全開アタックで井出有治も納得。RCFのレクサス流チューンドエアロは効果絶大

「公道でもサーキットでもレクサスのクルマ、初試乗!」という元F1レーサー&clicccarテストドライバーの井出有治さん。

人生初レクサスが今回の「RC F」なため、「上品なレクサス・ブランドのイメージ、ダダ崩れ!」というほどRC F、特にパフォーマンスパッケージは「じゃじゃ馬感が面白い!」と好インプレッションです。

このRC Fパフォーマンスパッケージの特徴でもあるエアロパーツには、随所に「レース育ちのスタイリング」を強調しているあたり、かなりの自信を持つエアロチューンが施されていそうです。はたしてレーシングドライバー・井出有治をも納得させられるものなのか? さっそく聞いてみましょう!

■『エアロ全部乗せ』は見た目の迫力に騙されていないのか?

最近のトヨタ系というかGRスープラでも思いましたけど、このRC Fにもパッと見、なんだかチューニング屋さんが作るようなエグめのエアロパーツが随所に装着されていますが…。コレってデザインだけじゃなく、ひとつひとつに意味があってのことですよね。

「今や自動車メーカーもレーシングカー並み、それ以上に風洞実験で空力の研究をしていますからね。特にRC Fパフォーマンスパッケージはサーキットでのスポーツ走行も前提でリリースされているとのこと。エアロ系がどんな感じに効いているのか、スペシャルなエアロは無しのベース車と『エアロ全部乗せ』のパフォーマンスパッケージを乗り比べてみましょう!」(井出)

■エアロパーツが無いと…恐い!!

パフォーマンスパッケージとベース車、乗り比べてみていかがでしたか?

「まずはストレート。パフォーマンスパッケージは240km/hオーバーでも物凄く安定していますね。地面に吸い付いているような感覚です。
反対にベース車のほうは…。clicccarTVでは冷静にサラッと喋ってはいますが、FSWストレート220〜230km/h超えたあたりで急にきたクルマのフラつき、フロントのリフト感…、空気に振られているような感じでしたけど、マジで怖いレベルだったんですよ! 横風が急に強く吹いた?って思ったほど」(井出)

井出さん、クルマから降りてきて真っ先に「ヤッベ〜! 怖かった〜!!」でしたよね!

「他のテスターの方は『まったく気にならない』って言ってましたけど、普段ロードカーに乗り慣れているとあのくらいの揺れは普通の感覚なのか…。繊細なフォーミュラ乗りのボクだけが感じたのかなぁ(笑)」(井出)

あら、根性座っているほうがフォーミュラ乗れるのかと思ってました。

「フォーミュラのほうがツーリングカーの何倍もシビアですから、繊細じゃないと乗れないしセッティングなんか出せませんよ〜!」(井出)

それはまた別の機会に詳しくお聞きしますね。

■パフォーマンスパッケージのエアロチューンは、トータルで安心感もアップ

で、パフォーマンスパッケージではベース車で感じたリフト感がまったく無い、と。

「ハイ、まったく揺れませんでしたね。あのリフト感の有る無しは、フロントロアスポイラーのその下にあるロアリップが相当、効いているんだと思いますよ!」(井出)

あのロアリップって、手で触ってみると風圧で曲がっちゃうんじゃないの?くらいの柔らかさでしたけど…。

「あの部分は直接、風圧を受けているわけじゃなく、エアを整流するためのもの。エアを流してフロントリフトを押さえダウンフォースを出しているんです。プラス、チューニングカーばりのリヤウイングとトータルでボディを安定させているんでしょう。この手法は最近のドイツ車にも多いですよね」(井出)。

前後のエアロパーツはダウンフォース系に効いているのは分かるんですけど、サイドステップ周りのデザイン的なもの、あれって?

「サイドステップ、サイドスカート系はコーナリング時に影響するんです。FSWの100Rでベース車が横に流されていくっていうのは、車重や重心の高さも影響ありますけど、サイドスカート部の形状が大きいと思います。GT3からヒントを得たというサイドスカート後端部のエグリや、ロッカーモード部のフィンなど、コーナリング時の車体安定に効いているんでしょう。ロードカーとはいえRC Fならベース車でもパフォーマンスパッケージでも、100Rに入るときで150km/hは出ていますから、エアロの有る無しで2台の差は大きいですよ!」(井出)

『GT3をお手本に、スタイリッシュにリメイクせずそのままのレーシーな姿を強調するエアロデザイン』であるRC Fパフォーマンスパッケージのエアロパーツ群。それらはデザインだけではなく、レーシングドライバーをも納得させる、戦える機能が備わっているということが実証されました。

(試乗テスト:井出 有治/文:永光 やすの/画像:中野 幸次・角田 伸幸・永光 やすの)

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井出有治がレクサス「RC F」を全開試乗。上品さのないV8&カーボンブレーキのパフォーマンスは?
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【新レクサスRC F】井出有治が攻める「高バランスの『ベース』、じゃじゃ馬の『パフォーマンスパッケージ』」[clicccar公式 第2チャンネルです]
https://youtu.be/p4QcUcEB7cs

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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