日野のダカールラリーマシンが一新。フレームまで設計を変更して万全を尽くす

●2号車はボンネットキャブタイプ。異なるボディタイプを導入した理由とは?

新型車を開発した日野のダカールマシン。その特徴を紹介します。今年のマシンは従来型のキャブオーバータイプ(1号車)と、新たに開発されたボンネットキャブタイプ(2号車)の2種類が存在します。

従来型キャブオーバータイプは見た目が変わっていないので、そのまま継続されているように見えますが、じつは内容はかなり変化しています。

まず、フレームを従来のコの字断面から閉断面に変更。これによりねじり剛性は従来の2倍に向上しています。サスペンションは改良され、車軸方向を制御する機能が追加され、フロントリヤともにニュートラルステア特性となりました。サスペンションはリーフスプリング式でトルクロッドも備えます。片輪につきショックアブソーバーは2本装着され、バンプラバーの代わりにオイルダンパーが装備されています。

トルクロッドの取り付け位置変更、パワステギヤボックスの取り付け位置変更、アクスルセンターのオフセットを減らすことで急制動時の安定性も向上されています。また、従来キャブ(運転席)は垂直方向と45度方向の2方向のショックアブソーバー&スプリングでマウントされていましたが、2019年モデルでは縦方向と横方向に配置を変更しています。ここまでの仕様は従来型のキャブオーバータイプ、新型のボンネットキャブタイプの両方に共通する変更です。

 

新型となるキャブオーバータイプは従来型ではリヤアクアクスル直近に配置されていた燃料タンクを400mm前方に移動、重量物を中心付近に集めるとともにボンネットキャブを使用することで乗員はフロントアクスル後方に乗車することとなりました。これにより乗員は上下動の低い位置での乗車が可能となりました。

また、キャブオーバータイプはミッションがATとなり、よりイージーなドライビングが可能。ロングランとなるラリーレイドでの疲労低減をねらっています。またATでの加速はMTよりも速くなるというデータもあり、今後テストケースでの参戦を経て、1号車へのボンネットキャブやATの拡大採用も検討されるといいます。

(文/写真・諸星陽一)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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