カワサキGPZ1000RXからホンダVFR750Fまで…テイスト・オブ・ツクバの注目マシンをピックアップ!

■テイスト・オブ・ツクバは旧車とカスタム車が大活躍する日本最大のアマチュアレース

●コンストラクターたちが手塩にかけて作り上げたマシンは必見!

日本最大のアマチュアレースがテイスト・オブ・ツクバ。出場してくるマシンの中心は70年代、80年代のいわゆる旧車なのだけれど、それがチューニングされて、とてつもない速さで戦う。最速のハーキュリーズクラスは鉄フレームならなんでもありのバトルロイヤル。コンストラクターたちが作り上げたチューニングマシンやオリジナルフレームのマシンが集まってくる。併催される催し物も多いためパドックは人でいっぱいになるほどの盛況ぶり。年に二回開催される旧車とカスタムマシンの一大イベントだ。

今回はそのテイスト・オブ・ツクバに参加車の中から、注目マシンをピックアップしてご紹介しよう。

【ZZR1200エンジンを1224cc化】
・マシン:カワサキGPZ1000RX
・ライダー:松田光市選手
・クラス:D.O.B.A.R. HERCULES

テイスト、っていったらやっぱりこの人とこのバイクを紹介しないとはじまらない。最速のハーキュリーズクラスでトップグループを走っている松田光市選手の87年式カワサキGPZ1000RXだ。このマシンにファンが多いのは、ライダーの松田さん自身が愛車の整備からチューニングを行なってトップグループを走っているから。

エンジンはカワサキZZR1200をベースにJEビックブロックキット(79φ→81φ)で1224cc。H断面コンロッドとアドバンテージカム(ST1.5)を組み込む。四輪のワークスマシンも手がけるARMが内燃機加工を担当。

フレームはノーマルでリアサスペンション構造をアッパーリンク式からボトムリンク式に改造。2001年から参戦していて現在も進化の途上。今回は決勝でホールショットを決めたものの、惜しくも2位となった。

【筑波を58秒前半でラップする実力】
・マシン:カワサキZRX1200S
・ライダー:新庄雅浩選手
・クラス:D.O.B.A.R. HERCULES

このカワサキZRX1200Sも、最速のハーキュリーズクラスを代表する一台だ。当初は故松下ヨシナリ選手が乗っていたが、マン島TTレースで他界してしまったため、その後は松下選手の意思を継いで新庄雅浩選手がライディングしている。

全日本や海外のレース経験もあった新庄選手をもってしても当初はこのマシンに苦戦。しかしその後セットアップを続け、16年秋の大会で遂に優勝。松下選手が目指していた悲願を成し遂げた。その後17年春、17年秋の大会で3連勝を成し遂げ、現在も58秒077というこのクラスのコースレコードを持っている。

一般の人が手に入るパーツのみを使ってチューニングすることとZRX1200のスタイルや基本骨格を崩さないのがポリシー。だから性能で負けることは承知で2本サスそのままで挑んでいる。今回のレースでも優勝候補の一台に挙げられていたが、残念なことに予選でエンジントラブルが発生。決勝を走ることはできなかった。

【速さと男らしさを兼ね備えたZ】
・マシン:カワサキZ1100GP
・ライダー:千葉純一選手
・クラス:D.O.B.A.R. MONSTER

テイストで最も人気が高いのがモンスタークラス。決勝グリッドに対して2倍の数のエントリーがあるため、A決勝、B決勝が行われているくらい。レベルも高く、70年代当時の雰囲気を守ったチューニングに限定されているにも関わらず、トップは1分2秒台というペースで周回している。

このマシンは、モンスタークラスのトップコンストラクター、ブルーサンダースの作り上げたカワサキZ1000。ロードレースの経験が浅かったため、ライダーのスキルアップに合わせて5年くらい掛けて進化させ現在の形になった。
外装はピンストライプアーティストのオーナー自身が手がけたもの。排気量は1197ccで、デュアルスパーク加工、ポート加工、ビックバルブ、410カム、軽量クランク等で出力は130ps。

ブルーサンダースの作るZは、どれも速いだけでなくワイルドかつ男らしい雰囲気が漂っているのだけれど、このマシンの男臭い感じはまさに芸術的だ。

【貴重なパーツが投入されたスペンサーレプリカ】
・マシン:ホンダVFR750F
・ライダー:菅原次郎選手
・クラス:D.O.B.A.R. ZER0-3

スペンサーレプリカのホンダVFR750Fインターセプターに乗るのは菅原次郎選手。エンジンはRC30でHRCのカムシャフトやインナーローターキットを組み込みんでラジエターもHRC製。フロントサスはRC30アウターとCBR600F4のインナーを組み合わせ、ステムとトップブリッジはRC30のキットパーツ、と貴重なパーツがてんこ盛り。

80年代のスーパーバイク的イメージにこだわるため、外装もノーマルスタイルのFRP。ホイールにもホンダのレーシングマシンRS250R用のマグネシウムを装着している。もちろんヘルメットもレザースーツもスペンサーレプリカ。バイク込みのコスプレを楽しんでしまっているのである。

このマシンが参加するZERO-3クラスは、80年代のアルミフレーム、水冷のマシンが参加できる。ライバルはスズキGSX-R勢。そこにドゥカティの851なども加わってレースが賑やかになってきた。最近人気が高まりつつあるクラスだ。

(文:後藤 武 写真:磯部孝夫〈スタートシーン/Z1100GP〉、長野達郎〈その他〉)

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