マツダ第7世代第1弾の走りはなにがスゴいのか?【新型Mazda3試乗】

クローズドコースで行われた新型Mazda3のプレス向け試乗会は、周回路とハンドリング路を使って行われました。

用意された試乗車のMazda3ファストバック(ハッチバック)には1.8Lディーゼルの「SKYACTIVE-D」が搭載されていて、Mazda3セダンには2.0Lガソリンエンジンの「SKYACTIVE-G」が積まれていました。なお、トランスミッションは両方ともに6AT。

クローズドコースであるため、路面は良好で乗り心地などの評価は公道と比べると限定的になります。それでも静粛性の高さ、よく動く足とフラットライドな乗り味は印象的で、現在のCセグメントの中でもトップクラスのトータル性能を備えているのは間違いなさそうです。

まず、1.8Lディーゼルからご紹介すると「S8-DPTS」型の1.8L直噴ターボエンジンは、116ps/4000rpm、270Nm/1600-2600rpmというスペックで、欲しい速度までディーゼルらしいトルク感を持って引き上げてくれます。

オルガン式のアクセルペダルを普通に踏み込むと、過剰に反応する飛び出し感はなく、踏んだ量や速度に応じてスムーズに加速してくれるため、気を使う必要はありません。

一方で高速道路を模した周回路では、踏んだ分だけ加速を乗せていく印象。発進時やパーシャルから踏んだ時のレスポンスは、少し盛り上がりにかける感もありますが、毎日乗るにはこれくらいの電制スロットルの制御がベストなのかもしれません。

最大6回の多段の近接噴射により上死点付近で連続した燃焼を発生させることで燃焼期間を短縮化すると共に、緻密な燃料噴射量のコントロールにより燃焼初期の熱発生を穏やかにすることで、ノック音を低減するという最新の「SKYACTIVE-D」。車外でアイドリング音を聞いているとディーゼルだと分かります。

しかし、車内はオーディオのボリュームを消した状態でもかなり静かで、ボディパネルとマットの間にスペースを設けた2重壁、ドアパネルからスピーカーを移動させて取付け穴を排除するなど、取付時に必要な穴を減らし埋めていく作業をすることで、遮音性能を高めるといった遮音性能向上策が確実に効いている印象を受けます。

その印象は走り出しても変わらず、ロードノイズ、風切り音などもあまり伝えてきません。なお、遮音性能を先代であるアクセラと比べると、イメージ(一例)として、Mazda3の120km/h走行時とアクセラの100km/h走行時が同等レベルだそう。

また、Mazda3のポイントは、そのハンドリングや乗り味。マツダではかなり以前から乗員(Mazda3の場合は前席乗員)が安楽な姿勢になるのは脊柱が「S字カーブ」になっている姿勢というのが分かっていたそうで、先行開発を担当する開発陣各人がレントゲン写真を撮影し、人はどうやって歩いているのかを分析するなどしてたどり着いた結果とのこと。

Mazda3のフロントシートは、骨格下部、骨盤上部、大腿部の3点で骨盤をしっかりと立て、同時に背もたれ上部で胸郭重心を支えることで、S字カーブを維持できる構造を採用しています。これにより、ロングドライブでも疲れにくくなるそうで、長距離移動の機会がありましたら報告したいと思います。

人間研究では、歩行時に人は「酔う」ことはないという、いわれてみれば当たり前の点に着目し、シートだけでなく、ボディやシャーシ作りをするというアプローチを取ることで、Mazda3の自然な乗り味を獲得。

狭いハンドリング路で少し飛ばしたくらいでは、ボディがふらつくシーンは少なく、ボディが傾いてもドライバーが非常にコントロールしやすくなっています。さらに、周回路でバンクに入っても姿勢は安定していて、ステアリングの微調整がほとんど要らず、直進時の高速安定性の高さもお見事。

クローズドコースで短時間の試乗ではあったものの、Mazda3ファストバック(ディーゼル)の第一印象はかなり好ましいものでした。

(文/塚田勝弘・写真/井上 誠)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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