商品を目指してきた結果、今回の新装備発売に至りました。

今回発売される新装備は、同日発売の新型タントにオプション(「ラクスマグリップ」はメーカーオプションまたはディーラーオプション、「ミラクルオートステップ」はディーラーオプション)として取り付けることができる「ラクスマグリップ(助手席・運転席/助手席シートバック)」と「ミラクルオートステップ」、福祉車両「タントウェルカムターンシート」に採用された「助手席ターンシート」になります。

なお、鈴鹿医療科学大学で運動機能の低下した高齢者に乗降動作の運動学解析を実施した結果、グリップやステップを装着した車両は、体幹を安定させ重心の動きを抑制することなどにより、身体への負担を低減できることが実証されたそう。

また、理学療法士による満足度調査の結果、グリップとステップ、またはターンシートを装着した車両が非装着車に比べ乗降満足度が向上したそうで、2019年6月12~15日に開催された第56回日本リハビリテーション医学会学術集会にて発表されています。

ダイハツでは、これら新装備を使うことで移動に対するハードルを低減し、社会参画することが介護予防につながると考えています。

今後もダイハツは、“Light you up”の考え方のもと、「モノづくり」と「コトづくり」の両輪で、一人ひとりに最適なモビリティライフを提供し、様々なステージの高齢者が自由に移動ができ、社会に参画できる世の中の実現に貢献したいとしています。

新装備を詳しく見ていくと、「ラクスマグリップ(助手席・運転席/助手席シートバック)」は、助手席や後席の乗降性や後席での移動に適した取り付け位置と細部にまでこだわった形状で、足腰に不安のあるお年寄りが安心して乗り降りできるグリップ。

乗降時にしっかり握れて安定するよう、グリップ断面は小さい長円になっていて、指の間隔に合わせて凸部を配置することで、手にしっかりフィットし滑りにくい形状になっています。

「ミラクルオートステップ」は、タント独自のピラーインドア「ミラクルオープンドア」の開口広さを活用できるロングステップで、助手席と後席の両方の乗降性を向上させます。ミラクルオープンドアの広い開口に、上記のラクスマグリップとの組み合わせにより様々なシーンでの乗り降りが可能になります。

さらに「助手席ターンシート(回転シート)」は、ラクスマグリップ(助手席)を正面でつかむことができる回転角度(30度)にすることで、足腰に不安のある人も、グリップをつかみながら安心して乗降ができます。

(塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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